第1回世界一決定戦4
1分後……
「はぁはぁみゃぁ……」
ハナが召喚したコアラックマが全て消え。画面には気絶状態のハナとHP満タンのサラが向き合っていた。
「もうサラの勝ち……」
ハナちゃん、もう召喚アイテムないでしょ?
「ミャ……!ボクは、ボクはぜったいに……絶対負けないミャ!」
「…………!?」
サラの勝利宣言を聞いたハナが叫び、サラは驚いた。
ハナちゃん、何かいつもと様子が違う。何でそんなに勝ちたいの?優勝賞金がほしいならならあげるよ?
「……どうして?」
ハナちゃんの必死な目にゲーマーとしてのプライドが揺らいだ。そんなに勝ちたいなら勝たしてあげても……
「優勝したらカカシちゃんがデートしてくれるって言ったミャ!ボクは絶対に優勝してデートするミャ!」
「…………イラッ!」
ハナちゃんのまさかの発言に、サラの表情にピキーンとヒビが入った。
「ふーん、そうなんだ。へー、でもごめんね。サラが勝っちゃうから。カカシなんかとデートできないね。ゲームオーバー」
「ミャ!?」
《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》《ハンマープレス!!》
ドガンッドガンッドガンッドガンッ!
「ミャー!!!!」
突然スラスラと喋ったサラが全体重を乗せてツルハシをハナの頭に振り落とし【ハンマープレス(スキル再使用時間短縮+99)】100連打した。全力で打ち付ける激しい音が重なりすぎてバリバリとノイズ音が会場に響き、大量に重なる衝撃に押し潰されたハナちゃんはあっと言う間にHPが尽きてペッチャンコになった……。
『…………おっと!あまりの事に呆然としてしまいました!勝者サラ!サラ選手の勝利です!!』
「「「ウオオォー!!」」」
観客達は興奮し会場に割れんばかりの歓声が響いた。
『……?ヤマヒコさん、サラさん何か歩きだしましたよ』
『え?』
粒子になって消えていくハナのプレイヤーをよそに、サラのプレイヤーが真っ白なダンジョンの壁に近付いていく。
『あっ、もしかして採掘?』
『あーっ!!』
ツクヨミの発言にヤマヒコが叫んだ。
《採掘!》《採掘!》《採掘!》《採掘!》《採掘!》《採掘!》
真っ白な壁を採掘すると神器の天叢雲剣 (あまのむらくものつるぎ)がザクザクでてきた。
このダンジョンの壁は、決勝用に前日にヤマヒコが即席で作ったもので、採掘される事を想定して無かったので、出てくるアイテムは未設定だったのだ。未設定だとアイテムデータ表の1番上にある神器が出てきてしまうのだ。
まさか決勝で採掘するプレイヤーがいるなんて予想もして無かったヤマヒコは大慌てでサラを止めて神器は回収された。
そして、ヤマヒコは何事も無かった様に振舞い観客達をごまかし、サラとハナ、そして3位だった冒険者の若い男を表彰台に立たせ、3位には賞金200万金と3位と書かれた銅の盾。2位のハナちゃんには賞金300万金と銀のトロフィー。トロフィーはアマテラスの象徴、太陽がメラメラと燃えるデザインだ。そして1位のサラには賞金500万金と黄金に輝くスマートホンを授与した。
サラが黄金のスマホを手を挙げ掲げると会場が割れんばかりの歓声が巻き起こり、ヤマヒコやツクヨミ、3位の冒険者が拍手して祝福してくれた。2位のハナちゃんも拍手してくれたけど、「来年は絶対に優勝するミャー」と凄く悔しそうに言いながら猫耳や尻尾が垂れて涙が滝の様に流していたので、サラは凄く複雑な気持ちになった。
サラとハナは、この瞬間から友達でありライバルと言う関係になり。サラは苦悩しながら、ハナをいつかかならず振り向かせてみせると、心に消えない炎を灯すのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
そのうちドット絵を描いたり、ショートストーリーを描くかもしれませんが、ひとまずこの話完結です。
またいつか新作を描く時はこちらの最終話にお知らせを載せますので、ブックマークをそのままにしていただけたら助かります。
評価やレビューもしていただけたら作者がやる気をだしてSSかドット絵を増やします。
これまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!