STORY14-END 『私のせいなの?』
残った深夜と柚子葉の間にはまた気まずい空気が流れた。
その空気を破ったのは深夜だった。
「柚子。これでも俺と別れたいっていうか?」
「ううん。ごめんなさい」
深夜はそのままファミレスの机に突っ伏した。
「はぁ〜。良かった〜。頼むからもう別れるとか言うなよ」
「私だって別れたくないよ。でも、深夜が嘘つくからいけないんでしょ」
「それはそうだけどさ…」
「信じたいと思ったよ。だけど、中田さんと一緒に歩いてた深夜の顔が頭に残ってて…」
「あぁ〜、それは悪い。何だかんだ言って結構楽しかったのは認める」
「…」
「そんなむくれるなよ。俺は柚子を裏切ったりはしないって」
「…うん」
「さて、じゃあ帰るか?秀太を迎えに行かないといけなんだろ?」
「あ、そうだった」
「忘れてたのか?」
「だって、深夜のことで頭一杯だったんだもん」
柚子葉は恥ずかしながら口を開いた。
深夜はそんな柚子葉の姿を見て抱きしめたい衝動に駆られた。
が、ここは店の中だと我慢して店を出た。
店を出て人通りが少ないことを確認した深夜は柚子葉を抱きしめた。
柚子葉は突然抱きしめられたので驚いた。
「し、深夜!」
「お前がかわいいこと言うからだろ…」
「私のせいなの?」
「あぁ、お前のせいだ。でも、このままこうしてるわけにもいかないか。秀太が待ってるし」
深夜はゆっくりと柚子葉を抱きしめていた手を離し柚子葉の手を取った。
ギュッと握った深夜の手を柚子葉はゆっくりと握り返した。
二人は手を握ったまま保育園に秀太を迎えに行った。
秀太を迎えに来た二人を見た忍は笑みを浮かべた。
「姉貴。秀太は?」
「はいはい、ちょっと待っててね」
忍はすぐに秀太をつれてきた。
「あ、しんやお兄ちゃん!」
秀太は深夜に抱きついた。
深夜は秀太の頭を撫でた。
深夜と柚子葉に忍が声をかける。
「二人とももう大丈夫なの?」
「あぁ。『雨降って地固まる』だ」
「ふぅ〜ん。でも珍しいね」
「へ?何が?」
「だって深夜はあまり私達の前でそんなことしないでしょ?」
「そんなこと?」
深夜は何を言っているとかよく分からなかった。
忍はまた笑みを浮かべ深夜と柚子葉が握り合っている手を指差した。
深夜は指差された手を見て慌てて離した。
「いや、これは」
「あら、いいじゃない」
「姉貴はこれでまた俺をおもちゃにして遊ぶつもりなんだろうが!柚子、秀太行くぞ」
「あ、うん。じゃあ、失礼します」
「うん。また後でね」
深夜と柚子葉は秀太を連れ、マンションに向け歩き出した。
マンションに向け歩いているとマンションの前に衛が立っているのが見えた。
深夜と柚子葉を見つけたのか衛は手を上げた。
深夜は衛に手を上げ声を掛けた。
「衛どうかしたのか?」
「お前らのことが気になったんだよ。まぁ、仲直りしたみたいだな」
「あぁ。危なく別れるとこだったけどな」
「俺のおかげだからな。忘れるなよ」
「分かってるよ」
「じゃあ、俺帰るわ。じゃあな、秀太」
「うん!まもるお兄ちゃんまたね」
衛は秀太の頭を撫で歩いていった。
深夜と柚子葉はマンションの中に入った。
柚子葉は着替えた後に秀太をつれて深夜の部屋に向かった。
そして、いつも通り夕食の仕度を二人で行い三人で食事を取った。
二人が話していると忍と勇一が帰ってきた。
忍と勇一も話しに加わってきた。
「そういえばどうして山下は深夜を着信拒否したんだ?」
「昨日俺が中田と歩いているところを見たんだと」
「中田?あぁ、翔の彼女だっけ?」
「あぁ。それを見て俺に他に彼女ができたんだと思ったらしい」
「でも、深夜昨日出かける前に柚子葉ちゃんに電話してたじゃない?そのときに詳しく話さなかったの?」
「用事が出来たとしか言ってなかったっけ?」
「うん。それしか聞いて無いよ」
「それは深夜が悪いな。誤解してもおかしくはないだろ」
「分かってるよ。俺が悪いんだよ。これからはちゃんと言う」
「山下も深夜の事で何かあったら俺か忍に相談しろよ。今回の事で早めに相談していたらこんなに大事にはなっていなかっただろうし」
「はい」
柚子葉は勇一の言葉に頷いた。
忍も勇一の傍で頷いている。
それから少し話をした後、柚子葉と秀太は自分の部屋に戻った。
寝る前に柚子葉は深夜にメールを送った。
深夜から返信が来ると柚子葉はホッとした。
「良かった…」
深夜も同じように柚子葉からメールが来ると安堵のため息をついた。
「良かった…」
二人は何度かメールのやりとりをしてから眠りについた。
翌日。
事情を説明していない真希と圭、それに翔が加わり深夜が責められることになるのはまだ二人は知らない。
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