STORY17-7 『山上先輩!好きです!』
試合を応援してると真希が柚子葉に話しかけた。
「山上もさすがにあれじゃあ何もできないね」
「うん。あんなに傍にいたらね」
柚子葉は深夜のほうを見ながら口を開いた。
深夜の隣には絶えず大村がくっついている。
「柚子葉がもっと大きい声で応援したらどうにかなるかもよ」
「え〜、それはないんじゃない?」
柚子葉はそういいながら深夜をずっと見てる。
何やら試合中にも関わらず深夜と大村は話してるようだ。
そこに一人の女子高生の声が聞こえた。
「山上先輩〜!頑張ってください〜〜!」
柚子葉がそっちのほうを向くと先ほど柚子葉に宣戦布告をしてきた女生徒が一生懸命応援していた。
真希もそっちのほうを見ながら柚子葉に話しかけた。
「ほら、柚子葉もしっかり応援しないと」
真希の言葉に隣にいた圭も頷いている。
柚子葉は少し迷ったが覚悟を決めて大声を出した。
「深夜!頑張って!!」
が、すぐに恥ずかしくなって下を向いた。
真希が下を向いている柚子葉の肩を揺らした。
「柚子葉!山上見て!」
柚子葉は真希が指差しているほうを向いた。
深夜がゴールに向けて走っている。
そして、急に止まった。
翔からボールを受け取り数秒でゴールを決めた。
ゴールが決まったのを見て柚子葉は反射的に立ち上がった。
「やったぁ!」
隣で真希と圭も立ち上がって柚子葉に話しかけた。
「柚子葉の応援のおかげだよ」
「そんなことないって」
「でも柚子葉が応援してからすぐに決めたじゃない」
そんな話をしていると深夜がこっちのほうを向いた。
柚子葉のほうをチラッと見た後クラスメイトに向けて声をかけたのが分かった。
試合が終わり、深夜と翔がこっちのほうに歩いてきた。
「お疲れ様」
「ホントだよ。まぁ、勝ててよかった」
「次決勝でしょ?頑張ってね」
「あぁ」
深夜はそういって座り込んだ。
翔と真希、圭も近くで話している。
そこに柚子葉に宣戦布告をしてきた女子高生が歩いてきた。
「山上先輩、お疲れ様です。あの、これ…」
女子高生は深夜にタオルを差し出してきた。
深夜はタオルを指差しながら口を開いた。
「これ何?」
「あの、使ってください」
「いらない」
深夜は一言で断った。
女子高生は深夜に断られショックを受けたようだ。
柚子葉は深夜の服を引っ張った。
「し、深夜。それはひどくない?」
「そうか?まだ柚子に渡されるなら使うけどあまり知らん奴に渡されても困るだけだろ?」
「でも…」
「それにあんた何なの?さっきも何か俺に用事があったみたいだけど何?」
深夜は女子高生に向けて口を開いた。
柚子葉はその声が少しいらついているように感じた。
女子高生は少し言いにくそうにしていたが深夜の顔を見据えて声に出した。
「山上先輩!好きです!」
「は?」
いきなりの女子高生の告白に深夜は事情がつかめていないようだ。
近くに座っていた翔と真希、圭は呆然としている。
深夜はため息をつきながら声を出した。
「俺付き合ってる人いるんだけど」
「知ってます。でも、私のほうが山上先輩にあってると思うんです」
深夜はその言葉にピクと肩を震わせた。
「へぇ〜、何でそんな風に思うんだ?」
深夜の声を聞いた翔と柚子葉は反射的に深夜のほうを向いた。
深夜は無表情で女子高生の顔を見ている。
翔は柚子葉に近づいた。
「お、おい。深夜やばくないか?」
「翔君もそう思う?」
翔と柚子葉は深夜と女子高生を見た。
女子高生は深夜の問いに答えた。
「山下先輩と山上先輩って似合ってないと思ったからです。それにさっき私が山下先輩に山上先輩のことが好きだって言ったけど何も言いませんでした。そのぐらいしか好きじゃないなら私と付き合ってください」
深夜はその言葉を聞いて柚子葉のほうを向いた。
「さっきおかしかったのはこれが原因か?」
「え?」
「昼休み。俺の顔をちらちら見てただろ?これが原因なのか?」
「う、うん」
深夜は柚子葉の言葉を聞いてため息をついた。
「なんでこんなことで落ち込むかな」
「だって、深夜勉強も運動もできるし。私でいいのかなって…」
「あのなぁ、勉強とか運動とかそんなの付加価値だろ?」
「付加価値?」
柚子葉は深夜の言葉の意図が分からず深夜に聞きなおした。
深夜は頭を掻きながら口を開いた。
「あんまりこんなこと言いたくないんだけどなぁ。…俺が好きなのは柚子なんだよ。勉強とか運動とかはあんまり重要なところじゃないだろ。『柚子』って言う根本的なところがあってこその付加価値なの。分かる?」
柚子葉は深夜の言葉を聞いて何も反応を返さなかった。
翔が深夜につぶやいた。
「深夜…クセェ」
それに真希と圭も続いた。
「山上、そんなクサイセリフ言うんだね」
「あ〜あ、この辺だけなんか暑くなったね」
「うっせぇ!俺だって言いたくなかったんだよ!」
深夜は翔達に向けて怒鳴った。
翔達は深夜の反応を見て笑い出した。
深夜はため息をついて女子高生に向けて口を開いた。
「これから柚子と別れない保証はない」
「は!?深夜お前何言ってんだ?」
翔は深夜の言葉を聞いて声を出した。
逆に女子高生は深夜の言葉を聞いて笑顔を浮かべた。
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