STORY8-2 『おい、ここで何やってるんだ?』
柚子葉がカバンを持ってきたので三人で歩いて校門のところに向かった。
校門のところに向かって歩いていた深夜はその中心を見て足を止めた。
翔と柚子葉は足を止めた深夜に目を向ける。
深夜は二人をその場で待たせ、ため息をつきながら早足で歩き出した。
深夜は女子生徒の集まりの一番外の生徒に声をかけた。
「…邪魔」
その声を聞いた女子生徒は恐れながら深夜が歩ける道を作った。
それは集まりの中心まで続いた。
その中心に向け深夜は歩き出した。
その中心にいた男性は深夜に気づかず女子生徒と話をしている。
男性のすぐ後ろまで深夜は近づいたがまだ男性は気づいてないようだ。
深夜はその男性の背中に軽く蹴りを入れた。
「おい、ここで何やってるんだ?」
男性はすぐに深夜を振り返った。
最初は顔をしかめていたが、深夜を見ると笑った。
「何って女子高生と話してるんだけど?」
「そうじゃなくて何で日本にいるのかって聞いてんだけど」
「別にいいじゃねぇか。こんなに女子高生が周りにいるんだから少し待てって」
「葉月さんに言うぞ。女子高生に囲まれて鼻の下伸ばしてたって」
「い!?分かった分かった」
深夜と男性が話してると翔が歩いてきた。
「深夜、どうした?」
翔は深夜に声をかけ、男性の顔を見て声をあげた。
「慎一さん!?」
「お、もしかして翔か?大きくなったなぁ」
慎一と呼ばれた男性は翔を見て笑いながら言った。
「そりゃあ5年も会ってなかったら大きくなりますよ」
「そうか。お前と最後に会ったの5年前なのか。そりゃあ大きくなるな」
「おい、兄貴」
「え!?」
深夜の言葉にさっきまで固まっていた周りの女子生徒から驚きの声が上がった。
それに慎一は笑ったが深夜は特に気にせずに慎一に話しかける。
「とりあえずここから離れよう。あんまりここで話したくない」
「ん〜、そうだな。ここだと落ち着いて話できないし、それに…」
慎一は最後まで言わず遠くにいる柚子葉に目線をやった。
深夜は慎一の目線の先に柚子葉が立っているのを見てまた慎一に話しかけた。
「じゃあ、家でいいだろ。一番落ち着くだろうし」
「あ、忘れてた」
「何を?」
「お前の家の鍵向こうに忘れたから俺が鍵取りにきたんだった…」
「へ?他に誰か帰ってきてんの?」
「親父とお袋、それに葉月も」
「はぁ!?じゃあ、みんな帰ってきてるのか?葉月さんまで」
「あぁ、みんないるよ」
「じゃあ、さっさと帰ろうぜ」
深夜は翔に声をかけ歩き出した。
慎一も深夜の後について歩き出した。
翔は柚子葉のところに歩いてきた。
「山下。深夜からの伝言だ」
「え?」
「『裏門から出ろ』ってさ。俺も行くけど」
「えっと…状況がつかめないんだけど…」
翔はそれ以上は何も言わず裏門のほうに向かって歩き出した。
柚子葉も急いで翔の後を追った。
翔に追いつくと横に並んで歩き出した。
裏門から出ると深夜と慎一が待っていた。
「悪いな翔」
「いいって」
深夜が翔に礼を言って柚子葉のほうを向く。
「えっと、いろいろ聞きたいことあるだろうけどマンションまで帰ろう」
「あ、うん」
深夜の言葉に柚子葉は頷いた。
が、今一番気になっていることを聞いてみた。
「でも、どうして私まで?」
「それはな…」
「俺が話してみたかったから」
柚子葉の問いかけに深夜が答えようとしたが、深夜よりも先に慎一が口を開いた。
柚子葉は慎一のほうを向いた。
慎一は話を続けた。
「いや〜、忍から話は聞いててさ。深夜が女の子と仲がいいって。だから、どんな子なのか気になったんだ」
「だそうだ。とりあえず親父達も待ってるだろうから早く帰ろうぜ」
深夜は柚子葉に目を向け歩き出した。
柚子葉は深夜の隣に並んで歩き出した。
その後ろを翔と慎一がついてくる。
翔と慎一は二人に聞こえないように話をしている。
「おい、翔」
「何ですか」
「深夜ってマジであの子のこと好きなのか?」
「深夜はマジだと思いますよ。あいつが山下のためにいろいろと行動してますから」
「へぇ〜、例えば?」
「え〜と、それまで真面目に受けてなかったテストを受けたりしましたから」
「そうか。とりあえずどうやって深夜をからかうか楽しみだな」
「慎一さん…。八つ当たりが俺に来ない程度にほどほどにしてやってくださいよ」
「分かってる分かってる」
「ホントかな…」
後ろの二人がこんな会話をしている間、前の二人も会話をしていた。
「悪いな。急にこんなことになって」
「ううん。全然平気だよ。でも、お兄さんもいたんだね」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「うん、聞いてないと思うよ」
「そっか。兄貴は慎一っていうんだ。勇兄と同じ年で二人は仲が良かったんだ」
「忍さんと植田先生が幼馴染なんだからお兄さんと先生も幼馴染になるの?」
「あぁ。確か大学まで一緒だったんじゃないかな」
「今お兄さんは何してるの?」
「兄貴は親父達と一緒に新しい事業を始めるためにアメリカに行ってるんだ」
「へぇ〜」
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