女神はゲスい?
「・・・・す、・・よう・・ます」
む、なんだ?
「おはようございま〜す。起きてくださ〜い。りゅうさ〜ん」
誰の声だ?聞き覚えのない女の人の声が俺を呼んでいる。
まぁいいとりあえず起きるか。
俺が目を開けるとそこにはどこか神秘的な真っ白な空間が広がっていた。俺は唖然とする。
どこだここ?確か時雨と一緒に下校していたはずだ。
パニックなど起きない。唖然とし過ぎて起こす気にもならない。
「あ、起きてくれましたね!」
さっき俺を呼んでいた声の持ち主が声をかけてきた。
だが今は無視だ。自分の置かれた状況を考えるので精一杯だ。
「ね〜ね〜無視しないでくださいよ〜」
ちっしょうがない話を聞いてやるとするか。
「なんだ?俺は今忙しいんだ。今この状況を説明出来ないなら話しかけるな」
「む〜なんですかその態度は。まぁいいです。私は心の広い女神ですから許してあげます」
おい待て、
今こいつなんて言った?女神?ふざけてるのか?
「それでは、今の状況を説明しましょう」
女神と名乗った女を改めて見るとなかなかの美人だ。
茶色い髪を伸ばしどこかのほほんとした顔の持ち主。
ちなみに巨乳だ。
えっへんといった感じのポーズをとる彼女の胸を意識しないようにするのが辛い。
俺は年頃の男の子なのだ。
そんなことなど気づかないのか気にしないのか知らないが彼女は話しだす。
「え〜と、簡単に言うと貴方は異世界に勇者として召喚されるはずでした」
「なっ、なんやて!?」
あまりの突拍子のない話に大阪の某高校生探偵のような驚き方をしてしまった。ちなみに俺は関西人じゃない。
「ちょっとまて、でしたってなんだ?でしたって」
「あのですね、トラバース帝国という国が勇者召喚をおこなって呼ばれたのが龍さんです。でも、帝国の信仰している神が私じゃないのと、その女神が気にくわないので勇者横取りしちゃいました!テヘ」
「女神ってそんなことしていいのかよ!!」
「あんまりやらない方がいいんですけどね〜。反省はしてませんし、後悔もしてません!」
「何その傍若無人っぷり本当に女神なの?引くわ〜」
思わずそんなことを口走ってしまった。
すると女神は泣きながら言い訳してきた。
「だって、だって、皇国とか王国その他たくさんの国が100年に3〜4回は勇者召喚するから次元の穴を治す役目の私は大変なんですよ?そこに、憎きおん仇の女神を信仰する帝国が勇者召喚を行ったんです。それを横取りして勇者召喚を失敗させればしばらく召喚はしなくなるしあのクソ女神の信仰がなくならずとも少なくなるとは思いませんか?」
「お前、見た目清楚そうで可愛い割にゲスいな」
俺はもうこいつが女神なんて思えない。最初っから使ってなかったが敬語を使おうとも思えなくなっていたのだった。