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STORY10-1 『どうしてぼくにはパパがいないの?』

また、春が来た。

柚子葉たちは3年に進級した。

柚子葉たちが通っている高校は2年から3年へのクラス替えはない。

従って、また柚子葉、深夜、翔、真希、圭は一緒のクラスだ。

そして3年になって数日がたったある午後の授業中に校内放送が流れた。


「3年C組 山上、山下。3年C組 山上、山下。至急職員室に来なさい」


その放送に寝ていた深夜も体を起こし、柚子葉と顔を見合わせる。


「何だろ?」

「さぁな」

「二人とも早く行きなさい」

「はい」


教師に促されて二人は教室を出た。

教室を出た二人は歩きながら話をしている。


「ねぇ、深夜。何だと思う?」

「さぁな。でも、俺ら二人に関連あるってことはまず学校の事ではないだろ。授業中に呼び出すぐらいだし」

「そっか。じゃあなんだろね」


職員室に入ると担任の勇一が二人を手招きしている。


「こっちだ。お前らに電話だ」

「電話?」

「あぁ」


柚子葉は勇一に手渡された受話器を持って深夜の顔を見た。

深夜もまだ事情が掴めていない様だが柚子葉に電話に出るように促した。

深夜は勇一に声をかける。


「何の用事なんですか?」

「いや、俺もよく分からないんだがお前と山下を呼んでくれって聞かなくてさ。…忍が」


後のほうは深夜にだけ聞こえるように呟いた。

深夜はそれを聞いて保育園関連のことだと分かった。

柚子葉のほうを見ると受話器を今耳にあてたようだ。


「はい、山下です。…はい。はい。…え!?」


柚子葉は声を上げ受話器を落とした。

それを見た深夜は柚子葉に近寄った。


「おい、柚子。どうした?」


深夜が声をかけても柚子葉は反応しない。

深夜は空中に浮かんでいる受話器を耳に当てた。


「もしもし」

「その声は深夜ね」

「あぁ。一体どうしたっていうんだ」

「実は、秀太君がいなくなったの」

「はぁ!?」

「昼寝で寝かしたときにはいたんだけど、今他の保育士が見回りに行ったらいないらしいの」

「トイレとかじゃないのか?」

「保育園の中を見たけどどこにもいないの」

「…分かった。俺も探すから。見つかったら俺の携帯に電話してくれ」

「分かったわ」

「じゃあ、また後で」


深夜は電話を切ると柚子葉に近寄った。


「柚子。しっかりしろ、柚子」


深夜が声をかけるがまだ柚子葉は反応しない。

深夜は柚子葉の肩を持った。


「しっかりしろ、柚子!お前は秀太のお姉ちゃんだろ!お前がしっかりしないでどうするんだ!」


その声に柚子葉は肩を震わした。


「あ、…うん。もう大丈夫」

「俺らも外に探しに行くぞ。秀太が行きそうなところを手当たり次第探す」

「うん」

「山上、どういうことだ?説明しろ」


職員室にいた教師の一人が深夜に事情を説明するように促した。


「簡単に言うと山下の弟が行方不明だそうです。俺と山下は今から探しに行きます」


深夜が柚子葉を促して職員室を出ようとしたとき、職員室のドアが開いた。

ドアの外には用務員が立っていた。


「あ、すいません。この子供が学校に迷い込んでいたんですけど」


そういって用務員の後ろから一人の泣いている子供が出てきた。

その子供を見て深夜と柚子葉は声をそろえて叫んだ。


「「秀太!」」


深夜と柚子葉の姿を見た秀太は泣き止んで柚子葉に抱きついた。


「おねえちゃ〜ん」

「秀太」


柚子葉も秀太を優しく抱きしめる。

深夜も秀太に近寄る。


「秀太」


深夜の優しい声に職員室にいた教師は驚いた。

秀太は深夜にも抱きついた。


「しんやおにいちゃん」

「怪我はないか?」

「うん」


深夜は秀太の体を見て怪我がないかどうか調べた。

特に怪我は無いようで深夜と柚子葉は安堵の息をついた。

深夜は秀太の頭に手を乗せた。


「で、なんで勝手に保育園を出たんだ?」


秀太は深夜の問いかけに下を向いて答えようとしない。

深夜は秀太に優しく聞いた。


「黙ってたら分からないだろ?」

「ねぇ、おねえちゃん」

「何?」

「どうしてぼくにはパパがいないの?」


秀太の言葉に柚子葉は息を呑んだ。

深夜もその言葉に驚いた。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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