STORY9-END 『いつか報復に来るかもな』
職員室を出ると深夜を3人が待っていた。
1年生は深夜が出てくると頭を下げた。
「山上先輩すいませんでした!助けてくれたのにこんなことになって」
頭を下げた1年生の肩を翔が叩く。
「お前が悪いわけじゃないだろ」
「あぁ、お前は悪くない」
深夜がそう言うと1年生は頭を上げた。
「お前はからまれていただけだろ?お前のどこに悪いところなんてある?」
「えっと…」
「今回こういうことになったのは先生達の頭が固いからだ。俺が不良だということで絶対に俺が悪いって事を決め付けやがって」
「だとさ。もう深夜は気にして無いみたいだからお前もう教室に戻って良いぞ」
「はい、失礼します」
1年生が歩き出そうとしたときに深夜が引き止めた。
「あ、ちょっと待て」
「何ですか?」
「今回のことは誰にも言わないでくれ。俺がお前を助けたってことを。もちろん俺たちもお前が他の高校生に金を巻き上げられてたってことは言わない」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ」
「分かりました。今回のことは誰にも言いません。友達にどうしたのかって聞かれても何とか誤魔化します」
「悪いな」
「いえ、じゃあ失礼します」
そういって1年生は自分の教室に戻っていった。
その後姿を見送って深夜達も教室に戻るために歩き出した。
「それにしても何で大竹先生は深夜の味方をしてくれたんだろうな。まだ勇一さんは深夜のことを分かってるから深夜を援護してくれるのは分かるんだが…」
「さぁな。でも、大竹の授業を受けたことはないけどいい先生だと思うぞ」
「ほぉ〜、してその根拠は?」
「学校内でもあの先生ってどの生徒でも同じように扱ってるだろ?俺みたいな不良でも普通に接してくれるし、何回か飲み込みの遅い生徒に勉強を教えてるのを見たことあるし」
「へぇ〜、深夜ってそんなところ見てるんだ」
「別にいつも見てるってわけじゃないけどな」
深夜達が教室に戻ると一斉にクラス中の目が三人に向けられた。
深夜が睨むと真希達以外の生徒はすぐに目線をそらした。
深夜達が自分の机に座ると真希達が近づいてきた。
「ねぇ、山上何があったの?」
「別に」
「何よそれ。ねぇ、柚子葉は何があったのか知ってるんでしょ?教えてよ」
「えっとね…」
「柚子」
柚子葉が何があったのかを説明しようとしたが深夜に止められた。
「それ以上言うな」
深夜はそれ以上何も言わずに窓の外に顔を向けた。
翔は苦笑を浮かべ真希達に声をかけた。
「悪く思わないでくれ。今回は深夜だけの問題じゃないんだ。他の生徒も関わってるからそいつのために言いたくないだけなんだと思う」
「…分かった」
そういって真希と圭は不機嫌なまま自分達の机のほうに戻っていった。
柚子葉は翔の方を向いた。
「仕方無いだろ。さっき約束したし」
「そうだね…」
「やっぱり友達に黙ってるのは嫌か?」
「嫌か嫌じゃないかって言われるとそりゃあ嫌だけど、約束したから」
「すぐにあいつらも気にしなくなるさ。だから、悪いけど黙っててやってくれ」
「うん、分かってる」
その日の放課後、深夜達が帰ろうと下駄箱を出ると丁度あの1年生と会った。
1年生が頭を下げてきた。
「山上先輩、さようなら」
深夜はその頭を軽くはたいた。
「じゃあな」
「はい、失礼します」
深夜はそのまま校門のほうに歩いていった。
事情を知っている翔と柚子葉もその1年生に声をかけて深夜の後に続いた。
真希と圭は事情が掴めていない様だがとりあえず深夜達の後ろについて歩いている。
深夜が校門を出るときに後ろを振り返ると先ほどの1年が友達と思われる男子に問い詰められ困っているのが見えた。
苦笑を浮かべて深夜達は校門を出た。
真希と圭はまだ聞きたそうにしていたが深夜と柚子葉、翔が声をかけて家のほうに向かって歩き出したのを見て諦めたのか自分達の家のほうに向かって歩き出した。
歩いていると翔が深夜に声をかけた。
「そういえば1年を囲っていた奴らに何かしたのか?」
「いや、何もしてねぇよ。というより俺が行くとすぐに逃げやがった」
「どこの高校だったんだ?」
「学ランだったのは分かるんだけどどこの高校までかは分からん」
「いつか報復に来るかもな」
「それはないだろ。俺の事知ってるみたいだったし。『山上だ、逃げろ』とか言ってたから」
「お前どれだけ怖がられてるんだよ…」
「俺に言うなよ。勝手に怖がられてるんだから」
「確かに」
深夜と翔は話しながら笑っている。
柚子葉も二人のやりとりを聞いて笑っている。
「あ、俺今から姉貴のところに手伝いに行ってくるから」
「そうなんだ。忍さんによろしくな」
「分かった。柚子はどうする?」
「私は今日は帰るよ」
「そうか。じゃあまた明日」
「うん」
深夜は保育園のほうに向かって歩き出した。
翔と柚子葉は二人並んでまたマンションのほうに向け歩き出した。
マンションの前に来ると翔と別れエレベーターに乗り家に入った。
その日の晩、深夜から電話が来た。
「もしもし」
「あ、柚子か?」
「うん。どうかしたの?」
「別に。ただ、電話しただけ。忙しかったか?」
「ううん、大丈夫だよ」
それから少し話をして電話を切り柚子葉は眠りに就いた。
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