STORY13-5 『…ただいま』
次の日、柚子葉が学校に行くとすでに翔、真希、圭が来ていた。
「あ、柚子葉。おはよう」
「みんなおはよう」
「山下。いいプレゼントだっただろ?」
「え?…あ、うん」
「プレゼント?」
「昨日深夜から電話があったんだ」
「へぇ〜、だから今日はそんなご機嫌なんだ?」
「え?そう?」
「うん。今週で一番いい顔をしてる」
「でも、何で前田がそんなこと知ってるの?山上が柚子葉に電話したって」
「俺に一昨日電話があったんだよ。山下の家の電話番号を教えてくれって。一昨日しなかったみたいだったから昨日するだろうと思ってたんだ」
「そうだったんだ」
真希と圭は翔の言葉を聞いて納得した。
教室に勇一が入ってきたので真希と圭は自分の席に歩いていった。
柚子葉は翔に話しかけた。
「本当に一昨日深夜から電話あったの?」
「ん?あんなの嘘に決まってるだろ」
「え?嘘?」
「あぁ。ただ、昨日勇一さんが6時から家に絶対にいるようにしろって言ってたんだろ?だから、深夜から電話があるだろうって思ってたんだ」
「翔君はすぐにその意味が分かったの?」
「山下が深夜が夜に電話するって言ったって聞いたからな。すぐにその意味が掴めたよ」
「私は昨日深夜から電話もらってから初めて気づいたよ」
「まぁ、深夜からの声を聞けたからもう寂しくないんじゃないか?」
「うん。もう大丈夫。でも、早く深夜に会いたいな」
「後三日ぐらいだからすぐだよ」
「そうだね。後三日だからすぐだよね」
「こら、そこの二人。話を聞いてたか?」
柚子葉と翔が話してると勇一がいつのまにか二人の近くに立っていた。
「あ…」
「すいません…。聞いてませんでした」
「ったく。最近たるんでるんじゃないか?しっかりするように」
「「はい」」
勇一は教壇のほうに歩いていった。
柚子葉と翔は顔を見合わせて笑みを零した。
その日の放課後、柚子葉は一人で帰っていた。
一人で帰っていると曲がり角から陽子が出てきた。
陽子の周りには数人の男子高校生が立っていた。
「久しぶりね」
「そうですね…」
「今日は深夜と一緒じゃないのね?」
「はい。私に何か用ですか?」
「ええ。私考えたのよね。深夜とあなたを別れさせる方法はないかって。で、分かったの。あなたから深夜を振ればいいんだってことに」
「私は深夜と別れたりしません」
「今はそうでも、深夜に合わす顔をなくなればどうだろうね。あんたたち」
陽子の声に男子高校生は柚子葉の周りを囲んだ。
「何するんですか」
「ちょっとね。あんたが他の男に傷物にされたら深夜はどう思うかしらね。あんたも深夜に会いにくいんじゃない?」
「え…」
「さてと、じゃあ最終確認かな。あんた深夜と別れる?」
「私は深夜と別れません!」
「いい覚悟ね。じゃあ、あんた達の好きにしていいよ」
陽子はそういって歩き出した。
逃げようとした柚子葉は男達に手をとられた。
抵抗したがどうしても離れなかった。
柚子葉は手をとられた嫌悪感に目を瞑った。
が、何か音がして男達の手の感触が消えた。
そしていつも感じている、安心できる手の感触を肩に感じた。
柚子葉がゆっくりと目を開けると確かに誰かの手が肩に置かれていた。
手の持ち主のほうを見て柚子葉は目を見開いた。
そこには深夜が立っていた。
深夜の顔には怒りの情が浮かんでいた。
柚子葉が見てるのに気づいた深夜は柚子葉に微笑んだ。
「柚子。大丈夫か?」
「本当に?本当に深夜なの?」
「他の誰に見える?」
「だって、一週間ぐらい向こうにいるって…」
「本当はそのつもりだったんだけど用事が終わったらすぐに帰ってきたんだ」
「どうして?」
「それは後で話す」
先ほど深夜に殴られた男子高校生たちが立ち上がって深夜に向かってきた。
深夜は最初に殴りかけてきた奴のパンチを交わし関節技を決めた。
「お前らさっさとどっかに行け。じゃないと俺手加減を知らないから何するか分からないぞ」
高校生は深夜の睨みに怯え逃げ出していった。
深夜は陽子のほうに視線を向けた。
深夜の視線を受けた陽子は怯えた顔をしている。
ゆっくりと深夜は陽子に近づく。
陽子に近づいた深夜はにっこりと微笑んで陽子の頬を叩いた。
叩かれた頬に手をあてて深夜のほうを向いた。
「俺言ったよな?今度柚子に危害あたえたら容赦しないって」
「…」
「もっと殴られたい?それとも人前に出れない顔にしてあげよっか?10秒待ってやる。俺の目の前から消えろ」
陽子は深夜の言葉を聞いて走り去っていった。
深夜はため息をついて柚子葉のほうに振り返り、近寄ってきた。
柚子葉に近づいた深夜は柚子葉を抱きしめた。
「頼むから心配かけさせないでくれ」
「だって…」
「まぁ、今回は仕方無いよな。でも、良かった。無事で」
「ありがとう。助けてくれて。それと…おかえりなさい」
「…ただいま」
二人は話をするためにマンションに帰った。
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