第1回世界一決定戦3
『ハナ選手!大ピンチです!』
『閃光発音筒は少し強すぎでゲームバランスを崩しかねないので、連発できないように後で修正が必要ですね』
サラの猛攻撃にハナちゃんのHPが10分の1まで減って赤く点滅しはじめた。ハナちゃんはひっしに画面を叩いてアイテムを使おうとするが気絶状態で使えない。
「ひぐっ……サラちゃんひどいミャ……ぐすっ」
なすすべがないハナちゃんは目を潤まして、ついに泣き出してしまった。
「……ハナちゃん」
その姿を見たサラは動揺して一瞬、手が止まった。
《コアラックマ召喚!》
「しまった……!」
一瞬気絶がとけた瞬間にハナのアイテムが発動し、悪魔の角と尻尾の生えたコアラの着ぐるみを着たクマ、コアラックマが現れた。
コアラックマは手のひらに邪悪なエネルギーの塊を集め、サラに投げつけた。
グアンッバシュ!
「…………くっ!」
邪悪なエネルギー塊がサラの中で弾け大ダメージを与えた。
『おっとハナ選手!召喚アイテムで反撃にでた!』
『リリッスリス社の人気キャラクターコアラックマは召喚すると、1分間勝手に攻撃してくれます。召喚キャラクターは状態異常にならないので閃光発音筒は効きません』
《コアラックマ召喚!》
《コアラックマ召喚!》
《コアラックマ召喚!》
《コアラックマ召喚!》
《コアラックマ召喚!》
《コアラックマ召喚!》
ハナが画面を連打して辺り一面コアラックマだらけにした。
『うわぁ〜、コアラックマの召喚アイテムって消耗品で結構高かった気がするんですが大丈夫なのでしょうか?』
『この戦いはどちらが勝っても私達が得しますね。今月はボーナスよろしくお願いします』
『ツクヨミさん?キャラ変わってません?そんなにお金貰ってどうする気ですか?』
『ツルハシを大量に買って+99を目指します!』
『あははっ、ツクヨミさんらしいや』
グアンッバシュ!グアンッバシュ!グアンッバシュ!グアンッバシュ!
「…………」
コアラックマ達の反撃に瞬く間にサラのHPがどんどん減っていく……が、サラの顔はいつもの無表情で落ち着いていた。
そして次の瞬間、サラの指が秒間100回という目にも止まらない猛スピードで画面を連打した。
《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》《ポンポンコーヒー100金!!》
「「オオォー!!」」
「「スゲー!」」
サラが回復アイテム【ポンポンコーヒー】を飲みまくり、頭の上に宣伝文字が大量にあらわれては消えていく。それにともないHPがグングン回復して行った。
『でたー!!ゲーム業界で知らぬ者はいないサラ選手の得意技100連打だー!!』
『コンビニエンスストアポンポンのコラボアイテム【ポンポンコーヒー】は、何と無料で買う事ができてしかも使っても消費しないので無限に使う事ができます。ただしその回復量はHPの1%と少ないので、通常は補助程度に使います。まさか高速連打でこれほど回復するとはポンポンコーヒー中毒者の私も予想外です』
『1%を100連打って1秒で全回復できますね。ツクヨミさん、ビルの入り口にコンビニができてからずっとコーヒー飲んでますもんね』
『焙煎したドングリのアクがクセになります。私はいつも魔法瓶の土器に7杯入れて1日かけて飲んでます。是非皆様も飲んでみてください』