STORY6-2 『どうすんの?』
テスト前日、食堂で柚子葉は真希と圭と一緒に食事を取っていた。
それから数分して翔と深夜が三人のほうに近づいてきた。
「やっほ〜、ここ空いてる?」
「空いてるよ」
「じゃあ、座っていい?」
「いいよ」
翔と深夜も三人の近くに座って食事を取り始めた。
5人で食べながら話していると食べ終えた深夜が一人で食堂を出て行った。
「あれ?前田君は一緒に行かないの?」
「いつも一緒にいるわけじゃないからね。多分どっか昼寝に行ったんでしょ」
「どっかって例えば?」
「そうだな〜、屋上とか木の上とか」
「木の上?」
「そ。木の上だとなかなか見つからないでしょ?だからそこで寝てるんだよ」
「へぇ〜」
4人が話してるとある男子生徒が近づいてきて柚子葉に声をかける。
この男子生徒は同じクラスの学年で一番頭がいい生徒で、名前は青井という。
「あの、山下さん」
「はい?」
「話があるんだけど…」
「私?」
「はい」
「いいですよ」
柚子葉が立ち上がろうとすると真希が立ち上がろうとする柚子葉の手を捕まえて引き寄せる。
「ちょっと、どうしたの?」
「『どうしたの』ってあんた前のこと忘れたの?」
「前のこと?」
「あんた、ついこの間騙されたでしょうが」
「騙されたけど?」
「また騙されてるんじゃないの?」
「大丈夫だって」
柚子葉は真希が掴んでいた手を離した。
そして、柚子葉は青井と連れ立って歩き始めた。
残った3人は顔を見合わせてついていくことにした。
青井は柚子葉を中庭に連れてきた。
「話って何?」
「その、俺と付き合って欲しいんだ」
「えっと…」
「あの!今度テストがあるよね」
「え、うん」
「それで俺がまた1位取ったら付き合ってください!」
「え?」
「じゃあ、また!」
「あ!ちょっと…」
柚子葉は引きとめようとしたが青井は走っていってしまった。
どうしようとその場で困惑してると上から声が聞こえた。
「どうすんの?」
上を見ると深夜が木の枝に座っていた。
深夜は木の枝から降りて柚子葉の前に立つ。
「聞いてたの!?」
「最初からここにいたのは俺。お前らが後から来たんだろ。で、どうするんだ?」
「どうするって言われても…」
「山下はあいつと付き合いたいのか、付き合いたくないのかどっちなんだ?」
「私は…好きな人がいるから青井君とは付き合えない…」
「…そうか。じゃあ、付き合えないってさっさと言って来いよ。後になればなるほど断りにくくなるだけだぞ」
「あ、そうだね。行ってくる!」
柚子葉は青井の後を追って走り出した。
残った深夜はため息をついて自分の後ろを向きなおして声をかける。
「で、いつまでそこにいるつもりなんだ?」
深夜が向いていたところから翔たち三人が出てきた。
「いつから気づいてたんだ?」
「最初から。上から見たらバレバレ」
深夜の答えに三人は笑うしかなかった。
四人は自分の教室に戻ることにした。
青井の後を追っていった柚子葉は廊下で空を見ている青井を見つけ声をかける。
「あの、青井君」
「山下さん?どうしたの?」
「ちょっと話があるんだ」
「いいよ。何?」
「えっと、さっきの答えだけど…」
「うん」
「私好きな人がいるの。だから…」
「でも、付き合ってはいないんでしょ?」
「え?うん」
「じゃあ、いいじゃない」
「は?」
「ほら、試しで付き合ったら案外いいかもしれないじゃない」
「いや、でも…」
「あ、授業始まるね」
「あ…」
青井は教室の中に入っていった。
柚子葉がその場で立ち止まっていると後ろから深夜が声をかける。
「山下?」
「山上君、どうしよう…」
「どうした?」
柚子葉が今あったことを深夜に伝えようとしたが周りに翔たちがいることに気づきやめた。
それに気づいた深夜が柚子葉に声をかける。
「山下、こいつら知ってるから」
「え?」
「こいつら山下が告白された現場にいたんだ」
「え!?」
「この前のことがあったから心配だったんだろ」
「あ、そうだね…。でも大丈夫だって言ったのに…」
「ごめんね。心配だったの」
「話を戻すけど山下あいつに言ったんだろ?」
「うん。でも断れなかった…」
「は?」
「だから、断れなかったの…。ためしに付き合おうって言われて断れなかった…」
「柚子葉どうするの?」
「どうしよう…」
「とりあえず教室に入ろう。授業が始まる」
翔の言葉に5人は教室に入った。
授業中も柚子葉はさっきの告白で頭が一杯だった。
当然午後の授業は集中できるわけが無かった。
放課後、柚子葉は真希と圭と告白をどうするかで話し合った。
が、特にいい案も出ず柚子葉は家に歩いて帰っていた。
今日は母親がいるので保育園に秀太を迎えに行かなくてもいい。
マンションの前まで来ると深夜と翔がマンションの玄関に立っているのが見えた。
「あれ?山上君と前田君、どうしたの?」
「なぁ、山下」
「どうしたの?」
「一つだけ聞きたい」
「何?」
「山下は青井と付き合いたくないんだろ?」
「うん」
「じゃあ、あいつと付き合わない方法がある」
「え?本当?」
「あぁ。あいつはどうしたら山下と付き合うって言ったんだ?」
「テストで一位になったらって…」
「だからテストで一位にならなかったらいいんだろ?」
「でも、青井君は学年で一番頭いいんでしょ?誰が一位になるの?」
「俺」
柚子葉と翔が話していると急に深夜が割り込んできた。
「でも、山上君はテストを真面目に受けないんでしょ?」
「今回はちゃんと受ければいいだけの話」
「でも、本当に一位になれるの?」
「やるだけやってみる。だから、山下悪いけど古典とかのノート貸してくれないか?」
「え?どうして?」
「数学とかならともかく、古典系は教科書からしか出ないからな。ノートが無いと勉強の仕様がないんだ」
「えっと…コピーでいいなら」
「それでいい。貸してくれ」
柚子葉からノートのコピーを受け取った深夜はそれをぱらぱらめくり頷いた。
「これなら分かりやすくてどうにかなりそうだ。でも、一位になれるかどうかは別だからな」
「私も出来る限り頑張る」
それから深夜は自分の家に帰り柚子葉からもらったノートのコピーを使って勉強を始めた。
数学などは後回しにして教科書からしかでない教科から勉強を進めた。
古典、現代、英語などを集中的に勉強を続けた。
あとがきはYAHOO!blogで書いております
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