STORY3-2 『じゃあ、うちに食べに来いよ』
三人がヒーローショーの会場に行くとすでに満員で座って見れる状況ではなかった。
「う〜ん、どうしよっか」
「この後はもうないのか?」
「えっと…あ、これが最後だ」
「おねえちゃん、みれないの?」
秀太は深夜と柚子葉のやりとりを見て心配そうに二人を見上げる。
話の内容を全て理解はできていないだろうが見れないということは分かってるようだ。
「えっと…」
「大丈夫だ」
深夜が自信満々に「大丈夫だ」と答えたので柚子葉はどうするか気になって深夜のほうを向いた。
深夜は秀太を持ち上げ自分の肩にのせた。
「これで見えるか?」
「うん!みえる!」
「そうか」
秀太を肩車して数分後にヒーローショーが始まった。秀太は嬉しそうにヒーローショーを見始めた。
柚子葉は秀太を肩車している深夜に申し訳ないように謝った。
「ごめんね。こんなことまでさせて」
「気にするな。ここまで来て秀太が見れないのはかわいそうだからな」
秀太を見ると秀太は嬉しそうにヒーローショーを見ている。
それを見て柚子葉は笑みを零した。
ヒーローショーを見終わると三人は昼食をとるためにレストラン階を歩き出した。
秀太は深夜の肩に乗ったままだ。
「山下、何食う?」
「私は何でも良いよ。そういう山上君は?」
「俺も何でも良いから山下に聞いたんだけど。秀太は何食べたい?」
「えっとね…うんとね…ハンバーグが食べたい!」
「ハンバーグね?」
「うん!」
「このあたりにハンバーグが食べれる店ってあったっけ?」
「さっきの店の前にハンバーグのサンプルが置いてあっただろ、確か」
「そうだっけ」
三人は少し来た道を戻った。
確かに深夜が言ったとおり店の前にハンバーグのサンプルが置いてある店があった。
「俺はここでいいけど山下はいいか?」
「あ、うん」
「じゃあ、入るか」
三人は店の中に入った。
店は昼の時間帯ということもあって満員だった。
三人は少し待って席に案内された。
「秀太はハンバーグだったよな?」
「うん!」
「山下は?」
「えっと、このカルボナーラ」
「じゃあ、注文してもいいか?」
「うん、大丈夫」
深夜は店員を呼び注文を伝えた。
秀太のハンバーグ、柚子葉のカルボナーラ、そして自分のミートソースを頼んだ。
頼んだ料理が来るまでさっきまで見ていたヒーローショーの話題を話した。
「あそこのシーンはよかった」などと話していると料理が運ばれてきた。
「へぇ〜、値段の割りに結構おいしいな」
「そうだね。私この味好き」
「秀太は?おいしいか?」
「うん!」
三人は食べ終わるとデパート内をぶらぶら歩いた。
途中本屋にも寄り深夜が欲しかった小説も買った。
秀太は高い目線が気に入ったのかデパートを歩く間ずっと深夜に肩車をしてもらっていた。
柚子葉がまた謝ろうとすると深夜は「気にしなくていい」と言い昔のことを話し出した。
「俺も小さい頃よく勇兄に肩車をしてもらってたんだ」
「そうなの?」
「あぁ。俺は親父が小さい頃から仕事ばっかであまり構ってもらってなかったから親父に肩車をしてもらう機会なんてなかったんだ。普段だって勇兄に頼む事もできなかったし。だからデパートに行くときだけは迷子にならないように肩車をしてもらってたんだ」
「へぇ〜」
そんなことを言いながらデパートの中を歩き回ったが特に何もすることもなくなったので帰ることにした。
帰りのバスの中で深夜が柚子葉に話しかけた。
「あ、そういえば今日はおばさん仕事か?」
「うん」
「じゃあ、うちに食べに来いよ」
「いいの?」
「いいから言ってるんだろ?姉貴もまた一緒に食べたいって言ってたし」
「じゃあ、言葉に甘えて…」
「よし」
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