STORY6-3 『さぁね〜』
そして、テストが終了した。
この学校では点数は出ないが上位の優秀者の名前だけ発表することにしている。
一位には深夜の名前があった。
その結果を見た柚子葉は安堵のため息をついた。
だが、柚子葉たち以外の生徒はそのテストの結果を見てカンニングだと騒ぎ出した。
深夜は職員室に呼ばれた。
「何すか」
「お前カンニングしたのか?」
「してませんよ」
「じゃあ、何だ。あの点数は」
「何って実力じゃないすか?」
「いつも赤点ギリギリのお前の実力なわけないだろうが!」
「じゃあ、これ見たら信じてもらえるんすか?」
深夜はポケットの中から一枚の紙を取り出し教師に見せる。
その紙は模試の結果だった。
深夜は学校では受けず、他会場で受けていた。
模試の結果を見た教師は何も言わず深夜を職員室から返した。
職員室から出ると翔が立っていた。
「なんだって?」
「カンニングしたんだろうって言われた」
「で、どう信じさせたんだ?」
「これ見せた」
「何だこれ…。これ模試の結果か」
「あぁ。それ見せたら何も言わなかったよ」
「これはカンニングの仕様がないからな」
深夜と翔は教室に向かって歩き出した。
廊下にいる生徒は皆深夜のほうを見て何か話している。
が、深夜が睨むと皆顔を横に向けた。
教室では生徒がざわざわ騒いでいたが深夜が入ると静かになった。
深夜は自分の席に座り何事もないように寝始めた。
翔も自分の席に座って柚子葉達に話しかける。
「これ何の騒ぎだったんだ?」
「カンニングだって騒いでたの」
「確かに何も知らない奴らからしたらカンニングだって騒ぎたくなるだろうな」
「そういえば山上は大丈夫だったの?」
「あぁ、模試の結果を見せたら大丈夫だって言ってたぞ」
「へぇ〜」
「山下のほうは青井から何も言ってこないのか?」
「うん、今のところは」
そんな話をしていると勇一が入ってきた。
クラスの連中は勇一に問い詰める。
「先生!あの結果は本当なんですか!」
「カンニングがあったんじゃないんですか!」
クラスのほとんどの生徒が攻撃的な口調で口を開く。
勇一がゆっくり諭すように話し始める。
「確かに私たち教師も最初は山上がカンニングしたんじゃないかと疑った。が、カンニングは認められなかった。これは山上の実力だ」
「でも!」
「これは山上の実力だ!これ以上は聞かないぞ」
そういって勇一は授業を開始した。
生徒はまだ気に入らなさそうだったが授業を受け始めた。
午前中の授業が終わり食堂で柚子葉と真希、圭が三人で食事を取ってると翔が一人で近づいてきて柚子葉たちの近くに座った。
「今日は山上は?」
「深夜なら飯より昼寝がしたいんだと」
「へぇ〜」
4人で食べていたが、翔は食べ終えて食堂に出て行った。
それを見た柚子葉も後を追っていった。
「前田君!」
「あれ?山下どうしたの?」
「えっと…山上君がどこにいるか分かる?」
「どうして?」
「聞きたいことがあって…」
翔はその言葉を聞いてポケットの中から鍵を取り出して柚子葉に投げる。
柚子葉はそれを受け取ったが何がなんだか分からずに翔の顔を見る。
翔はその視線を受けて上を指差す。
その意味を理解した柚子葉は走り出した。
真希と圭も柚子葉のあとを追ってきたのか翔に走りよってきた。
「あれ、柚子葉は?」
「さぁね〜」
翔は笑顔でごまかす。
真希と圭は翔を睨むが翔は気にしない様子で廊下の窓から空を見る。
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