そして俺は
「どうも、赤城 龍18歳です。一応、主人公やってます。」
「りゅうちゃん?どうしたのいきなり」
「いや、ただの自己紹介だ。きにするな」
「ふぅ〜ん、そうなんだ。変なりゅうちゃん」
俺の突拍子のない自己紹介にご近所で幼馴染みでもある坂本 時雨が訝しげな顔を向けてきた。
時雨とは長い付き合いだ。家もご近所(というか俺の家の目の前だ)ということもあり小さい頃から家族ぐるみでの付き合いだ。
もともと面倒見が良かった時雨であったが12歳の時に俺の両親が旅行先で死んでしまってからその面倒見の良さに拍車がかかった。
一応、親戚の叔母さんが保護者代わりになっているが
叔母さんは海外に住んでいるので俺は1人暮らしだ。
そんな俺を時雨は、何かと気にかけていてくれるのだ。
なんともありがたい。
こんなことを考えながら俺は、時雨とともに下校中なのだが不意に時雨が走り出す。
「りゅうちゃん走って」
時雨のそんな一言でおもむろに前を見ると信号が点滅していた。
時雨は、たまにこうゆうことをする。
面倒見が良く眉目秀麗でスポーツ万能どこの漫画の主人公だとツッコミたくなるような奴のくせに俺といるときだけどこの小学生だと言いたくなるような悪さをする。
曰く、俺の家に勝手に上がりこんで人を脅かしてみたり
曰く、筆箱の中身を全部取り替えてみたり
曰く、今回のように、赤信号になる寸前で人を走らせてみたり
そうゆう時、俺は適当に流すことにしている。
今回ならば、時雨だけ走らせて俺は信号で止まる。
信号を渡り終えた時雨が膨れっ面でこっちを見ている。
そんな時雨に愛想笑いを返して俺は手を振った。
横断歩道の信号が赤になり車まが走り出す。
俺たちの目の前を大型トラックが横切ったそのとき
俺の意識が遠のくのだった。