STORY18-2 『気持ち悪い…』
次の日。
柚子葉は食堂で真希達と食事を取っていた。
今日は深夜と翔は一緒には食事を取っていない。
食べ終わえた柚子葉は職員室に行くために立ち上がった。
真希は立ち上がった柚子葉に話しかけた。
「柚子葉どこか行くの?」
「うん。職員室にちょっとね。じゃあ、行ってくる」
職員室に入ると勇一が近くに立っていた。
柚子葉に気づいた勇一が柚子葉に近づく。
周りには聞こえない大きさで柚子葉に話しかける。
「今職員室の中には子供がいる先生いないから。探すか放課後にまた来たほうがいいぞ」
「あ、はい。ありがとうございます」
柚子葉は勇一の言葉を聞いて職員室を出た。
真希達がいる食堂に戻ろうとも思ったがもう教室に戻ってるかもしれないと思い教室に戻った。
教室にはまだ真希達の姿がなかった。
翔がなにやら勉強をしていてその隣で深夜がアドバイスをしている。
二人に近寄ると気づいた深夜が声をかけた。
「珍しいな。一人って」
「職員室に行ったから」
「あぁ、そっか。で、いい情報は得られた?」
「ううん。子供がいる先生がいなかった。また放課後に行こうと思ってる」
「そっか」
二人の会話を聞いていた翔が話しかけてきた。
「何?どったの?」
「来週秀太が誕生日なの。でも、まだプレゼント買ってなくて…」
「あ〜、それで先生達に聞こうってことね」
「うん」
「あれ?でも勇一さんなら答えれるんじゃないか?深夜が小さい頃ってもう勇一さんや忍さんが面倒見てたんだろ?」
「俺もそう思って聞いたんだけど二人ともあまり覚えてなかったんだよ」
「そうか。じゃあ、やっぱり先生に聞いたほうが早いだろうな。…あ、深夜ここは?」
「あ?どこだよ」
深夜は問題集を覗き込んで翔に問題を教え始めたので柚子葉は自分の席に座った。
少しして、真希と圭も教室に戻ってきて昼休みが終わるまで他愛もない話をした。
そして放課後。
柚子葉が職員室に行くために歩いていると後ろから誰かが柚子葉に声をかけた。
「柚子」
柚子葉はその声を聞いて誰だがすぐに分かった。
振り返るとやはりそこには深夜が立っていた。
手には深夜のカバンと柚子葉のカバンの二つを持っていた。
「深夜、どうしたの?」
「俺も行く。ついでにそのまま帰れるようにカバンも持ってきた」
「あ、ありがとう」
柚子葉はお礼を言って深夜からカバンを受け取った。
深夜と柚子葉は二人揃って歩き出した。
職員室に入り周りを見渡すと一番近くに松田が立っていた。
「とりあえず近くにいるから松田に聞いてみるか?」
「そうだね」
深夜は柚子葉が頷くのを見て松田に近づく。
松田は深夜と柚子葉が近づいてくるのを見て仕事の手をやめた。
「どうした?」
「ちょっと聞きたいことがあるんすけどいいっすか?」
「俺に?何だ?」
深夜は柚子葉に目配せをして聞くように促した。
柚子葉は一歩前に進んで松田に聞いた。
「松田先生って子供いますか?」
「は?急にどうした?」
「弟にプレゼントを買わないといけなくて」
「弟?あぁ、あの子か」
松田は少し思い出すような仕草をした。
以前、秀太が学校に迷い込んだことがあるのを思い出したのだろう。
松田は二人に話しかけた。
「悪いけど俺のところは娘しかいないんだ」
「へぇ〜、年は?」
深夜は松田に聞いてみた。
隣で柚子葉は深夜の服を引っ張っている。
松田は二人の行動に笑みを浮かべて口を開いた。
「10歳と8歳。かわいいぞぉ」
「先生その顔やめたほうがいい」
「ん?」
「気持ち悪い…」
「山上!」
松田は深夜の言葉を聞いて声を荒げた。
深夜は笑ってその場を離れた。
柚子葉も急いで松田に頭を下げて深夜の後を追った。
「ちょっと、深夜」
「だってあの顔はねぇって。いい歳したおっさんの満面の笑みって」
「深夜が聞くからでしょう」
二人が話してると職員室に大竹が入ってきた。
大竹の姿を見つけた二人は近寄る。
「大竹先生」
「ん?山上に山下じゃないか。二人揃ってどうした?」
今度は深夜が先に口を開いた。
「先生って子供いるんでしょ?」
「あぁ。でもよく知ってるな」
大竹は二人を感心したような顔をして見た。
さすがに勇一から聞いたとは言えないのでその質問には答えず深夜はさらに質問をした。
「まぁ、そこは気にしないでください。男の子?」
「あぁ。今度の誕生日で5つだ」
「じゃあ、聞きたいことがあるんだけど」
「何だ?」
「その年頃の子供って誕生日に何あげたらいい?」
「は?…あぁ、山下の弟か?」
「お。察しがいいっすね。どこかの先生とは大違い」
「ん〜、それは誰のことを言ってるのかな?山上」
いきなり聞こえた声に深夜はピクっと肩を震わせた。
深夜はゆっくりを後ろを向いた。
いつのまにか松田が深夜の後ろに立っていた。
「いや〜、かわいい子供を持ってらっしゃる松田先生のことに決まってるじゃないですか」
「いまさら遅いわ」
松田は深夜の頭を軽く叩いて職員室を出て行った。
深夜は松田の後姿に軽く手を振ってまた大竹のほうに向きなおした。
「で、誕生日プレゼントどんなのがいい?」
「急にこっちに戻ったな。う〜ん、別に何でもいいと思うぞ」
「は?」
「いや、ある程度その子が喜ぶものだったらな。多分その年頃の子ってプレゼントをもらうこと自体が嬉しいもんじゃないかな」
「そんなもん?」
「そんなもんじゃないか」
「ふ〜ん、参考にするよ」
「ありがとうございます」
それから深夜と柚子葉は秀太のプレゼントを買いに街に出た。
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