STORY15-6 『どうぞってなんだよ…』
集合場所に着くと真希と圭が柚子葉に抱きついてきた。
「柚子葉!心配したんだからね!」
「そうだよ!だから一緒に行くって言ったのに!」
「心配かけてごめんね」
三人をよそに勇一と深夜は松田に話しかけた。
「遅くなって申し訳ありません」
「山上は止めても聞かないし、植田先生も勝手に行くし…」
松田を大竹がなだめる。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。幸い山下も無事に帰ってきましたし」
「しかしですな…」
「とりあえず飛行機の時間もありますし、この後の日程を変えて早く空港に行きましょう」
飛行機の時間が間際に迫っているということもありこの話は後回しということになった。
空港に着くと、予定より10分遅く着いたので急いで搭乗手続きをして飛行機に乗り込んだ。
飛行機に乗り込むと深夜と柚子葉、それに勇一は松田の近くに座るように指示された。
「ったく。こういうことはもう無しにして欲しいですな」
「本当にすいませんでした」
5分ぐらい話をした後元の席にもどっていいと許しを得た。
深夜と柚子葉が元の席に戻ると翔達が話しかけてきた。
「深夜。松田、なんだって?」
「軽い小言を受けただけだよ」
「じゃあ、特に罰とかないんだ?」
「あぁ」
「あ!」
深夜と翔が話している横で柚子葉が声を出した。
深夜は柚子葉のほうに顔を向ける。
「柚子?どうかしたのか?」
「あ、ごめん。声出して。ただ、これが…」
柚子葉は握ってあった手を開いた。
柚子葉の手のひらの上にはビーズで作られていたアクセサリが乗せられていた。
ただ、すでに壊れていたが…
深夜はそのアクセサリを見て目を見開いた。
落ち込んでいる柚子葉はそれに気づかない。
「いつのまに壊れたんだろ。かわいかったのにな…」
柚子葉が落ち込んでいるのを見た深夜は制服のポケットの中からあるものを取り出し柚子葉を呼んだ。
「柚子」
「え?」
柚子葉が深夜のほうを向くと深夜から何かを手渡された。
柚子葉はそれを見て深夜のほうを向く。
深夜は一言だけ声を出した。
「やる」
「え?」
柚子葉は深夜の顔を見る。
深夜はそれから何も言わない。
柚子葉は深夜から渡されたものを開けるとそこには壊れたのと同じアクセサリが入ってあった。
驚いて深夜のほうを向くと深夜は口を開いた。
「店の前を歩いてると目に入ったんだよ…」
「でも…」
「…もともと柚子にやるつもりだったから」
「え?」
「『柚子に似合うかもな』と思って買ったんだよ」
「私に?」
柚子葉がそれを見て嬉しそうに深夜にお礼を言う。
「ありがとう!」
「別に…」
深夜がふと周りを見ると翔や達志、それに真希たちも加わりニヤニヤと深夜達を見ていた。
「何だよ」
「え?いや、別に。なぁ?」
「そうだよ。別に気にしなくていいからどうぞ?」
「どうぞってなんだよ…」
周りはそんな深夜を見て笑みを浮かべた。
真希は柚子葉に話しかけた。
「よかったね、柚子葉。それ気に入ってたんでしょ」
「うん」
柚子葉は深夜からもらったアクセサリを目の前にかかげて笑みを浮かべて頷いた。
深夜も柚子葉を見て満足げに笑みを浮かべた。
飛行機が空港に着いた後バスで学校まで向かった。
学校に着き、解散した後に深夜は真希たちと話している柚子葉に話しかけた。
「柚子。今日おばさん夜勤?」
「ううん。修学旅行の間だけ日勤にしてもらってるから今日も日勤のはずだよ。どうして?」
「姉貴が迎えに来るっていうから柚子も乗って帰れよ」
「え?いいの?」
「あぁ。今日はいろいろあっただろうし、荷物も多いだろうし」
「じゃあ、乗って帰るよ」
「もうすぐ着くはずだから校門のほうに行くぞ」
「分かった。じゃあまた明日」
柚子葉は真希たちに挨拶をして深夜の隣に並んだ。
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