STORY7-3 『へぇ〜、似合ってるじゃん』
柚子葉は女性従業員に化粧も施してもらった。
それを見た真は感嘆の声を上げ、深夜は見惚れている。
「へぇ〜、似合ってるじゃん」
「あ、ありがとうございます」
「おい、深夜。また見惚れてないで何か言えよ」
「え?あ…その、似合ってる」
「…ありがと。深夜も似合ってる」
「…サンキュ」
二人は顔を真っ赤にして見詰め合っている。
真は笑みを零しながら口を開いた。
「はいはい、二人ともそんな見詰め合わない。もうそろそろパーティ会場に行くんだろ?」
「あ、はい」
「じゃあ、俺送ってってやるよ」
「え?マジッすか?」
「あぁ。忍にも頼まれてるし」
「じゃあ、お願いします」
「おう。車回してくるから店の前に待ってろ」
そう言って真は店の奥に入っていった。
深夜と柚子葉は女性従業員にお礼を言って店を出ようとしたが、今の服装でそのまま外に出るのは恥ずかしかった。
そこで深夜だけ店の外に出てドレス姿の柚子葉は店の中で待機することにした。
店の前で待つこと数分、真が車に乗ってきた。
それを見た深夜は店の中に待っている柚子葉を呼んで車に乗り込んだ。
「真さん、場所は分かってるんですか?」
「あぁ、○○ホテルだろ?」
「そうです」
真は車を走らせた。
目的地に着くまでの間、深夜と柚子葉の間には会話は無かった。
まだ二人とも照れているようだ。
後部座席の初々しい二人を見て真は笑みを零した。
ホテルに着くと二人は車を降りて真にお礼を言った。
「真さん、ありがとうございました」
「こんな服用意してもらってありがとうございました」
「じゃあ、お礼に柚子葉ちゃん今度デートしようね」
「え?」
「真さん!」
「冗談だって。じゃあ、俺店あるからもう行くわ」
「あ、今日はありがとうございました」
「おぉ。また服がいるようになったら頼むな」
真は二人に手を振って去っていった。
それを見送った二人はホテルに入っていった。
パーティはこのホテルの大広間を使用して開催されるようだ。
二人が大広間に着くとすでに受付が始まっていた。
「本日はおめでとうございます。お招きいただき光栄です」
「お越しいただきありがとうございます。では、こちらを受け取りください。本日のプログラムとなっております」
「ありがとうございます」
深夜は渡されたプログラムを持って柚子葉と一緒に会場に入った。
すでに会場にはたくさんの人がいて柚子葉が戸惑っていると深夜が声をかけた。
「柚子?大丈夫か?」
「あ、うん。こんなに人がいるんだね」
「いや、これでも少ないほうだ」
「え、そうなの?」
「あぁ。多いところはもっと大きい会場でするからな」
「へぇ〜」
深夜は飲み物が置かれているテーブルからノンアルコールの飲み物を取って柚子葉に渡した。
「ほら、これでも飲んで落ち着け。少ししたら主催者のところに挨拶しに行くから」
「あ、うん。そういえば深夜ってこんなパーティに何回出たことあるの?」
「数えたこと無いからな〜、でも10回以上は出てるはずだ」
「そんなに?」
「あぁ。というよりは小さい頃に姉貴がパーティに出ていたのについていったというほうが正しいか」
「忍さんが?」
「他に行く人がいないときは今回の俺みたいに姉貴が行ってたんだ。もちろん勇兄も一緒にな」
「忍さんと植田先生っていつから付き合ってるの?」
「確か姉貴が中3で、勇兄が高1じゃなかったかな」
「え?二人は同級生じゃないの?」
「あれ?言ってなかったけ?姉貴は勇兄の一個下になるんだ」
「初めて聞いた」
「忘れてたな。もう大丈夫か?挨拶に行くぞ」
「あ、うん」
深夜は柚子葉からグラスを受け取り近くのボーイに渡し歩き始めた。
柚子葉も深夜の隣に並んで歩いた。
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