掌編小説集1 (1話~50話) お手 作者: 蹴沢缶九郎 掲載日:2015/12/23 飼い主は何度も犬にお手を教えたが、その犬は一度もお手をした事がない。 犬のしつけに関する本を読んだり、ドッグトレーナーに頼んでみた事もあったが駄目だった。やはり犬はお手をしない。 近所の人、登下校中の小学生、誰が相手でも結果は同じ。 しかし、お手以外の指示にはちゃんと従うのだ。 時間を置き、飼い主は思い付いた時に、 「お手。」 と言ってみるが、犬は従わない。 犬は知っていたのだ、自分にあるのは前足で手がない事を…。