STORY5-2 『うっせぇ!』
深夜が教室に入るとすでに朝のHRは始まっていた。
が、特に気にせずに自分の席に座ろうと教室内を歩いてると担任の勇一から注意を受けた。
「こら、山上!遅いぞ」
「寝坊したんで」
「またか。今度から気をつけるように」
深夜はその言葉に特に反応せずに席に座った。
勇一も何も言わずにHRを進め、HRが終わると教室から出て行った。
翔がHRが終わると同時に深夜に話かけてきた。
「深夜。今日はどうしたんだ?」
「今朝ちょっとな。あ、翔。悪いけど井上と田中呼んでくれ」
「は?どうして?」
「ちょっと頼みたいことがあるんだ」
「ふぅ〜ん。ちょっと待ってろ」
翔は二人で話している真希と圭の場所に歩いていった。
そして、二人を呼んできてくれた。
「何?どうしたの山上」
「二人とも今日の放課後暇か?」
「え?どうして?」
「山下が今日休みなのは知ってるんだろ」
「あ、うん。ついさっき植田先生が言ってたし」
「今朝、山下のお袋さんに会ったんだ。その時にいろいろあって山下の弟の秀太を預かることになったんだ。それで悪いけど二人とも手伝ってくれないか?」
「あ、うん。それはいいよ。お見舞いに行こうかってさっき話してたし」
「私も大丈夫」
「助かる。俺一人だとできないこともあると思うし。じゃあ、放課後に」
「分かった」
そして、放課後。
深夜は真希、圭、そして翔と一緒に保育園に向かっていた。
先に秀太を迎えに行くのだ。
保育園に着くと門の前に忍が立っていた。
「姉貴。秀太を迎えに来た」
「ちょっと待ってなさい」
忍は保育園の中に入っていった。
忍が保育園の中に入ったのを確認して真希と圭が深夜に話しかける。
「ねぇねぇ、山上」
「何だ?」
「いまさっきのが山上のお姉さん?」
「あぁ」
「若いね。年いくつ?」
「あぁ、確か今年で…」
「女性の年を軽々しく言わない」
いつのまにか忍が深夜の後ろに立っていて深夜の頭を叩いた。
深夜はすぐに忍のほうを向き直った。
「何すんだ!」
「あんたが私の年を言おうとするからでしょう!」
「俺は聞かれたから答えようとしただけだ!」
「だからって軽々しく女性の年を言っていいと思ってるの!」
「あぁ!山下にも聞かれたから教えたし」
「柚子葉ちゃん知ってるの!?」
「あぁ。俺が教えた」
「あんたって子は…」
「忍さん、少し落ち着いて。井上たちが困ってますから」
「あら、翔。あんた、いたの?」
「忍さん、それはヒドイっすよ…」
「冗談よ、冗談。あ、秀太君はもうすぐ来るから」
深夜がその言葉を聞いて保育園の入り口のほうを見ると秀太が靴を履いてこちらに走ってきていた。
秀太はそのまま深夜の足に抱きついてきた。
「えへへ、きょうはしんやおにいちゃんがむかえにきてくれたの?」
「あぁ。ここにいるお兄ちゃんやお姉ちゃんも一緒に迎えに来てくれたんだ。さ、帰ろうか?」
「うん!」
そういって深夜は秀太の手を取る。
秀太も嬉しそうに深夜の手を握り返す。
深夜と秀太、それに翔は歩き始めるが、まだ真希と圭はその場に立ち止まったままだった。
二人に深夜が声をかける。
「井上、田中。お前ら何突っ立ってんだ。行くぞ」
「あ、うん」
真希と圭が三人に追いついたのを確認して5人揃って歩き始める。
深夜がさっきの質問に答えた。
「そういえばまだ姉貴の年齢言ってなかったな。確か今年で28のはず」
「え!28!?」
「嘘!?」
「いや、確かあってるはず」
「嘘…。もっと若いと思ってた」
「そういえば山下は23と思ってたとか言ってたな」
「うん。私もそのぐらいと思ってた…」
「私も…」
「久しぶりに忍さんの顔見たけど確かに28には見えないな」
「若づくりしてるんだろう」
「前田はお姉さんのこと知ってるの?」
「知ってるよ。俺深夜との付き合い長いし」
「いつから知ってるの?」
「保育園のころから」
「ふぅ〜ん。それにしても…」
真希と圭は秀太と手を握っている深夜のほうを向いて噴出した。
それを見て深夜が二人を軽く睨む。
「なんだよ…」
「いや、柚子葉から山上が子供達と遊んでるって聞いたけど…」
「似合わない…」
「うっせぇ!」
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