STORY10-4 『緊張した…』
その時間が終わり休み時間になっても生徒の質問攻めは終わらなかった。
やっと質問攻めから開放された柚子葉はため息をついた。
それを聞いた深夜は柚子葉に声をかけた。
「お疲れさん」
「ホントに疲れたよ…。何で深夜には聞かないで私ばっかりなの」
「そんなの柚子葉のほうが聞きやすいに決まってるじゃない」
柚子葉の質問に答えたのは深夜ではなく二人に近寄ってきた真希だった。
真希と圭は口に笑みを浮かべている。
「あ〜あ、とうとう言っちゃったんだ?」
「あぁ。別に隠してるつもりもなかったし」
「ふぅ〜ん」
真希は柚子葉とそのまま話している。
深夜は秀太と遊んでいる翔のグループに近づいていった。
こちらに近づいている深夜に気づいた翔が手をあげた。
その行動に気づいたそのグループの視線が深夜に向けられる。
深夜は特にその気にせずに翔に近づいた。
「深夜どうした?」
「いや、秀太を呼びにきたんだ」
深夜はそのまま秀太を連れて自分の机に戻ろうとした。
が、翔のグループの一人に声をかけられた。
その生徒は去年、深夜に1年が呼んでることを伝えにきた生徒だ。
「な、なぁ山上」
「何?」
「いつごろから山下と付き合ってるんだ?」
その生徒は深夜を引き止めたのはいいが何て声をかけたらいいか分からなかった。
とりあえず気になってることを聞いてみた。
「2年の中間テストが終わったとき」
「へぇ〜、どっちから告白したんだ?」
「俺」
その後もその生徒は深夜に質問した。
深夜もその質問に答えた。
深夜は質問の合間にその男子生徒に声をかけた。
「あのさ〜」
「あ、何?」
「なんで俺に声をかけたんだ?」
「俺も気になった。なんで達志は深夜に声をかけたんだ?」
翔に達志と声をかけられた生徒が口を開いた。
「いや、俺前に一回山上に声をかけたことがあっただろ?」
「そういえばあったな。あれだろ?1年が呼んでることを伝えにきたときだろ?」
「あぁ。そのときに山上が俺にお礼を言ったんだ」
「それで?」
「それからも俺時々山上のこと見てたんだ。翔と話してて笑う所も見たし」
「悪いけど俺そういった趣味はないから…」
「いやいやいや、お前なんか誤解して無いか!?俺もないよ!俺はただ、山上も普通の男子高校生なんだなぁと思ったんだ。だから、友達になれたらなぁと思って」
「それで今日声をかけたと」
「あ、あぁ」
「ふぅ〜ん」
深夜はそのまま秀太と連れて自分の机に向かって歩き出した。
数歩歩いて達志のほうを振り返った。
「言っとくけど俺を『深夜』と呼んだら怒るからな」
そういってまた自分の机に向かって歩き出した。
達志は意味が分からないようで翔のほうに目を向けた。
翔は苦笑いを浮かべ達志に声をかけた。
「別に友達になってもいいってさ」
「え?あれで?」
「あぁ。あれでそういうことなんだ。呼び方なんだけど最初からあいつを『深夜』って呼べる奴はいないから気にすること無いよ」
「じゃあいつかは俺も『深夜』って呼べるかもしれないんだな?」
「その可能性は十分ある」
「そっか。明日から少しずつ話しかけてみるか」
勇一が教室に入ってくると達志はそのまま自分の机に向かっていった。
翔も自分の机に座って深夜のほうを見た。
深夜は秀太と何やら話をしている。
勇一は事情を知ってるので秀太を気にせずすぐにHRを終わらせた。
HRが終わると深夜はすぐに立ち上がり柚子葉に声をかけた。
「柚子。荷物とりに行くぞ」
「あ、うん」
深夜が柚子葉が立ち上がるのを見て歩き出した。
柚子葉も深夜の隣に並んで歩き出した。
その光景をクラスに残っている生徒はじっと見つめた。
教室の入り口付近で達志が深夜に声をかけた。
「や、山上。また明日」
「おぉ、また明日」
深夜は達志に手を上げて教室を出て行った。
柚子葉も達志に声をかけて深夜の後に続いて教室を出た。
安堵のため息をついている達志のところに翔が近寄る。
「どうだ?深夜に声をかけた感想は?」
「緊張した…」
「ま、すぐに慣れるって」
翔は達志の肩に手を置いた。
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