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STORY20-4 『調子に乗るな!』

柚子葉達が模擬店を行っている教室は客の入りが良かった。

ちょうど時間も昼時ということもあってか廊下に行列ができるほどだった。

教室内ではクラス全員で対応に追われている。

女性の客には男子生徒が、男性の客には女子生徒が注文を取り調理用のスペースに注文を伝えるという方式になっている。調理できた料理は近くにいる人が持っていく。

柚子葉も調理に追われていると廊下から男性の声が聞こえた。


「おい、まだかよ!」

「早く座らせろよ」


柚子葉が調理用のスペースから廊下を覗くと教室に顔を出している二人の男性の姿が見えた。

濱田が二人の男性のところに行きなにやら説明をしている。

話し終えたのか濱田が調理用のスペース内に入ってきた。


「悪い。誰か山上呼んできてくれ」

「山上?」

「あぁ。今のところは何もないけど念のためにな。あいつがいれば抑止になるだろうし」

「私が行ってくるよ」

「じゃあ、中村頼む。なるべく急いでくれ」


濱田の言葉に中村は頷き教室を出て行った。

そうこうしていると二人の男性が教室の席に案内されていた。

注文をとりにいった真希になにやら声をかけているようが上手く交わして注文を調理用スペースに持ってきた。


「真希なんて言われたの?」

「『かわいいね』とか『仕事終わったら一緒に回らない』とか言われてナンパされた。まぁ、上手く逃げたけど。あ、これ注文」


真希は注文を柚子葉に渡してまた教室内に戻っていった。

柚子葉は注文を同じ調理班に伝え自分も調理にかかった。

料理ができたが近くに誰もウェイター班の姿がなかったので自分で持って行くことにした。


「ごめん。私これ持って行ってくるね」

「そうだね。待たせてるとまた何か言いそうだし。今は注文も止まってるし大丈夫」

「それじゃあ行ってくるね」


隣にいた生徒に声をかけ、柚子葉は料理を持って二人組みの男性のところに向かった。

二人組みはなにやら話していたが柚子葉が机の上に料理を置くと二人は柚子葉に顔を向けた。


「あれ?君もかわいいね」

「エプロン着けてるけどこれ君が作ったの?」

「は、はい。それじゃあごゆっくり」

「まぁまぁ。君もここで一緒に食べなよ」


そういうと男性は歩き出そうとしていた柚子葉の腕を掴んだ。

柚子葉は腕を振りほどこうとしたが男性の力には敵わずどうしても離れなかった。


「ほらほら。どうせ暇なんでしょ?」

「いいじゃない」

「離してください」


柚子葉が振りほどこうと試みるがやはり離れない。

困惑していると柚子葉の横から手が出てきて柚子葉の腕を掴んでいる男性の腕を捻り上げた。

柚子葉が驚いて隣を見ると肩で息をしている深夜の姿があった。

深夜は柚子葉の腕から手が離れたのを確認して男性の手を離して膝に手をついた。


「し、深夜!?」

「ちょ…全力疾走してきたから…きつい」


深夜は少し落ち着いたら二人組みの男性を睨んだ。

深夜の睨みに二人組みの男性も睨み返してきた


「うちの店員に何か用でも?」

「あ?お前なんだよ」

「この店の警備員だよ。これ以上うちの店員に迷惑をかけるならこの店から強制的に排除させてもらう」

「調子に乗るな!」


深夜の挑発に一人の男性が深夜に殴りかかってきた。

深夜はそれをかわして男性の顔にアイアンクローを繰り出した。


「これ以上暴れるならもっと力入れてもいいんだけどどうする?」

「うっせぇ!」


もう一人の男性も深夜に殴りかかってきたが空いている片手でその拳を掴んだ。


「ふぅ〜ん…」

「イテェ!!」


深夜は両手に力をこめた。

二人の男性はその痛さでその場に崩れ落ちた。

深夜はそのままひきずるように歩き出して二人を廊下に放り出した。


「これ以上するっていうなら本気で相手してやる。さっきみたいに手加減はしない」


深夜がそういうと二人組みは立ち上がって深夜を睨んだ後去っていった。

深夜は教室に入ると濱田が店内に残っている客に頭を下げた。


「騒がしくして申し訳ありません。騒がしくしたお詫びとして一品サービスさせていただきます」


濱田はそういってクラスの皆に指示を出した。

深夜は濱田の隣に立った。


「悪いな。あんな方法しかできなくて」

「いや。お前も考えてたんだろ?」

「は?」

「あいつらを殴らなかったのはあまり騒ぎを大きくしたくなかったからなんだろ?」

「まぁな。後は殴って反撃されたら他の客に迷惑がかかるだろうから反撃されなくて力を示せるあれしたんだけど」

「結果オーライだからいいんじゃないか?」


濱田はそういって深夜の肩を叩いた。

深夜も照れくさそうに濱田の肩を叩いて笑みを浮かべた。


「さて、じゃあ俺にも何か仕事くれよ」

「お前見回りの仕事は?」

「何かもういいってさ。この腕章だけつけておけば後は自由。何かあったら呼び出されるみたいだけど今は暇」

「じゃあ、調理のほうに回ってくれよ。あっちは疲労が溜まってるしお前が接客したら客が怖がる」

「うっせぇ。…もうすぐ中村と大崎も戻ってくるだろうしクラス一丸でやるか」


深夜はそういって調理用のスペースに入った。

深夜の姿を見た柚子葉は声をあげた。


「あれ?深夜どうしたの?」

「手伝いに来た」

「え?見回りは?」

「とりあえずは今現在は暇だから。何したらいい?」

「えっと…じゃあこれ切ってくれる?」


柚子葉はそういって包丁と材料を渡した。

深夜の料理の腕前を知らない調理班は自分の仕事の手を止めて深夜のほうを見ている。

深夜は一番上の制服を脱いでTシャツを腕まくりして包丁を動かした。

その腕前に調理スペースからはため息がもれた。


「はい、終了。ほらほら、手を止めずに動かす動かす」


深夜は切った材料を柚子葉に渡し、手を止めていた連中を促した。

手を止めていた人は深夜の言葉を聞いて自分の仕事を進め始めた。

深夜と柚子葉は顔を見合わせて笑みを浮かべた。


「さて、俺らもやるか」

「うん」


深夜と柚子葉も隣同士で作業を進めた。

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