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STORY12-2 『野暮用?』

その日の昼休み。

柚子葉は深夜と共に大村の教室に向かっていた。

大村の顔に湿布が貼ってあったことを柚子葉から聞かされた深夜が大村に会いに行こうとしたときに柚子葉ももう一度大村に謝りに行くことにしたのだ。

深夜が大村の教室のドアを開けるとさっきまで騒がしかった教室は急に静かになった。

深夜が教室のドアを開けたまま立っているのを見た柚子葉は深夜の隣から顔を出して教室を覗き込んだ。

教室を見渡すが大村の姿が見えなかった。


「あれ?大村君いないね」

「あぁ。聞いてみるか」


深夜は近くの生徒に声をかけた。


「悪いけど大村どこにいるか分かるか?」

「え?えっと…」


その生徒は萎縮してしまったのか上手く言葉がでてこないようだ。

深夜に変わって柚子葉が声をかけた。


「ごめんね。大村君に用があるんだけどどこにいるか知らない?」

「大村ですか?さっき教室を出て行ったのは見ましたけどどこに行ったかまではさすがに…」

「そう。ありがとう」


柚子葉は深夜のほうに顔を向けた。

深夜は軽く頷いて廊下に出たら丁度こちらに歩いてくる大村の姿を見つけた。

深夜はまだ教室の中にいる柚子葉に声をかけた。


「柚子。大村いたぞ」

「え?どこに?」

「今こっちに歩いてきてる」


深夜の言葉に柚子葉も廊下に出て深夜が顔を向けたほうを向いた。

深夜達に気づいたのか大村は走って深夜達に近づいた。


「二人揃ってどうかしたんですか?」

「柚子から怪我の状態を聞いたからな。ちょっと顔を見に来たんだ。大丈夫なのか?」

「このぐらい大丈夫ですよ。俺のほうこそ山下先輩を守れなくてすいませんでした」

「何言ってんだ。お前は十分やってくれたよ」


深夜は大村の背中を叩いた。

大村はその衝撃に顔をしかめた。


「山上先輩。ちょっと強すぎます…」

「あ、悪い悪い」


そういいながらも深夜は何度も背中を叩く。

大村は深夜のほうを軽く睨んだ。


「山上先輩絶対に悪いと思ってないでしょ」

「そんなことねぇよ」


深夜は大村の言葉に軽く微笑んで答えた。

大村は深夜の顔を見て少し驚いたようだがすぐに笑顔になった。


「じゃあ、そういうことにしときます」

「そういうことにしといてくれ」

「深夜。そろそろ教室に戻ろうか?」

「え?あぁ、そうだな。じゃあな大村」

「はい。わざわざすいません」


深夜は軽く手をあげ柚子葉は笑顔で手を振って二人は揃って教室に向かって歩き出した。


その日の放課後、柚子葉は一人で校門に向かって歩いていた。

深夜は途中でトイレに行ったので柚子葉は校門で深夜を待つことにした。

柚子葉が校門に近づくと衛が立っているのが見えた。

衛は柚子葉に気づくと手をあげた。

柚子葉も笑顔で手を振り衛に近づいた。


「衛君何してるの?」

「ちょっとな。あんたのほうこそ深夜はどうした?」

「深夜ならトイレだよ。校門で待ち合わせてるの」


柚子葉は衛の隣に立った。

少し話してると深夜が二人に近づいてきた。


「あれ?衛何してんだ?」

「ちょっと野暮用だ」

「野暮用?」

「あぁ。昨日俺が殴った奴に謝りたくてな」

「大村か。あいつだったらもうすぐ来るよ。下駄箱で姿見たし。っていうか来たな」


衛は深夜が向いているほうを向くと確かに大村の姿が見えた。

大村も衛の姿を確認したのか足を止めた。

深夜が大村に向かって手を振って呼んだので大村は深夜達に向かって足を動かし始めた。

大村は深夜達に近づくと声をかけた。


「山上先輩、どういうことですか?」

「詳しいことは後で話す。とりあえずこいつが大村に用があるんだ」


深夜は衛を指差した。

衛は大村に近づいて頭を下げた。

大村は急な出来事で驚いている。


「昨日は悪かった。謝って済む問題でもないと思うけど謝らせてくれ」


大村は何が何だか分からないようで深夜に助けを求めるような視線を送った。

深夜は軽く頷いて事情を話し出した。


「こいつは衛って言って俺の幼馴染なんだ。昨日お前も見ただろ?衛と一緒にいた女子を」


大村は深夜の言葉に頷いた。

深夜は言葉を続ける。


「あいつのせいで俺は衛が裏切ったと思ってた。衛は俺が裏切ったと思ってた。でも、昨日のことでそれが誤解だってことが分かったんだ。俺らは互いに裏切っていたと思っていたけどそれはあいつの策略だったんだ。衛は昨日事情も掴めてないまま大村を殴ったことを謝りに来たんだ」


大村はまだ迷っているようだ。

衛がまだ頭を下げている様子を見た大村は少し息を吐いた。


「えっと、衛さんでしたよね?頭を上げてください」


大村の言葉に衛は頭を上げた。

大村は言葉を続ける。


「許せるかどうかって言われたらまだ許せない気持ちのほうがでかいです。でも、もういいですよ。誤解だってことも分かりましたし」

「それでいいのか?」

「いいですって」


衛はまた『すまない』といって頭を下げた。

大村は衛にまた声をかけている。

深夜と柚子葉は顔を見合わせて微笑んだ。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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