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絶望

「えっ?清楚?可愛い?うふ、うふふ」


何こいつ、いきなり笑い出したんですけど。

ちょっと怖い。

まぁいい、今この真っ白な空間にいるのはこいつと俺だけ、俺が今の状況がわからない以上こいつ(あっ女神だっけ)の話を信じるしかないだろう。


「で?結局俺はどうなるんだ?地球に帰れるのか?」


「そっそれがですね〜帰れなくはないんですけど、帰るのが難しいというか、そもそも帰ってどうするの的な?」


なんだこいつは、いきなりどもりだしたぞ。

女神が涙目だ。なんか可愛い。いかんいかんそんなことよりこいつの回答が的を得ないのだからきちんと話を聞かなければならん。


「なんだそれは、帰るかどうかは俺が決めることだろう」


「えっとですね。話せば長くなるんですけど〜聞きます?」


「当たり前だ」


俺が即答すると女神は覚悟を決めたのかいろいろ話し出した。


「まずは、私のことから話しましょうか。私はディーナ、女神ディーナです。私の仕事は世界と世界の狭間に空いてしまう穴を治すことです。世界と世界の間には壁のような物があると思ってください。その世界の神がその世界の壁の修復と監視を行うのです。これを怠ると世界と世界が合わさりあい消滅してしまいます」


「お前、意外と重要なポジションだったんだな」


俺は、思わず感心した。ゲスなことを言っていた割に仕事はまともだ。


「わかってくれますか!この仕事の重要性が!あのクソ女神にこの仕事をなすりつけられてから私は来る日も来る日も1人で寂しくこの狭間で穴を修復し続けているんです。それにここ1000年は勇者召喚のせいで大きな穴が空きまくってるですよ。オヨヨ〜」


「ゲスって言って悪かったな。1人は寂しよな。お前はこんな大変そうな仕事をずっと1人でやってきたんだな。ぐすん」


柄にもなく涙目がででしまった。両親を亡くして1人になった俺だったが俺には時雨がいた。だかこの女神はどうだろうか?話を聞く限りずっと1人で少なくも1000(こいついくつだよ)重要な仕事をこなしてきたんだ。

しかし俺は重要なことに気がついた。まだ、帰れるかどうかの話がはっきりしない。だか今この女神に話を催促することは俺にはできない!!

そんな心の葛藤を知ってか知らずか女神が続きを話し出した。


「あのですね、勇者召喚は世界と世界の間に無理やり穴を空けて、違う世界の人を召喚します。しかし、龍さんの世界の神でない私は龍さんの世界に穴を空けることができないのです。穴を空けなくとも帰すことはできるのですがそれをやると、おそらく龍さんは龍さんがいなくなった時点より相当未来に転移することになると思います。神である私にとっての相当なので人間である龍さんにはすごく未来です。これは大袈裟かもしれませんが、もしかしたら龍さんがいた世界がなくなっているかもしれません。それでも帰る方法を聞きたいですか?」


俺は、なんとなくだか理由を話す前の女神の態度を見て帰れないんだろうなとは思っていたが実際に帰れない、帰っても遠い未来に帰ることになると聞いてどうしようもない感情が湧き上がり打ちひしがれた。


「アァァァァァァ!!」


絶望が俺を支配する。

そんな俺を見た女神が、俺の手を握りながら優しい声である提案をしてきた。


「こっちの世界で生きてみませんか?龍さんは巻き込まれした。横取りした私が言うのもなんなんですが、龍さんは完全な被害者です。だから私が龍さんに力をあげます。どうですか少し考えてみてくださいませんか?幸い時間は十分にあります。ここでしばらく考えてみてください」


女神と目があった。不意に俺の意識が遠くなる。


「今はゆっくり休んでください」


意識が沈むなか女神がそんなことを言った気がした。



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