STORY12-1 『山上何か変わったね』
深夜と衛が幼馴染に戻った次の日。
柚子葉が学校に行くと大村の姿が見えた。
湿布が貼っているのが分かった柚子葉は大村に近づいた。
大村は近づいてきた柚子葉に笑顔で挨拶を交わした。
「おはようございます山下先輩」
「大村君おはよう。昨日はごめんね?」
「いえ、このぐらい大丈夫ですよ。俺のほうこそ守れなくてすいませんでした」
「ううん。そんなことないよ」
そんな言葉を交わした二人は別れ柚子葉は自分の教室に向かった。
柚子葉が教室に入るともう来ていた真希と圭が柚子葉に気づき手を振った。
柚子葉も手を振り替えし二人に近づく。
「二人ともおはよう〜」
「「おはよう」」
そして三人で雑談をしているとチャイムが鳴った。
が、まだ担任である勇一が教室に入ってこないので真希達は自分達の席には戻らず柚子葉に声をかけた。
「ねぇねぇ、柚子葉。今日も山上休みなの?それにまだ前田も来てないようだけど」
「休むとは聞いて無いけどもしかしたら寝坊かもね」
「寝坊?」
「昨日夜遅くまで深夜の家で深夜達騒いでたみたい」
「あ、そっか。山上の家って柚子葉の真上だもんね」
三人がそんな話をしていると勇一が教室に入ってきた。
真希と圭は自分の席に急いで戻っていった。
朝の朝礼が始まると柚子葉はふと窓の外を見た。
ボーっと外を見ていると校門のところに二人の男子高校生の姿が見えた。
二人ともゆっくりと歩いて校舎に近づいてくる。
すると一人の男子高校生が柚子葉のほうを指差し軽く手をあげた。
もう一人の生徒は何もせずに黙々と歩いてくる。
柚子葉が窓の外を見てるのに気づいた勇一が柚子葉に声をかけた。
「こら。山下、ちゃんと聞いてるのか?」
柚子葉は勇一に声をかけられてはっと前を向いた。
「すいません。聞いてませんでした」
「ったく。外に何かあるのか?」
そう言って勇一は窓に近づいた。
窓に近づいた勇一は校庭に二人の生徒の姿を見つけた。
勇一は窓を開け声をあげた。
「こら!前田、山上!何をゆっくり歩いてるんだ早く来い!3分以内に来ないとこのクラスだけ素敵な宿題を出すぞ」
校庭を歩いていた深夜と翔は勇一に声をかけられて駆け足で校舎に走り出した。
勇一は腕に着けている時計を見ながら声を出した。
「さて、どんな宿題にしようか」
「先生本当に出すんですか?」
「もちろん。連帯責任だ」
勇一の言葉にクラス中から非難の声が上がった。
「うるさいうるさい。間に合わなかったら二人に文句を言え」
そういって勇一はカウントダウンを取り出した。
「そうこう言っているうちにあと1分だ」
クラス中の視線が教室のドアに向けられた。
すると、廊下から走る音が聞こえ深夜と翔が教室に飛び込んできた。
「ほぉ〜、ちゃんと間に合ったか」
「何とか間に合った…」
「後何秒ぐらいありました?」
「30秒ぐらいあったな」
「ふぅ〜」
深夜と翔は息を切らしながら自分達の席に向かって歩き出した。
勇一は二人が座ったのを確認した後再び連絡事項を伝え教室を出て行った。
柚子葉はすぐに深夜と翔に声をかける。
「二人ともおはよう。今日は寝坊?」
「あぁ。俺は起きたんだけどこいつと衛が起きなくてな」
深夜は翔を指差しながら答えた。
指差された翔は教室に突っ伏して寝ている。
「やっぱり衛君と翔君は深夜の家に泊まったんだ」
「あぁ。久しぶりに楽しい時間を過ごせたよ」
そういった深夜の顔には笑みが浮かんだ。
二人に真希と圭が近づいてきた。
「山上は何で笑ってるの?」
「ちょっと嬉しいことがあったんだって」
「へぇ〜。嬉しいことって何?」
「友達だった奴と喧嘩してたけど仲直りできたんだ」
深夜は笑顔で真希達に答えた。
真希と圭はその顔を見て少し驚いた。
「山上何か変わったね」
「え?そうか?」
「だって今まで私達にはそんな笑顔見せたことなかったでしょ?柚子葉と一緒にいるときには柚子葉に見せた笑顔を見たことあるけど私達に向けた笑顔は初めてじゃないかな」
「そうそう。私達に話しかけるときの顔って素っ気無かったよね」
「そうだっけ?」
深夜は少し考え込んだ。
「これからは気をつけるようにするわ」
深夜はまた笑顔で真希と圭に声をかけた。
真希と圭も笑顔で深夜に頷き返した。
話し声で起きたのか翔が体を起こした。
「元の深夜に戻ったってことだよ」
翔が発した言葉に真希と圭が首をかしげた。
「前田今の言葉どういうこと?」
「言葉のままだよ。こっちの深夜のほうが深夜だって気がするな」
「そう?私達は無愛想のほうが山上らしい気がするんだけど」
「俺は中学のときの深夜を知ってるから。井上たちは高校からの深夜しか知らないだろ?だからだよ」
翔の言葉に真希と圭は頷いた。
「なるほどね。じゃあ、山上は中学のころはこんな感じだったの?」
「あぁ。なぁ、深夜?」
「俺に振るなよ。俺はいつも通りしてるつもりだし」
「確かに本人は分からないだろうな」
「でもどっちでも深夜でしょ?じゃあ、いいじゃない」
柚子葉のセリフに深夜達は柚子葉の顔を見た。
「確かにな」
「そうね。山上は山上ね」
「そうそう。今のほうが前よりも話しかけやすいし」
翔たちは柚子葉の言葉に頷いた。
深夜は柚子葉に声をかけた。
「だってさ。どっちでもいいって結論になったみたいだな」
深夜の言葉に柚子葉たちは声を出して笑った。
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