STORY11-5 『本当だ…』
衛と呼ばれた男はゆっくりと陽子に近づいてきた。
柚子葉は陽子に声をかけた。
「衛ってもしかして深夜の幼馴染の…?」
「あら、知ってるの?そうよ、衛は深夜の幼馴染よ」
「何だ」
衛は陽子の近くに立つと話しかけてきた。
陽子は柚子葉を指差した。
「衛。この子に今の状況を分からせてあげて」
「分かった」
衛は柚子葉にゆっくりと近づく。
柚子葉は衛に声をかける。
「どうして!どうしてそんな人の言うことを聞くの!どうして深夜を裏切ったの!」
「うるさい!お前に何が分かる!」
「何も分からない!だから、知りたいの!どうして?どうして深夜を裏切ったの?」
「…あいつが先に俺を裏切ったんだ」
「え?」
「あいつが先に俺を裏切ったんだよ!」
衛の言葉に柚子葉は耳を疑った。
昨日聞いた内容と違う。
「どういうこと?」
「あいつは俺が邪魔だったから俺を落としいれようとした。俺は無実なのにあいつが俺を犯人に仕立て上げようとしたんだ」
「犯人って何?」
「中学のときカンニング疑惑があった。その犯人は未だに誰かは分からない。でも、深夜は無実の俺を犯人にしたてあげようとした」
柚子葉はその言葉に少し疑問を持った。
衛はさらに言葉を続ける。
「それを陽子が俺を庇ってくれた。そして、深夜に見限りをつけ俺と付き合いだした。だから俺は何も悪くない!悪いのはあいつなんだ!」
「…本当にそうなの?」
「え?」
「本当にそれを深夜に確かめた?」
「確かめる必要なんかない!」
「でも証拠はないんでしょ?深夜が言ったっていう証拠が。衛君が犯人だって言うことを深夜が言ったって誰から聞いたの?」
「…陽子だ」
「だったらもう一度深夜に確かめるべきじゃない?深夜は今衛君に裏切られたって思ってる。大事な幼馴染に裏切られたって傷ついている。でも衛君も同じならもう一度話し合うべきじゃない?それにもし深夜がそんなこと言ったなら前田君だって深夜と一緒にはいないんじゃないかな?」
「…」
「黙るってことはそういうことだよね?だったら…」
「衛!あんた何言いくるめられてるのよ!」
柚子葉と衛の会話を聞いていた陽子が話に入ってきた。
「あんた私が信じれないの!あんたを大事に思ってきたのは私なのよ!」
「それは分かってる」
「だったら何で今更迷う必要があるのよ!あんたは私のいうことを聞いていればいいのよ!」
「あなたは黙ってて!今私と衛君が話してるの!」
柚子葉が陽子を睨んで声を出す。
陽子はまさか柚子葉が口を挟んでくるとは思ってなかったのか驚いている。
柚子葉は陽子を置いて衛に声をかける。
「衛君。陽子さんの言うことを信じたらだめ」
「何言ってるのよ!私のどこが嘘だって言ってるのよ!」
「あなたさっき言ったよね?自分が一番衛君のことを思ってきたって」
「そうよ!自分の彼氏を大事に思って何がいけないのよ!」
「じゃあ、どうして昨日深夜に会いに来たの?」
「え!?陽子昨日深夜に会いに行ったのか?」
「何あんたこんな子のこと信じてるのよ!そんなの嘘っぱちに決まってるでしょう!」
「本当だ…」
その場所に一人の男性の声が聞こえた。
柚子葉がそっちのほうを見ると深夜がそこに立っていた。
深夜はゆっくりと柚子葉に近づく。
その行く手を衛以外の男が塞ぐ。
柚子葉は思わず声を上げた。
「深夜!」
深夜は柚子葉の声に大丈夫だというようにゆっくりと微笑んだ。
そして、前に立っていた男達をすぐに倒しまた柚子葉に近づく。
衛は何もせずに深夜の邪魔をしないようにその場に立っている。
陽子は笑顔で深夜に近づいて話しかけた。
「深夜、私に会いに来てくれたんでしょ?嬉しい!」
そういって深夜に抱きついた。
深夜は抱きついてきた陽子を片手ではがしそのまま歩き始めた。
陽子はその場で立ち尽くしている。
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