ツクヨミ先輩のアドバイス
「天叢雲剣を、使わない方がいいってどういう事ですか!?」
僕は大急ぎでスマートホンに話しかけ、音声入力でチャットに文字を打った。
「だって貴方、まだ殺人粘液を補給できないですよね?耐久回復しないで使ったら武器消滅しますよ?」
あぁ、そうか。
殺人粘液はおそらく、かなり高レベルの階層に行かないと取れないため、今のまま剣を使い続けると、高レベル階層にたどり着く前に壊れてしまう。しかもこのゲームでは装備は壊れると消滅してしまうので、超ラッキーで出た天叢雲剣が水の泡となって消えてしまう。
あっぶねーっ、ツクヨミさんに会わなかったら普通に壊す所だった!
『なるほど!分かりました!僕が強くなるまでしまっておきます!』
「うん、それがいいと思います」
ツクヨミさんとチャットで話しながらダンジョンを進んで行く。
天叢雲剣は使えないので初心者の剣に持ち替えて戦って行く。
「初心者の剣は耐久力無限で壊れないから、私も弱い敵を相手する時に使ってますよ」
「え?でもツルハシ使ってませんでした?」
「ツルハシは、鉱石とかを収集する時に採掘している気分になれるから使っているだけです。低級武器ですので粘液で耐久回復できますし凄くオススメです」
なるほど、ツクヨミさんは変な事ばかりしている様だけど、彼女なりに工夫して楽しんでいるのか。さすがにベテランは遊び方から違うね。
そんな事を話しながらモンスターを倒して進んで行くと4階までたどり着いた。
3階は、アメーバの色違いで黄色い【カレーバ】がいた。
落としたアイテムは全部粘液だった。瑪瑙がでたらツクヨミさんに殺人粘液と交換して貰えるから嬉しいのだが、1個も出ない。瑪瑙の出る確率の0.1%って平均1000匹倒さないとでないから、ツクヨミさんの集めた数が恐ろしく感じる。一体何カ月2階に篭っていたのだろう。
4階の最初の部屋に青いアメーバの【アオーバ】がいた。
攻撃してみたが、武器が初心者の剣なので1ダメージしかでない。アオーバが反撃して2ダメージくらった。結構キツイ。
僕の残りHPは8、後4回反撃されたら死んでしまう。僕は速度が10あるので、速度1のアオーバが反撃する前に10発攻撃できる。
何とかアオーバに合計40ダメージ与えて倒した。
残りHP2、ギリギリの勝利だ。
装備を少し強化すればかなり楽になるはずだが、強化には同じ武器を2つ用意して合成する必要があるらしいので、1個しか持ってない初心者装備は強化できない。
おっ!メニュー画面を見たら、ショップがあって装備を買える様だ。大量にある粘液を売って新しい装備を買えばいいかな?
「ツクヨミさん、初心者装備では4階が限界みたいなので、ショップで装備を買いますけど、オススメとかあります?」
僕が話すと、ツクヨミさんが何か思いついた様子で考えはじめた。
「ショップより少し安くなるから、私が持っている装備を買うといいかもしれない」
お!?これはまさか!強い装備をプレゼントしてくれるのか?
昔、他のゲームアプリを始めた時にベテランプレイヤーな人に会って、要らなくなった装備とかを沢山貰った事がある。はじめてすぐに、そこそこの強さの装備がそろうと楽なんだよなぁ。
僕は期待を胸にふくらませた!
「ウェポンショップツクヨミ開店」
ツクヨミの頭上にポップが出たので、指で押してショップ画面を開いたら、
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ウェポンショップツクヨミ
商品ーーー価格ーーー在庫
ツルハシー100Pー999個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシー100Pー1,000個
ツルハシ+99ー99,999,999Pー1個
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全部ツルハシだった……。
ツルハシ+99、値段高すぎ…………。