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STORY19-2 『あっと…似合ってる』

柚子葉が苦笑いを浮かべるとインターホンが鳴った。


「真だな」


勇一は立ち上がって玄関に向かった。

今度は勇一と真が二人揃ってリビングに入ってきた。


「よぉ。浴衣持ってきたぞ」


そういった真の手には浴衣があった。

一つは青色、そしてもう一つは紺色。


「こっちが柚子葉ちゃんのね。で、こっちが深夜の」


真は青色の浴衣を柚子葉に、紺色の浴衣を深夜に渡した。

二人が浴衣を受け取ったのを確認した勇一は真に話しかけた。


「家まで持ってきてもらって悪いな」

「いえ。どうせ昼から暇でしたから」

「で、いくらだ?」

「あぁ。金はいいですよ」

「は?」

「ただ、二人が浴衣着ているところを写真に撮らせてもらうっていうのが条件ですけど」

「つまり、モデルって言うことか?」

「ええ。店のポスターに二人を使いたんですよ」


勇一は深夜と柚子葉のほうを向いた。


「だとさ。二人はどうする?」

「…俺はやだ」

「深夜?」

「だってさ、店のポスターってことはいろんな人に見られるんだろ?絶対に嫌だ」


深夜の言葉を聞いた勇一と真は顔を見合わせた。


「分かったよ。じゃあ、この浴衣は俺からの餞別だ」

「餞別?」

「そ。お前らの受験が合格するようにって言うな」

「ありがとうございます!」


柚子葉の言葉に真は満面の笑みを浮かべた。


「いいって。さてと、深夜。どこか部屋貸してくれ」

「は?なんで?」

「なんでって着付けしないといけないだろ?お前はともかく柚子葉ちゃんは」

「着付けって誰が?」

「そんなの俺に決まってるだろうが」

「は!?」


深夜の声に真は笑った。


「冗談だよ。ちゃんと着付けが出来る女性を連れてきてるって」


真がそういうのと同時に一人の女性がリビングに入ってきた。

深夜は真に顔を向けて聞いた。


「真さん、この人は?」

「ん?俺の彼女」

「は!?」


深夜は真の言葉を聞いてリビングに入ってきた女性を見た。

柚子葉と勇一も一緒に女性を見た。

三人の視線を受けた女性は居心地が悪いようで真に助けを請うような視線を送っている。

真は女性の前に立って三人に話しかけた。


「何だよ」

「いや、どうみたってその人俺とあまり年が変わらないように見えるんすけど」

「あ〜、だってこいつ20だから」


真は女性を指差しながら答えた。

そして、女性に話しかけた。


「ほら。自己紹介したら」


真の言葉に女性はゆっくりと真の背中から出てきた。


「えっと、岡村彩です」

「20っていうと…9歳下?」

「そうなるな。ほら、こんな話はどうでもいいだろうが。部屋はどこを使えばいいんだ?」


真の言葉を聞いた深夜はとりあえず空いている部屋を教えた。

深夜が教えた部屋に彩と柚子葉が入っていったところで深夜も浴衣に着替え始めた。

深夜と勇一は真に彩のことを聞き始めた。


「真さん、いつから付き合ってんすか?」

「ん〜、6月からかな」

「出会いは?」

「彩がナンパされてるところにたまたま通りかかって助けてついでだからってことで送っていった」

「で、送り狼と」

「あのなぁ〜…。本当にお前は俺をなんだと思ってんだよ」


真は深夜の言葉を聞いてため息をついた。

勇一はその隣で口元に笑みを浮かべている。


「その日は何もしてねぇよ。助けた後にあいつが俺の店に来たんだよ」

「それって偶然に?」

「あぁ。あいつもファッション系の仕事に就きたいらしくていろんな店を回って勉強してるんだよ。で、話をしているうちにバイトすることになってそれから俺が告白した」

「え!?真さんから?」

「わりぃかよ」

「いや、別に…」


そうこういってるうちに深夜は浴衣に着替え終わった。

また三人で話してると部屋から彩が出てきた。

それに気づいた真が彩に声をかけた。


「彩、終わった?」

「はい」


それから柚子葉もゆっくり部屋から出てきた。

青色の浴衣を着て、髪をアップにまとめている柚子葉の姿に深夜は少し見惚れた。

勇一は笑みを浮かべて柚子葉に話しかけた。


「へぇ〜。山下、似合ってるじゃないか」

「あ、ありがとうございます」

「相変わらず真の選ぶ服はハズレがないよな」

「これは彩が選んだんですよ」


真の言葉を聞いた勇一は感心したように彩を見た。

彩は恥ずかしげにうつむいた。

勇一は彩に声をかけた。


「山下のことを真から聞いて選んだ?」

「はい。話を聞いて青色が似合うのではないかと思って…」

「うん。いいセンスを持ってると思うよ」


勇一の言葉に彩はまたうつむいた。

彩の姿を見た勇一は穏やかな笑みを浮かべた。

その後、深夜のほうを向いた。


「お前はいつまで見惚れてるんだ」

「え?」


深夜は勇一の言葉でやっと反応を示した。

真は深夜の行動に笑みを浮かべた。


「お前一年前もそんな反応したよな。ドレスを着た柚子葉ちゃんに見惚れて」

「成長してないのかよ、お前は…」


深夜は勇一と真の言葉にムッとしながら柚子葉に近づく。


「あっと…似合ってる」

「ありがとう」


柚子葉は深夜の言葉に満面の笑みで答えた。

深夜はその笑顔を見て少し顔を赤くなったが周りに分からないように玄関に向けて歩き出した。


「行こうぜ。あまり遅くなると人が多くなる」

「あ、うん。真さん、浴衣ありがとうございました。彩さんも着付けありがとうございました」

「ううん。浴衣似合ってるよ。祭り楽しんでおいで」

「はい!」


柚子葉は笑顔で玄関に向かっていった。

残った勇一は真に話しかけた。


「本当にわりぃな」

「いいですって。あの深夜の照れた顔を見れただけで充分ですよ、じゃあ、俺らも帰ります。忍によろしく」

「あぁ。また何かあったら頼むな」

「そのときは代金よろしく」


勇一は真の言葉に笑いながら手を上げた。

真と彩が話しながら玄関を出て行った後、勇一は携帯を取り出した。


「俺も忍と久しぶりにデートしようかな」

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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