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STORY16-1 『あ!傘が…』

雨が降っている日の朝。

柚子葉が学校に行く準備をしているとTVを見ていた恭子が柚子葉に話しかけた。


「柚子葉。今日大丈夫?」

「え?」

「ほら。これ」


恭子はTVを指差しながら柚子葉に顔を向けた。

TVでは台風のニュースが報道されている。

柚子葉はTVの内容に顔を曇らせた。


「どうにかするよ」

「やっぱり私今日の仕事休もうか?」

「大丈夫だよ。お母さんも仕事頑張ってね」


柚子葉はカバンを持って玄関に向かった。

恭子は靴を履いている柚子葉に声をかけた。


「柚子葉。何かあったら深夜君に電話するのよ」

「え?」

「真上でしょ?深夜君なら力になってくれるから電話するのよ」

「はいはい。じゃあ行ってきます」


柚子葉は傘をさして家を出た。

学校に着くとまだ真希や圭は来ていなかった。

机に座って勉強をしていると深夜が教室に入ってきた。


「おはよう」

「うっす」

「深夜。今日早いね?どうしたの?」

「勇兄の車で送ってもらった。だから、勇兄に合わせて家を出たらこんな時間になった」

「いいな〜。私雨の中傘さして来たんだよ」


深夜は柚子葉が勉強している問題集を覗いた。

書いてある解答を見て頷いている深夜に柚子葉は聞いた。


「深夜、間違ってる?」

「いんや、見た感じ合ってるぽい」

「良かった。深夜のおかげだよ。いつも勉強見てくれているし」


「やっぱりね」


深夜と柚子葉が話してるといつのまにか真希と圭が近くに立っていた。


「うっす」

「おはよう。ねぇ、真希。今のどういう意味?」

「え?だって、柚子葉って最近成績上がってるじゃない?だから山上が勉強教えてるのかなと思ってたの」

「うん。最近深夜に勉強を教えてもらってるの」


柚子葉は受験生になってから深夜の家で食事を取る日は夕食後に勉強を教えてもらってる。


「いいなぁ〜。私も勉強教えてくれる彼氏欲しいな」

「じゃあ作れば」


深夜は自分の机に座って頬杖をついて口を開いた。

真希と圭は横目で深夜を睨んだ。


「山上は黙ってなさい!」

「あ〜あ、どっかにいい人いないかな」


真希と圭が夢見てるときに翔が教室に入ってきた。


「おはよう。で、あの二人どうしたの?」


翔がカバンを置きながら深夜と柚子葉に聞く。

深夜は呆れたように二人を見ながら翔に言った。


「彼氏が欲しいんだと。俺が柚子に勉強を教えてるって言ったらああなった」

「ふぅ〜ん」


それから五人で話してると勇一が教室に入ってきた。

点呼をして連絡事項を伝える。

そして、最後にクラス中を見渡して口を開いた。


「最後に、今日の午後から休校だ。皆も理由は分かってるだろうから寄り道せずにすぐに帰るように。以上だ」


勇一はそのまま教室を出ていった。

クラス中はその連絡事項を聞いて喜んでいる者が多い。

真希と圭も喜んで柚子葉達の近くに駆け寄った。


「ちょっと、今日午後から休校だってよ」

「やったね。柚子葉、どっか買い物行こうよ」

「ごめん。今日は秀太を早めに迎えに行きたいの。雨降ってるしこれからがね…」

「あ、そっか」

「じゃあ、また今度行こうよ」


そんな話をしていると一時間目の授業の担当の先生が入ってきたので真希と圭は自分の席に戻っていった。


午前の授業が終わった。

朝、勇一が言ったとおり午後からは休校になった。

深夜はカバンを持って柚子葉に話しかけた。


「柚子。帰ろうぜ」

「ごめん。私…」

「秀太を迎えに行くんだろ?俺も行くよ。この天気だと一緒に行ったほうがいいだろ」

「あ、うん。ちょっと待って」


柚子葉も帰り支度を始めた。

深夜は廊下に出て壁によりかかり柚子葉を待った。

帰り支度を終えた柚子葉は待っている深夜に近づいた。


「ごめん。お待たせ」

「ん。じゃあ、帰るか」


深夜と柚子葉は二人連れ添って昇降口に向かって歩き出した。

昇降口に着くと外の様子がよく分かった。

朝に比べて雨が強くなっている。

それを見て深夜は口を開いた。


「げ。すげぇ強くなってる。さっさと秀太を迎えに行ったほうがよさそうだな」


深夜は取り出した傘を差した。

柚子葉も傘を差して外に出た。

傘を差したが雨を全て防ぎきれずに体が濡れている。

二人が連れ添って急ぎ足で歩いていると柚子葉が持っていた傘が突風で飛ばされた。


「あ!傘が…」

「柚子!」


柚子葉が傘のほうを呆然と見ていたら深夜が柚子葉の手を取った。


「傘よりも今はお前の体のほうが大事だろうが!」


元々一人一つの傘で濡れていたので深夜の傘だけではずぶ濡れになってしまう。


「柚子。走って保育園に行くぞ。保育園に行けば俺の着替えがある」

「う、うん」


深夜はそういうと自分の傘をたたみ柚子葉の手を取った。


「行くぞ」


深夜は柚子葉の手を持って速すぎず遅すぎず柚子葉が無理をしないようなペースで走り出した。

柚子葉も一生懸命走った。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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