STORY8-1 『いや、本当にお前ら付き合ってるんだなぁと思って』
ある日の帰りのHRの前の休憩時間。
柚子葉は真希、圭と一緒に教室で話をしていた。
深夜は机で寝ていて翔は違うグループに行って話しをしている。
そこにある女子生徒が走ってきた。
「ちょっと!校門のところ見てよ!すっごいかっこいい男の人いるよ!」
その言葉を聞いた教室中の生徒が一気に窓際に集まる。
深夜が寝ている近くには集まらなかったが…
柚子葉もどんな人が立っているのか気になったので真希達と一緒に校門のところを見た。
「どう?柚子葉見える?」
「う〜ん、こっからだと顔までは見えないよ」
「でも、立ち方はかっこよさそうだよね」
「うん」
翔が三人の近くに歩いてきた。
「どうなの?女子の目から見て」
「遠すぎて見えないよ」
「まぁ、そうだろうね」
翔は柚子葉の言葉に苦笑を浮かべ窓から校門を見た。
「う〜ん、確かに見えないなぁ」
「でしょ?」
「柚子葉!こうなったら放課後すぐ見にいくわよ!」
「え?」
「よし、決定!先生早く来てよ!」
そんな真希と圭の念が効いたのか勇一が教室に入ってきたがクラスのほとんどが窓際に集まってるので驚いたようだ。
「どうしたんだ?」
「何でもないです!早く終わりましょう!」
「何でだ?」
「いいから早く終わりましょう!」
「お、おぉ」
女子生徒の雰囲気に圧倒されたのか勇一はすぐにHRを終わらせた。
終わると同時にクラスの女子が走って教室を出て行った。
男子生徒もどんな奴なのか興味があるようで女子生徒の後を追っていった。
深夜と翔は特に関せずに帰り支度を始めた。
二人に勇一が近づいて小声で話しかけた。
「な、なぁ。みんなどうしたんだ?」
「あれですよ」
翔が勇一の問いかけに窓を指差して答えた。
勇一は翔が指差した先を見ると生徒が集まっていた。
その中心には男性が立っている。
「あれか?」
勇一も指差しながら二人に問いかけた。
「はい。さっき女子が走ってきて『かっこいい男性が立ってる』って言ったらみんな気になったみたいで」
「へぇ〜」
「翔、俺帰るぞ」
「あ、俺も帰る」
深夜が帰り支度を終え翔に声をかけた。
翔は深夜の格好をみて急いで帰り支度を終わらせた。
「じゃあ、勇兄。また後で」
「勇一さん、さよなら」
「おぉ。気をつけて帰れよ」
二人は勇一に別れの挨拶をして教室を出た。
靴を履き替え女子生徒が集まっている校門を見て深夜はため息をついた。
ふと、横を見ると柚子葉が一人で立っていた。
深夜は柚子葉に声をかけた。
「柚子。どうした?」
「え?あ、深夜たちもう帰るの?」
柚子葉は深夜の声に気づいて二人に近づく。
「あぁ。お前は一人でどうしたんだ?井上たちは?」
「真希達はあそこ」
柚子葉は女子生徒の集まりを指差す。
「私はそんなに興味ないから戻ってきちゃった」
「じゃあ、一緒に帰るか?」
「あ、うん。ちょっと待ってて」
「あぁ」
柚子葉は走って校舎の中に入っていった。
深夜が柚子葉から翔に目線を向けると翔がニヤニヤして笑っていた。
「なんだよ、ニヤニヤして笑って」
「いや、本当にお前ら付き合ってるんだなぁと思って」
「当たり前だろ。じゃないとお前に報告なんかしない」
深夜は翔に、柚子葉は真希と圭に付き合っているということを報告した。
三人ともその知らせを聞いて喜んでくれた。
冷やかしもしてきたが…
「いや〜、なかなか信じれないんだよなぁ」
「そうか?」
「あぁ、学校ではお前らあんまり話さないだろ?」
「まぁ、そうだな」
「だからさっきみたいなほんの些細な所で付き合ってるっていうことがやっと実感できたからついニヤニヤしたんだ」
「嘘っぽいけどまぁいっか」
二人はたわいないことを話しながら柚子葉が来るのを待った。
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