STORY11-4 『…あなたなんかに深夜は渡さない』
その日の放課後、真希と圭を先に帰した。
今回のことに関しては二人は無関係だ。
もしかしたら危険なことに巻き込んでしまう可能性もある。
だから、翔は真希達を先に帰した。
柚子葉と翔が帰ろうと教室を出ると教師に翔が呼ばれた。
「おぉ、前田。丁度良かった。これ書いてくれ」
「これなんですか?」
「今月の委員会で使う書類。今日中な」
そういって教師は書類を翔に渡し職員室に歩き出した。
翔は自分の手の中にある書類を見てため息をついた。
「何で今日に限って…」
「私一人で帰れるよ?」
「駄目だ。でも、どうしようか」
翔と柚子葉が困っていると前から大村が歩いてきた。
翔が大村の姿を見つけ声をかけた。
「あれ?大村何してるんだ?」
「ちょっと山上先輩の様子を見に。昨日が昨日だったので」
「今日は深夜休みだよ」
「え?そんなにひどかったんですか?」
「いや、明日にはよくなってると思う」
「そうですか」
大村は翔の言葉に安心したのか二人に挨拶をしてまた廊下を歩き出した。
それを翔が引きとめた。
「ちょっと待った!大村今から何か用事あるか?」
「用事ですか?特に無いですけどどうかしたんですか?」
「悪いけど山下を家まで送ってくれないか?」
「別に構いませんけどどうしてですか?」
「昨日の奴がもしかしたら山下に接触してくれる可能性があるからな。一応ボディーガードだ」
「そういうことならいいですよ。じゃあ、俺カバンとってきますから下の昇降口で待っててください」
そういうなり大村は自分の教室に向けて走り出した。
翔は柚子葉のほうを振り返った。
「というわけだな」
「大村君になんか悪いよ」
「大村も構わないって言ってるんだから大丈夫だって。明日になったら深夜が送ってくれるんだから今日だけだよ」
翔の言葉に柚子葉は渋々頷いた。
柚子葉が昇降口に着くとすでに大村は昇降口に立っていた。
「大村君、ごめんね」
「別にいいですよ。俺も特に用事とかなかったし。じゃあ、帰りましょう」
大村が歩き出したので柚子葉も隣に並んで歩き出した。
校門のところには今日は誰もたっていなかった。
柚子葉と大村が帰っている途中に曲がり角を曲がると前に違う高校の生徒が立ちふさがった。
大村がその高校生を除けようとずれるとその生徒も一緒の方向にずれてきた。
大村は反射的に柚子葉の前に立った。
「何か用か?」
「あんたには用は無いのよ。後ろのブスに用があるの」
柚子葉たちの後ろから声が聞こえた。
柚子葉が振り返るとそこには陽子が立っていた。
「あんた深夜に付きまとってるんでしょ?」
「違う!山下先輩は山上先輩の彼女だ!」
陽子の言葉に大村がやっきになって言い返した。
その言葉を聞いた陽子は笑い出した。
「何言ってるのよ。深夜の彼女は私よ」
「違う!」
陽子は柚子葉達を挟んでいる高校生に合図を送った。
合図を受けた高校生は大村に近づき腹を殴った。
その攻撃を受けた大村は膝をついた。
柚子葉は大村に駆け寄ろうとしたが高校生に阻まれた。
陽子が柚子葉に話しかける。
「あんたが私達とくればもうこの子には危害与えないわ。どうする?私達と来る?来ない?」
それを聞いた大村が柚子葉に声をかける。
「山下先輩!俺なら大丈夫…グッ」
大村の腹に高校生がさらに数発蹴りをいれた。
大村はその衝撃で気を失ったようだ。
それを見た柚子葉は声をあげる。
「分かった!分かったからもう大村君に手を出さないで!」
「それでいいのよ」
陽子は高校生に合図を送り大村から離れさした。
そして、気を失っている大村を残し柚子葉を連れて陽子たちは歩き出した。
柚子葉はある廃ビルに連れて来られ椅子に縛られている。
柚子葉のほかには陽子と三人の男子高校生がその場にいる。
他のメンバーは見張りに行っているようだ。
陽子は柚子葉の前に椅子を持って来て座った。
「あんた本当に深夜と付き合ってるの?」
「…」
「あんたなんかと深夜が釣り合えてると思ってるの?」
「…」
「あんたも思うでしょ?深夜と釣り合えるのは私だけだって」
「…」
「何とか言いなさいよ!」
柚子葉が何も答えないので陽子は柚子葉の頬をはたいた。
陽子は柚子葉の顎を持って自分のほうに向けた。
「何か言ったらどうなの?」
「…あなたなんかに深夜は渡さない」
「は?何言ってるの」
「あなたと一緒にいたら深夜は苦しむだけ。だから、絶対にあなたと深夜は会わさない」
「ふ〜ん。そんなこと言うんだ。衛!」
陽子は遠くに立っている一人の高校生を呼んだ。
あとがきはYAHOO!blogで書いております
興味があればお越しください
URL↓↓
http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky