STORY18-1 『深夜って子供好きだよね?』
ある日曜日。
深夜と柚子葉は二人で映画を見に街に出かけた。
話しながら歩いていると柚子葉はある方向に見覚えのある人を見た。
柚子葉は深夜に話しかけた。
「ねぇ、深夜」
「あ?どうした?」
「あれ、衛君じゃない?」
「衛?どこ?」
深夜は柚子葉が指差したほうを見た。
そちらのほうには確かに衛の姿が見えた。
その隣には女の子が立っていた。
二人は買い物に来ているようで衛の手には袋があった。
そのまま二人は街の中に消えていった。
「へぇ〜、衛の奴彼女出来たのか」
「深夜は知らなかったの?」
「あぁ。最近衛と連絡とってないし。今度あったときにからかってやろ」
「止めなよ」
「いいんだよ。それが俺なりの祝福。さ、映画始まるぞ」
「あ、うん」
深夜は柚子葉を促して歩き出した。
映画館に着くとついさっき始まったようで次回上演までかなり時間があった。
「タイミングわりぃ。…時間つぶしにどっか買い物にでも行くか?」
「そうだね。このまま待つのも暇だし」
時間まで深夜と柚子葉は街をブラブラ歩くことにした。
特に目的もなく歩いていると柚子葉がおもちゃ屋に立ち止まった。
「柚子?」
「そういえばもうそろそろ秀太誕生日だ」
「俺知らないけど秀太の誕生日いつ?」
「来週の土曜日。プレゼント買わないと」
「去年は何買ったんだ?」
「えっと、戦隊物の変身スーツだったかな」
「へぇ〜、で今年は?」
「それがまだ決めてなくて…」
「まぁ、来週学校で先生に聞いて回って決めれば?」
「え?」
「学校の先生なら子持ちもいるだろ?」
「あ、そうだね。そうするよ」
深夜の言葉を聞いて柚子葉は笑みを浮かべた。
確かに学校の先生にはいろんな人がいるし、子供がいる先生もたくさんいる。
そこで聞いて決めようと考えた。
「さて、時間もいいころだし映画見に行こうぜ」
「うん」
二人は先ほどの映画館に映画を見に戻った。
その日の夜。
深夜は柚子葉と秀太と共にリビングにいた。
勇一と忍は用事があるということで少しの間家に戻っている。
深夜はリビングで本を読んでいる。
そこに秀太が相手をしてもらいたいのか深夜の手から本をとりあげた。
「こら、秀太。本を返せ」
「や〜」
「このやろ」
深夜は秀太のお腹をくすぐっている。
秀太は笑い転げている。
柚子葉はTVを見ながら深夜に話しかけた。
「ねぇ、深夜…」
「ん?」
深夜は秀太の相手をしながら柚子葉のほうを向いた。
「どうした?」
「深夜って子供好きだよね?」
「あぁ。で?」
「もしだよ?もし、深夜が結婚した人が子供できない体だったらどうする?」
「何?今日の映画を見てそんなこと考えてたの?」
二人が見た映画は恋愛が入っていた。
その中で一組のカップルは子供ができないと理由で別れる場面があった。
「深夜はどうする?もしそんな人と結婚したら」
「その時になってみないと何とも言えない」
深夜は秀太をそこに待たせて柚子葉の隣に座った。
「まぁ、目的にもよると思うけどな」
「…目的?」
「例えば戦国時代とかだと後継ぎがいないといけないから別れないといけない。まぁ、極端な話だけど」
「う、うん。分かる」
「で、俺の意見としては…」
「うん」
「俺は一緒にいたいと思える人と結婚したい。兄貴達や姉貴達、それに親父達を見てるとやっぱりそういう人と結婚したいって思えるし。まぁ、自分の子供を欲しいとは思うけど子供が欲しいから離婚しようとは思えない。まずは、好きな人と一緒にいたいからな」
柚子葉は深夜の言葉を聞いて頷いた。
深夜は頬を掻きながらさらに言葉を続けた。
「でだ…。今俺が一緒にいたいのは柚子なんだけど。分かってる?」
「え?あ、うん…」
柚子葉は顔を赤くしながら頷いた。
深夜も少し顔を赤くして立ち上がった。
秀太のほうに戻ろうと深夜が振り返ると勇一と忍が二人揃って深夜を見ていた。
「勇兄、姉貴…。いつから聞いてた…?」
「悪いけど戦国時代のところから聞いてた」
勇一と忍は深夜達の近くある椅子に座った。
「深夜の言うこともあるけどそれが絶対ではない。その人たち次第ってことさ」
「そうよ。私と勇一には子供はいないけど楽しくやってるし、今のところ離婚したいとは思わないわね」
勇一と忍は柚子葉に諭すように話しかけた。
柚子葉は二人の言葉を聞いて頷いた。
「はい」
「まぁ、深夜と結婚すれば幸せになれるんじゃないか?」
「勇兄!」
深夜の反応を見て勇一と忍は笑みを浮かべた。
「冗談だよ。でも、今のところ一番ありえるんじゃないか?」
「いや、まぁ確かにそうだけど」
「ま、これから何があるか分からんけど俺らでよかったら相談乗ってやるから」
「はい。ありがとうございます」
柚子葉は二人に頭を下げた。
勇一と忍は笑顔で柚子葉のほうを向いている。
その後、話をしていると秀太が眠ってしまった。
そこで深夜は勇一と忍に聞いてみた。
「なぁ、二人とも。俺が小さい頃って何を基準に誕生日プレゼント選んでた?」
「どうした、急に?」
「来週秀太誕生日なんだってよ。で、まだプレゼント買ってないんだ」
「へぇ〜。深夜が小さい頃ねぇ…。悪い、あんまり覚えてない。忍は?」
「う〜ん、深夜がTVで興味を持ってたものを買ってた気がする」
「やっぱり先生達に聞くか?」
深夜は柚子葉に顔を向けて口を開いた。
柚子葉は頷いて答えた。
「うん。そうしようか」
「先生って学校のか?」
「あぁ。先生だったら子供いる人もいるだろ?」
「なるほどな。確か大竹先生に秀太と同じくらいの子供がいるはずだ」
「分かりました。じゃあ、大竹先生に聞いてみます」
柚子葉は勇一の話を聞いて頷いた。
秀太が眠っているので柚子葉は自分の家に戻ることにした。
深夜も秀太を抱き上げて柚子葉の家に向かった。
柚子葉の家に着いて秀太を柚子葉に渡した深夜は自分の家に戻った。
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