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STORY6-5 『俺は山下のことが好きだ』

柚子葉と青井は中庭に立っていた。


「青井君、話って何?」

「このまえのこと覚えてる?」

「このまえって告白のこと?」

「うん」

「覚えてるよ」

「あの時は俺一位になったら付き合って欲しいって言ったんだ」

「うん。でも、今回青井君一位じゃないよね」

「あれは絶対カンニングだ!俺があんな不良に負けるなんかありえない!」

「…そんなことないよ」

「え?」

「そんなことないよ。山上君はカンニングなんかしない」

「山下さん?」

「山上君のことよく知らないくせにそんなこと言わないで!」

「どうしたの、山下さん?」

「え、あ…」

「どうして山下さんがあんな奴のことをかばうんだ」

「えっと…」

「もしかして、山下さんが好きな人って…山上?」

「…うん」


柚子葉は青井の言葉に頷いた。

それを見た青井は柚子葉の肩を強く掴む。

柚子葉はその強さに顔をしかめるが青井は気づかずに柚子葉に問い詰める。


「嘘だろ!」

「痛い!」

「あいつなんかのどこがいいんだよ!俺が、この俺が好きだって言ってるのに!」

「青井君…離して」


柚子葉は青井が掴む肩の痛さに目を瞑った。

すると、急に肩から手がのいた。

柚子葉が目を開けると誰かの後姿と倒れている青井の姿が見えた。

青井の顔には誰かに殴られたような傷があった。


「痛っ!何すんだよ!」

「それはこっちのセリフだ」


青井が殴ったであろう人物に突っかかる。

その殴った人の声に柚子葉は聞き覚えがあった。

殴った人物は深夜だった。


「山下が痛がってるのが分からないのか」

「うるせぇ!お前がカンニングなんかするからいけないんだろうが!」

「俺はカンニングなんかしていない」

「そんなの信じられるか!」

「別にお前なんかに信じてもらうつもりもない。ただ、これ以上山下に付きまとうな」

「お前にそんなこと言う権利あるのか!」

「無い」

「だったら引っ込んでろ!」

「それはできないな」

「何でだよ!」

「お前にそんなことを言う権利もないだろうが。これ以上山下に付きまとうならもっと痛い目にあわせるぞ」

「くっ!」


青井はそのまま中庭から走り去っていった。

深夜は青井の後姿を見送って柚子葉のほうに向き直る。


「山下大丈夫か?」

「う、うん。でも、どうして山上君がここにいるの?」

「翔からメールもらった。山下があいつと一緒に出て行ったって」

「そうなんだ」


柚子葉は安堵のため息をついた。

が、気になることが出てきた。

さっき青井に聞かれて柚子葉は深夜のことが好きだと伝えた。

あれを深夜は聞いてたのだろうか…


「ね、ねぇ、山上君、いつからここにいたの…?」

「なぁ、山下」

「え?何?」

「昼休みの屋上の会話覚えてるか?」

「急にどうしたの?」

「お前俺に好きな人がどんな奴か聞いてきたよな?」

「う、うん」

「俺の好きな奴は弟思いで、デパートでナンパされて、風邪引いても友達のために無理して、オムライスを作るのが上手くて…」

「え…」

「俺は山下のことが好きだ」

「本当に…?」

「こんなこと冗談で言えるか」

「私も…。私も山上君のことが好き」


柚子葉は深夜の胸に飛び込んだ。

深夜は柚子葉を抱きしめる。

が、深夜は申し訳なさそうに口を開いた。


「実はな…さっき最初からいたんだ」

「じゃあ…」

「あぁ。山下が言ったことも聞いた」

「そうなんだ」

「悪かったな。盗み聞きした形になって」

「ううん。助けてくれたんだからいいよ」

「そっか」

「うん」


それから二人はまた抱きしめあった。

数分して柚子葉が口を開いた。


「えっと…教室戻ろうか。真希達も待ってると思うし」

「あ、そうだな」


二人は連れ立って教室に歩いて戻った。

教室に着くまで二人の間には会話はなかった。

二人とも何と言っていいのか分からなかったからだ。

教室に入ると翔たちがニヤニヤして二人を見てきた。


「翔…なんだその顔は」

「いや〜、別に〜」

「真希達もどうしたの?」

「いや、別に。ねぇ〜圭?」

「そうよね〜」

「まぁ、いいや。さっさと帰ろうぜ」

「あ、そうだね」


5人は学校を出た。

いつも通り真希と圭は道が違うので途中で別れた。

別れるときもまたニヤニヤしながら深夜と柚子葉を見てきた。

何がなんだか分からない二人だったがとりあえずまた歩き始めた。

深夜は少し考えて何故あんな顔をして見てきたのか心当たりが出てきた。


「なあ、翔」

「ん?」

「お前らもしかしてあの現場いた?」

「ん〜、何のことかな〜」

「いたんだな…」

「どういうこと?」


柚子葉はわけが分からないので深夜に聞いてみた。


「翔たちは多分放課後中庭にいたんだろ」

「え!?」

「あれ?分かっちゃった?」

「あぁ。それしか心当たりがないからな」

「心配だったから深夜にメールを送った後俺らもついて行ったんだ」

「やっぱりか」

「まぁ、いらんお世話だったみたいだけどな」


深夜たちはマンションの前まで歩いてきた。

翔に寄っていくか深夜は声をかけたが翔は断り家に歩いていった。

深夜たちはその後姿を見送ってマンションの中に入った。

エレベーターを待っている間二人の間には会話は無く沈黙が流れた。

エレベーターに乗り込んで8階で柚子葉が降りるまでそれは続いた。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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