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STORY5-5 『無理しない保証はどこにもない』

深夜と秀太が風呂から上がったときには忍が家に帰っていた。


「あれ?姉貴帰ってたの?」

「ついさっきね」

「おじゃましてます!」

「いらっしゃい、秀太君」

「じゃあ、俺らまた下にいるから」

「分かった」


深夜たちが家を出てエレベーターのほうに歩いていると勇一が歩いてくるのが見えた。


「勇兄、おかえり」

「おぉ。あれ?秀太君どうしたんだ?」

「おじちゃん、おかえり」

「ただいま」


勇一が秀太の頭を撫でてやると秀太は嬉しそうに笑った。


「今日山下風邪引いてるから俺達が面倒見てるんだ」

「俺達ってあとは翔か?」


勇一は小さい頃から深夜のことを知ってるので深夜と仲のいい翔とも顔見知りだった。


「翔もだけど、後は井上と田中」

「あぁ。あいつら山下と仲がいいからな」

「だから手伝ってもらったんだ。もし着替えさせることがあったら俺だけだと無理だから」

「ふぅ〜ん。あ、深夜。秀太君寝冷えするからもう戻ったほうがいいぞ」

「分かった。じゃあ、また後で」


勇一に手を振って深夜は柚子葉の家に向かって歩き始めた。

深夜が柚子葉の家に着くと柚子葉が部屋から出てきていた。


「おねえちゃん!」


柚子葉の姿を見た秀太が柚子葉に抱きついた。


「山下、もう歩いても大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ」

「本当か?」

「本当だってば」

「ふぅ〜ん。まぁ、そこまで言うなら大丈夫だろ。秀太、お前はもう寝ような」

「え〜!?」

「え〜、じゃない。お姉ちゃんはもう治ったから明日遊んでもらえるから。だから今日はもう寝るぞ」

「…わかった。あしたぜったいあそんでよ!」

「うん。約束ね」

「じゃあ、ねる」


秀太が自分の部屋に戻ったのを確認した後、深夜は皆に声をかける。


「山下もこう言ってることだし翔たちも帰ったほうがいいだろ」

「そうだな。あんまり長居しても山下がゆっくり寝れないだろうし」

「姉貴に頼んで車出してもらうからそれで近くの駅まで帰ってくれ」


深夜は携帯で忍に電話して車を出してもらうように頼んだ。

忍は了承してくれてマンションの入り口で待ってるように言った。


「マンションの入り口で待っててくれって」

「分かった。じゃあ、山下。お大事に」

「うん。前田君もありがとう」

「じゃあ、柚子葉帰るから」

「真希も気をつけてね」

「柚子葉、おやすみ」

「おやすみなさい」


翔と真希、圭の後姿を見送った後、深夜は柚子葉に向き直る。


「じゃあ、俺も戻るから。何かあったらメールしてくれ」

「うん。ありがとう」

「じゃあな」


深夜が外に出て柚子葉もそれを見送ろうと歩き出したとき柚子葉がふらついた。

慌てて支えたときに柚子葉の肌を触った深夜は気づいた。


「お前…。熱下がって無いじゃないか!」

「だって…申し訳ないんだもん」

「だからって…」


柚子葉が申し訳なさそうにうつむいて顔を上げないのを見た深夜はため息をついた。

そして柚子葉を抱き上げた。


「え!?ちょっと、山上君!」

「あ〜、うるさいうるさい。少し黙ってろ」


深夜は柚子葉を抱き上げたまま柚子葉の部屋のドアを開ける。

そして、ベッドに柚子葉を降ろす。


「さっさと寝ろ」

「大丈夫だってば」

「さっきふらついてたのはどこの誰だ?」

「…私です」

「じゃあ、何も言わずにそこで寝ろ」

「はい…」


柚子葉が布団の中に入ったのを確認した後、深夜は立ち上がった。


「あの、山上君…」

「何だ?」


その声には少し怒りの感情が混じっていた。


「どこに…」

「タオルを濡らしてくる。誰かさんが無理しないようにここで見張るしかないだろ」

「もう無理なんかしないよ」

「無理しない保証はどこにもない」


深夜はそのまま洗面所に向かう。

タオルを冷たい水で濡らした後、柚子葉の部屋に戻って柚子葉のおでこに乗せる。


「おばさんが帰ってくるまで見張っておくぞ」

「え?そこまでしてもらわなくても…」

「面倒見るって言ったからには責任をとらないとな。俺が帰った後、無理して倒れられても困るし」

「もうしないって」

「だからその保証がないって言ってるだろう。ほら、さっさと寝ろ」


柚子葉は何も言わずに横になった。

深夜は柚子葉が横になっているベッドによりかかって座っている。


「ねぇ、山上君」

「何だ」

「私が寝るまでここにいてくれる?」

「それはどうかな。山下が寝る前におばさんが帰ってきたら俺は帰るから」

「じゃあ、お母さんが帰ってくるまで手を握っててくれる?」

「何故だ?」

「なんか寂しくなって。さっきまで寝てたけど向こうの部屋には皆がいたでしょ?でも、今はいないから…」

「分かった。握っててやるからさっさと寝ろ」


深夜が柚子葉の手を握ってやると柚子葉は微笑んで目を瞑った。

少しして柚子葉から寝息が聞こえた。

深夜は手を離そうとするが離れなかった。

深夜はため息をついてまた座りなおす。

それから少しして深夜もいつのまにか眠ってしまった。

柚子葉の手は握ったまま…

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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