STORY11-3 『今日深夜もしかして休み?』
その日の夜、深夜の家のリビングに深夜、柚子葉、勇一、忍が集まった。
秀太は柚子葉の膝ですでに夢の中に入っている。
忍は今日の出来事を聞いてため息をついた。
「そう…。また発作がでたの」
「あぁ」
「でも、すぐに収まってよかったね」
「柚子のおかげだよ。俺一人だと多分どうしようもできなかった」
「そう。柚子葉ちゃん、深夜を助けてくれてありがとう」
忍が柚子葉に向けて頭を下げてきた。
柚子葉は慌てて手を横に振った。
「そんなこと言わないでください。私は特に何もしてないですよ」
「でも、深夜を助けてくれたのは事実でしょ」
「私はただ深夜が苦しんでたから…」
「それが深夜にとって一番の特効薬かもね。柚子葉ちゃんお願い。深夜のことよろしくね」
「はい!」
その日の晩、深夜は寝ている秀太を抱え柚子葉を家まで送った。
柚子葉の家の前で深夜は秀太を柚子葉に渡した。
「じゃあな」
「うん。おやすみなさい」
「あ、柚子」
柚子葉が家の中に入っていくのを深夜が止めた。
柚子葉は深夜のほうを振り返った。
「深夜?どうかしたの?」
「あのさ、あいつのことだけど…」
「あいつ?あ、えっと陽子さんだっけ?」
「あぁ。もしかしたら柚子に接触してくるかもしれない。もし接触してきたら絶対に一人では会うな。俺か翔を絶対に呼べ。いいな?
「う、うん。でも、どうして私に会いに来るの?」
「もしかしたらだ。今日のあいつを見る限り何かしらの方法で俺と付き合うためにまた俺に会いに来ると思う。そのときにあいつにとって邪魔者となるのは俺の彼女の柚子だ。だから、柚子に何か危害を与えてくるかもしれない。そうならないようにできるだけ俺かもしくは翔と一緒にいるようにしてくれ」
「うん。分かった」
柚子葉は深夜の言葉に頷いた。
それを見た深夜も軽く頷き、柚子葉の額にキスを落とした。
そして、自分の部屋に戻っていった。
柚子葉は秀太を布団に寝かせ自分も布団に入った。
深夜の言った事をもう一度思い出していた。
深夜があれだけ心配するのだからよっぽどの理由があるのだろう。
とりあえず当分は深夜か翔、どちらかと一緒にいようと思い眠った。
そして、次の日。
柚子葉が秀太を連れて保育園に行くと忍が柚子葉のところにやってきた。
秀太を近くの保育士に預け忍は柚子葉に話しかけた。
「おはよう、柚子葉ちゃん」
「おはようございます」
「実はね、今日深夜学校休ませることにしたの」
「え?深夜どうかしたんですか?」
「ちょっと体の調子が悪いの。やっぱり精神的に昨日のことがこたえたみたいね」
「そうですか…」
「でも、今日一日休めば大丈夫だと思うわ。中学のときも何回かこういうことあったの。発作がでた次の日はね。でも次の日は大丈夫だったから」
「分かりました。じゃあ、今日帰ったら深夜のところに顔出してもいいですか?」
「もちろん!」
柚子葉は忍に頭を下げて学校に向かった。
学校に着くとすでに来ていた真希と圭が柚子葉に近づいてきた。
「おはよう、二人とも」
「おはよう。昨日はあれから大丈夫だった?」
「うん。前田君と大村君がいてくれたから大丈夫だったよ。ただ、今日は深夜学校休むって」
「どうかしたの?」
「ちょっと体調が悪いんだって」
「ふぅ〜ん」
「山上大丈夫なの?」
「うん。忍さんに聞いたんだけど中学のときも体調が悪くなる日が何回かあったんだって。でも次の日になったら治ってるから大丈夫だって言ってたよ」
「そう。それなら大丈夫ね」
真希と圭と柚子葉が話してると翔が学校に登校してきて自分の椅子に座った。
翔に柚子葉が話しかけた。
「おはよう。前田君」
「おはよう、山下。井上と田中もおはよう」
「「おはよう」」
真希と圭は翔に挨拶をするとまた二人で話始めた。
「今日深夜もしかして休み?」
「あ、うん。そうだよ」
「そっか。まぁ、明日になったら治ってるだろう」
「忍さんもそう言ってた」
「じゃあ、大丈夫だろ。あ、山下。昨日深夜から聞いた?」
後のほうは柚子葉だけに聞こえるように言ってきた。
柚子葉も翔だけに聞こえるように返した。
「え?あぁ、一人では帰るなってこと?」
「あぁ。今日は深夜いないから俺が一緒に帰るけど大丈夫か?」
「私は大丈夫だけど前田君は大丈夫なの?」
「もちろん。これで山下に何かあったら俺が深夜に何されるかわからん」
「そんなことないでしょ」
「いやいやいや、そんなことあるって」
翔と柚子葉は顔を見合わせて笑みを零した。
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