STORY13-END 『最悪…』
柚子葉は一度家で着替えて深夜の部屋に向かった。
深夜は二人分の飲み物を準備して今日帰ってきた理由を説明しだした。
「昨日電話しただろ?」
「うん」
「あの時柚子泣いてなかったか?」
「…うん」
「寂しかったのか?」
「寂しかった…」
「俺もだよ」
「え?」
「向こうに行って柚子がどれだけ傍にいたのか感じたよ。あれだけ柚子の声を聞いてないのは初めてだったから変な感じでな。電話して柚子の声を聞いたら会いたくなったんだ」
「私もそうだよ。深夜の声を聞きたかった」
深夜はゆっくりと柚子葉を抱きしめた。
柚子葉も深夜の背中に手を回した。
「柚子。俺がアメリカに行ってからのこと聞かしてくれよ。お前の声で…」
「うん。深夜もアメリカのことを聞かして。深夜の声で…」
その後二人は深夜がアメリカに行ってからのことを話し合った。
柚子葉は日本であったことを、深夜はアメリカのことを。
一通り話し終えた二人は夕飯にすることにした。
柚子葉は恭子に電話して深夜の家で夕飯を食べて帰ることを伝えた。
恭子は『いいわよ。ゆっくりしておいで』と言ってくれた。
深夜と柚子葉は二人揃って夕飯の仕度を始めた。
一緒に食事を作り、一緒に食事を取った。
食事を取り終え、リビングでまた話しはじめた。
話していると勇一が顔を出した。
「忍?帰ってるのか?」
部屋の前の通ると電気がついていたので顔を出したようだ。
深夜の顔を見ると笑みを零した。
「お。深夜、おかえり」
「勇兄、ただいま」
「忍は?帰ってきたんだろ?」
「姉貴はまだ向こうだよ。俺だけ帰ってきたんだ」
「へぇ〜、なんでだ?」
「いや、それは…」
「寂しかったのよね?」
その場に柚子葉の声ではない女性の声が聞こえた。
三人が声が聞こえたほうを向くと忍が笑顔で立っていた。
「忍、おかえり」
「ただいま、勇一。柚子葉ちゃんも久しぶりね」
「はい」
「で、忍。今言ったことはどういうことなんだ?」
「あぁ〜、実はね…」
「姉貴!」
「深夜向こうで柚子葉ちゃんに会いたくて会いたくて仕方なかったのよねぇ〜?」
忍はニヤニヤ意地悪な笑みを浮かべ深夜に顔を向けた。
深夜は『グッ』と詰まった。
勇一も意地悪な笑みを浮かべた。
「へぇ〜。忍詳しく聞かせてくれよ」
「そうねぇ〜。例えば、柚子葉ちゃんに深夜が昨日電話したでしょ?」
「あぁ。するって言ってたから俺が山下に伝言したし」
「あれから深夜の用事の進み具合が凄かったのよ。それで『何でか』って理由聞いたのよね」
「ふんふん。で、深夜は何て言ったんだ?」
「姉貴…。頼むから言わないでくれ…」
「それは無理な相談ね。深夜はね、こう言ったのよ。『早く柚子に会いたい』って。『会って抱きしめたい』ってね。それからはすぐに用事を終わらせて空港に直行したのよ」
「へぇ〜、深夜がそんなことをねぇ〜」
勇一と忍はまだ意地悪な笑みを浮かべて深夜のほうを向いている。
深夜は恥ずかしいのか顔が若干赤くなっている。
柚子葉もまさか深夜がそんなことを言ってるとは思っていなかったので顔を赤くしている。
「最悪…」
「あら、いいじゃない。本当のことなんだし。それに付き合ってるんだからそれが普通なんじゃない?」
「そうだよ。恋人同士なんだからいいじゃないか」
「だからって柚子に言わなくても…」
「あら、どうして?」
「恥ずかしいだろうが」
「あら、柚子葉ちゃんはどう思う?」
「えっと、嬉しいです…。私と同じように深夜も思ってたんだって分かって」
「だってさ。良かったわね」
「…あぁ」
深夜は恥ずかしそうに頷いた。
勇一と忍は顔を見合わせて笑った。
その日は、4人でいろんな話をした。
話のほとんどは深夜をネタにした話だったが…
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