STORY17-3 『え、私のせい?』
クラスマッチ当日。
柚子葉は真希と圭と一緒にバレーの試合会場にいた。
柚子葉達のクラスは次が試合なので前の試合が終わるのを待っていた。
そこに深夜と翔が歩いてきた。
近づいた翔が柚子葉達に話しかける。
「どう?調子は?」
「う〜ん、微妙。そっちは?」
「俺らは順調に勝ってるよ。ソフトもサッカーも」
「そっか。あ、終わったみたい」
話してると前の試合が終わった。
柚子葉達が立ち上がったのを見て深夜が柚子葉に話しかけた。
「いまから試合?」
「うん。そうだよ」
「じゃあ、応援していくか?」
「そうだな」
深夜と翔は試合が見える位置に座った。
柚子葉達の試合が始まった。
柚子葉の高校では運動部に所属している生徒はその競技にはでてはいけないルールがある。
そのせいか点を取って取られての試合になった。
深夜達は試合を見てたが達志が二人を呼びに来た。
「もうすぐ試合だぞ」
「あぁ」
「山下達負けてるのか?」
「いや、勝ってるよ」
深夜と翔は立ち上がりながら達志に試合状況を伝えた。
行こうとして入り口のほうに歩き出すと笛が鳴った。
コートのほうを見ると柚子葉達のクラスの勝利で試合が終わっていた。
柚子葉と目が合った深夜は手を上げて入り口のほうに歩いた。
それを見ていた真希と圭は柚子葉に話しかける。
「山上達の応援に行こう?」
「うん。さっき応援してもらったしね」
柚子葉達は同じチームのメンバーに応援に行くことを伝え深夜達の後を追っていった。
追っていくと下駄箱で下足に履き替えている深夜達に追いついた。
柚子葉達に気づいた翔が話しかけた。
「あれ?山下たちどうしたの?」
「応援しに来たに決まってるじゃない」
「そうそう。さっき応援してもらったし」
下足に履き替えた深夜達は運動場に向かって揃って歩き出した。
深夜の隣に並んだ柚子葉は深夜に話しかけた。
「今からどっちの試合なの?」
「ソフト。その後すぐサッカーの試合」
「うわぁ、ハードだね」
「まったくだ」
話しながら歩いてソフト会場に向かった。
会場に着くとちょうど試合が終わった。
「丁度良かったな」
「よし、じゃあ頑張るか」
深夜達は待っていたメンバーのところに向かって歩き出した。
柚子葉達は試合が良く見える場所に座った。
深夜達のクラスは後攻になったようでそれぞれポジションに散っていった。
深夜はショートに、翔はセンター、達志はファーストの守備に就いた。
試合が始まり、いきなり深夜のところにボールが飛んだ。
深夜はボールの正面に入り、軽快にさばいてファーストにボールを放った。
達志もそのボールを難なく取りアウトを一つ取った。
その一連の流れを見ていた真希は柚子葉に話しかけた。
「山上上手いね。野球してたのかな?」
「ううん。したことないって言ってたよ」
「え?ホントに?」
「うん」
そんな話をしてると気がついたらチェンジになった。
柚子葉達はベンチに戻ってくる深夜達を拍手で迎えた。
深夜が柚子葉達と話せる位置に来たので真希は深夜に話しかけた。
「ねぇねぇ、山上」
「ん?何だ?」
「山上って野球したことあるの?」
「本格的にはしたことはない」
「本格的?」
「小学校のときに遊びでやったりはしたってこと。野球チームに入ったりとかはしてない」
「それでも上手いよね?」
「そうか?あ、俺打順だから」
「深夜、頑張ってね」
「あいよ」
深夜は柚子葉の言葉に軽く手を振って打席に向かった。
深夜が打席に入るとどこかから女子の声が聞こえた。
「山上先輩!頑張ってくださ〜い!」
深夜は特に気にしてないようでバットを構えた。
柚子葉はその声が聞こえたほうを向くが誰が言ったのかは分からなかった。
真希と圭は柚子葉に話しかけた。
「珍しい人がいるね。山上を応援するって」
「うん」
「柚子葉も負けないように応援しないと!」
「私はいいよ」
話してると金属音が聞こえた。
柚子葉がそちらのほうを見ると深夜がボールを打った。
が、センターに捕られた。
深夜のアウトでチェンジとなった。
深夜がグローブを取りにまた柚子葉達の近くに歩いてきた。
「惜しかったね」
「当たりは良かったんだけどな。柚子の応援が足りなかったからな」
「え、私のせい?」
深夜は柚子葉の言葉に笑みを浮かべ頭をつついた。
「んなわけないだろうが」
深夜は笑みを浮かべたままショートに向かっていった。
柚子葉はつつかれた箇所を手で押さえて深夜を見送った。
ふと横を見ると真希と圭がニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべていた。
柚子葉は急に恥ずかしくなって下を向いた。
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