道具店の茶番劇
「15? てことは、俺が自分の店を持ち始めた頃に生まれたのか?」
「へ?」
話が思わぬ方向に進むのを感じ、慌てて取り繕おうとする冒険者だったがーー
「なんだやっぱり子供じゃないか」
一足遅かった。
「ぐうぅ」
悔しそうな表情でぎりぎりと歯噛みする。「そういうところが子供なんだ」と言うギムレットに、冒険者は顔をひきつらせながら「子供じゃないもん」と言い返した。声が震えていたのは、隠しきれない動揺のためだろう。
「気にするなって。こういうのは、子供でいられるうちが華なんだからさ」対して、ギムレットは涼しい顔だ。「なあリンドウ、おまえさんはその頃何やっていたんだ? まだ冒険者だったか?」
その時、ギムレットの顔すれすれをペーパーナイフがかすめる。表情が引きつるギムレット。一方、冒険者は理解が追いつかない。
「ギム? 一体アナタは何を言っているのかしらね?」
笑顔を浮かべながらツカツカと戻ってくるリンドウ。だが、その瞳は笑っていなかった。
ダンッ、とカウンターに手を突けば、リンドウのあまりの剣幕にギムレットの肩がビクリと跳ね上がる。
「私。そんな歳じゃあないんだけれど?」
「そ……そうだな。俺がどうにかしていたみたいだ」
視線を泳がせるギムレットに満足したのか、リンドウの雰囲気が緩む。
「それじゃあ、冒険者さん。宿に案内するからついて来て」
つい先ほどまでのやり取りを見ていた冒険者は黙って首を何度も縦に振る。その様子がおかしいと気づかないリンドウは、嬉しそうに冒険者の手を引いて道具屋を出た。




