三角関係
その頃、ハナちゃんはお肉の食べ過ぎで動きみが取れなくなっていた。
「はぁ〜お腹が辛いミャ〜」
皆にボクの男らしさをみせたくてプリマちゃんに対抗して大食いに挑戦したけど足一本食べただけでお腹がパンパンになっちゃったよ。カッコ悪い……。
うっ、一歩も歩けない……。
ボクが座りこんで、ビルの壁にもたれかかると、最初は冷たかった壁が暖かくなってきた。
あれ?このビル、人感知センサー付きの壁暖房でもあるのかな?凄くポカポカして気持ちいい。
お腹いっぱいで暖かくて目が重くなってきた……。
「………………」
ハナちゃん?
サラは、ハナちゃんがお腹が辛そうにしてたから様子を見にきたんだけど。ハナちゃんは寝ていた。そんな所で寝たら風邪ひくよ?
あれ?暖かい……。
サラが、ハナちゃんの肩を揺らそうと近づいて気づいたのだけど、壁が何故か凄く暖かい。ビルの暖房?これなら風邪引かないかな?
ハナちゃんが気持ちよさそうに寝てるのをみて、サラも暖まりたくなって横に座った。
食べ過ぎで心配してたけど、この様子ならハナちゃん大丈夫そうだ。
サラは、ハナちゃんの穏やかな表情を見て安心した。寝てるのに何か凄く笑顔で幸せそう。どんな夢をみてるのかな?
「カカシちゃん……」
「!?」
そっか、カカシちゃんの夢を見てるのか。ハナちゃん、カカシちゃん大好きだもんね。
でもハナちゃんは、カカシちゃんが誰かが操作してると思ってるみたいだけど、カカシちゃんはただのゲームシステムなんだよ?実在しないんだよ?
そんなのより、もっと身近にハナちゃんの事を大事に思ってる女の子がいる事に気づいてくれたら良いのに……。
「わっ!何だあれは!」
サラが想いにふけっていると、誰かが空を指差して叫んだ。
見上げて見ると薄暗かった空に浮かぶ月の端が光ってた。
あれ?何だろうあれ。月があんな風に光るの見た事ない……あれ?何か前に見た事がある様な?……思い出せない。
月を眺めていると光がさらに強くなって目が痛くなってきた。周りの人達も騒ぎ出した。
「異常現象!?」
「世界の終わり!?」
何か起きるのかな?怖い……。
サラは、ハナちゃんの肩を揺すって起こした。
「ん?サラちゃんミャ?ミャ!?眩しいミャ!」
サラは、光が強くなって行くのを眺めた。もし何かおこるのならハナちゃんを守りたい。
ひかりかどんどん強くなって、何か、光と月が離れはじめた。
あれ、月が光っていたんじゃなかったの?じゃああれは何?
「ウミャ!眩しいミャ!」
光と月が完全に離れると強烈な光を放った。
「天照……」
あ……、思い出した。
山幸彦さんが呟いた言葉を聞いた途端、何故だか思い出した。こんな簡単な事、何で思い出せなかったんだろう。
あれは太陽だ……。
空に輝く光が全てのものを照らす。あまりに強烈な輝きにもはや誰も直視する事ができなかった。