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STORY16-4 『キャアアアア!』

柚子葉は着替えた後、秀太の着替えを手伝ってやり深夜の家に向かった。

深夜は最近柚子葉が来る日は玄関の鍵を開けているので柚子葉はインタホーンを鳴らした後ドアを開けて入った。

深夜はリビングで座っていた。

その隣に柚子葉も座った。

深夜は柚子葉が座ったのを確認して声をかけた。


「じゃあ、やるか」

「お願いします」

「ん。今日は数学をするか」


深夜はそういって数学の問題集を開いた。

柚子葉も問題集を開いた。

最近はこうやって勉強をするようになっていた。

深夜と柚子葉の志望大学は一緒なので深夜が柚子葉の勉強を見るようになった。

柚子葉は深夜の勉強を邪魔するのではないかと思い最初は断ったのだが結局教えてもらうようにした。

基本的には個人で勉強をし、分からないところは柚子葉が深夜に聞く。

そういった方法で勉強会をしている。

3年になって柚子葉の成績は順位でいうと10位以上上がった。

志望大学の判定もC判定からB判定になった。

数時間勉強をした後、深夜は外を見ながら口を開いた。


「雨すげぇな」


深夜の言葉も柚子葉も外を見た。

窓を大粒の雨が叩いている。

深夜は柚子葉に話しかけた。


「今日おばさんいないんだろ?大丈夫か?」

「あ、うん。大丈夫だよ」


柚子葉が答えると同時に雷がどこかに落ちた。

その音に柚子葉は驚いて深夜に抱きついた。

深夜は柚子葉の頭を撫でながらつぶやいた。


「大丈夫…ねぇ」

「あ、実は…私雷苦手なの」

「それでよく大丈夫だって言ったなぁ」

「だって…キャア!」


深夜と柚子葉が話してるとまた雷が落ちた。

柚子葉は驚いて声を出した。

深夜はゆっくりと柚子葉の背中を撫でてやった。


「大丈夫だって。ほら、見ろよ。秀太は楽しそうに外を見てるぜ」


深夜の言葉に柚子葉がゆっくりと頭を上げて窓のほうを見ると秀太が外を見ながら声を出している。

秀太は笑顔で深夜達に駆け寄ってくる。


「すごいねぇ」

「秀太は雷怖くないのか?」

「うん!たのしい!」

「だとさ…」


深夜は柚子葉に顔を向けながら口を開いた。

柚子葉は弟の言葉に恥ずかしそうに頭を掻いた。

深夜は立ち上がった。


「さてと、じゃあ晩飯の仕度を始めるか」

「あ、私も…」

「お前はここで待機。料理中に雷に驚いて包丁で指を切られたら困る」

「大丈夫だよ」

「さっき雷で驚いていたのはどこのどいつだよ。いいからお前はここで勉強してろ」


深夜はそういって台所に向かって歩き出した。

柚子葉は深夜の後姿を睨んだがため息をついて問題集に向かった。

深夜が夕食の仕度を終えるまでに幸いか雷は一度も落ちなかった。

深夜は仕度を終え柚子葉に声をかけた。


「今日は姉貴達の帰りも分からないからさっさと食べよう」

「あ、うん。秀太ご飯食べよう」

「うん!」


深夜達は食事を取った。

その後、また三人でリビングに集まった。

深夜と柚子葉が話してると秀太が眠りについた。

深夜は柚子葉に話しかけた。


「お前今日どうする?」

「え?」

「だって、あんなに雷苦手なのに一人で寝るのは無理だろう」

「他に手ないじゃない」

「姉貴の部屋で寝たらいいだろ。…さすがにここで寝られるのは俺が我慢できない」

「え?」


深夜が小さく呟いた言葉を柚子葉が聞きなおした。

深夜はそれに手を振った。


「なんでもない。どうせ姉貴も一回はここに顔出すだろうからそのときに頼めよ」

「でも…」

「あのなぁ〜、自分の彼女があれだけ怖がってたら普通ほっとけないって」

「忍さん達に迷惑かけない?」

「大丈夫だって」


深夜は笑顔で柚子葉の肩を抱き寄せた。

柚子葉も深夜に体を預けた。


「何で柚子は雷が苦手なんだ?」

「覚えてないよ。小さい頃から苦手だったのは覚えてるけど。やっぱりあの音かな…」

「ふぅ〜ん」

「深夜は苦手なものないの?」

「え?俺?…ないよ」

「…その間は何?」

「気にすんな」


深夜は遠いところを見て口を開いた。

柚子葉は深夜の顔を睨んだ。

深夜はゆっくりと柚子葉のほうを見る。

深夜は顔を近づける。

柚子葉は深夜の顔を手で止める。

深夜は顔をしかめて口を開いた。


「なんだよ、この手は」

「その手にはだまされないよ。深夜には苦手なものはないの?」

「あるよ。けど、言わない」

「どうして?」

「どうしても。もういいだろ?」


深夜はまたゆっくりと柚子葉に顔を近づける。

柚子葉も観念したのか目を閉じた。

そして、二人の唇が触れる瞬間に雷が落ち停電が起こった。


「キャアアアア!」


柚子葉は深夜に抱きついた。

というより体当たりしたといったほうが正しいかもしれない。

深夜は柚子葉の体当たりに体のバランスを崩したが優しく抱きしめた。


「柚子…」

「あ、ごめん」

「停電は大丈夫なのか?」

「…苦手」

「やっぱりね…。こうなるとなおさら一人で帰すわけにはいかん」

「ごめんね」

「いいから」


深夜はゆっくりと柚子葉の背中を撫でた。


「俺ロウソクとってくる」

「お願い。行かないで…」

「は?」

「お願い…。怖いの」

「あのなぁ…。この先何時間停電かも分からないんだからロウソクがあったほうがいいだろ?」

「お願い。もう少しだけ。慣れるまでこのままで」


柚子葉の言葉に深夜はため息をついて柚子葉の頭に手を置いた。


「分かった分かった。お前が慣れるまでこのままでいる」

「ごめんね」

「別にいいよ」


二人はそのまま抱き合った。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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