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STORY4-END 『殴って教師に突き出した』

ある日の朝、柚子葉が下駄箱を開けると手紙が入っていた。

柚子葉は手紙を開けずにカバンの中に入れて自分のクラスに向かった。

今日は秀太がなかなか起きなかったので遅刻ギリギリだったのだ。


昼休み、いつもどおりクラスで真希と圭と一緒に弁当を食べようとカバンを開けると手紙が入っていた。

そういえば今日下駄箱に入っていたなと思い出して弁当と一緒に手紙も取り出した。

手紙に気づいた真希が声をかける。


「あれ?柚子葉、何それ?」

「今日下駄箱に入ってたの」

「ふぅ〜ん、開けてないの?」

「うん。今日遅刻ギリギリだったから開けてみる暇無かったの」

「今開けないの?」

「先にご飯食べよう。開けて食欲なくなるのは嫌だし」

「あぁ〜、嫌がらせ?」

「多分ね。もう収まったと思ってたのに」

「確かに2年になってからさらに前田と接するのが多くなったからねぇ」


柚子葉は1年のときに翔と同じ委員だった。

翔は人気のある男子生徒なので柚子葉は嫌がらせを受けたことがあった。

そのほとんどが手紙に妬みの言葉が綴られたものだった。

それも1学期が終わる頃には収まったが…

だが、2年になって翔とは同じ委員になっていないが1年よりも深夜つながりで親しくなったのは間違いない。

だから、また嫌がらせが始まったのだと柚子葉は思っていた。

柚子葉は弁当を食べ終わって手紙を開けた。


『放課後、体育館裏に待ってます』


「うぅ〜ん、どう思う?」

「嫌がらせかもしくは告白かどっちかよねぇ?」

「だよねぇ。柚子葉どうするの?」

「とりあえず行くよ」

「そっか。柚子葉は律儀だね。私達も一緒に行こうか?」

「ううん。一人で大丈夫だよ」


その日の放課後、柚子葉は一人で呼び出された体育館裏に向かった。

真希と圭は「ついていこうか?」と言っていたが断った。

体育館裏に行くと一人の男子生徒が待っていた。

名前は知らないが学年が同じ2年ということは分かった。


「えっと、私を呼び出したのはあなたですか?」

「あぁ。山下さんだよね?」

「ええそうですけど」

「もしよかったら俺と付き合ってくれないか?」


どうやら嫌がらせではなく告白のようだ。

一人で来て正解だった。


「すいませんがお断りします」

「ふぅ〜ん、やっぱ山上と付き合ってるんだ?」


柚子葉が断ると男子生徒の態度が一変した。

さっきまでとは纏う空気が違う。


「そういうわけでもありません」

「まぁ、別に断られても困らないんだけどね」


男子生徒がそういって周りに合図を送った。

すると、物陰から数人の男子生徒が出てきた。


「なにしようというんですか?」

「分かってるんだろ。俺らの相手をして欲しいんだよ」

「お断りします!」


柚子葉はその場から逃げ出そうと走り出したがすぐに男子生徒に回りこまれてしまった。


「どいてください!」

「静かにしろ!どうせ、山上にもされたんだろうが!」

「な…。そんなことありません!」

「いいから静かにしろ!」


男子生徒が柚子葉の口の塞いだ。


「どうせ誰も助けにこないって」


柚子葉に男子生徒が近づいてくる。

そして、男子生徒が柚子葉に顔を近づけてきたときに、その場に走ってくる足音が聞こえた。


「ちょっと!柚子葉を離しなさいよ!」


真希と圭がその場に走ってきた。

柚子葉の口を塞いでいた男子生徒に体当たりをして、柚子葉から手をのけた。


「柚子葉!大丈夫!」

「う、うん。真希、圭ありがとう」

「ううん。それはここから逃げれたときに聞くわ」


柚子葉たちを囲うように男子生徒が拡がる。

もう逃げ場はない。

柚子葉たちにも諦めの表情が浮かぶ。


「イテェな。お前らも一緒に相手をしてもらおうか」

「そんなのお断りよ!」

「断られても力づくでさせてもらうさ。俺らから逃げられると思ってるのか?」


真希が何かに気づいたようだ。

少し安堵の表情を浮かべて口を開く。


「ええ。逃げれると思ってるわよ」

「は、どうやって?」


「俺らが出てきてね」


その場にいままで聞こえなかった男子生徒の声が聞こえた。

その声のほうに柚子葉が顔を向けると翔と深夜がその場に立っていた。

男子生徒も深夜たちの存在に気づいたのか少し怯え始めた。

柚子葉たちに翔が声をかける。


「山下たち、こっちへ」

「あ、うん」


まだ呆然としている男子生徒の傍を柚子葉たちが通って翔たちの傍に立った。


「山下、大丈夫か?」

「うん。真希達のおかげで助かったよ。でもどうして?」

「柚子葉が心配だったから内緒で後をつけてたの」

「でも、どうして前田たちがここにいるの?」

「ある人から深夜にメールが来てね。体育館裏に急いで行けって」

「そうそう。後で感謝のメール打たないと。が、その前に…」


深夜が男子生徒のほうを向き直る。

男子生徒は「ビクッ」とおびえている。


「山下はどうしたい?」

「え?」

「こいつらにどんな罰を与えたらいいと思う?深夜に頼んで殴ってもらうのもありだろうし、先生に報告するのもありだろうし。一番の被害者の山下が決めていいよ」

「えっと…もうこういうことをしないと誓ってくれるならこのまま見逃してあげたいんだけど…」


それを聞いた深夜が男子生徒を睨む。


「だとさ。もし今度こういうところを見かけたら…分かったな?」

「わ、分かってる。もう二度としない」

「じゃあ、さっさと行け」


男子生徒が深夜たちの傍を走り抜けていった。

その後姿を見送って柚子葉は安堵のため息をついた。


「さてと、帰るか」

「そうだな」


5人は自分のクラスにカバンを取りに戻りそのまま帰路についた。

途中まで5人で歩き、途中で真希達と別れ深夜と翔、柚子葉の3人で歩き始めた。


「それにしても山下はホント甘いよな」

「え、そうかな…」

「甘いって。なぁ、深夜。お前ならどうしてた?」

「殴って教師に突き出した」

「それはやりすぎなんじゃ…」

「全然。このぐらいで丁度いい」

「あ、そういえばさっきある人からメール来たって言ってたけどある人って誰?」

「勇兄。体育館裏に行く男子生徒を見た後に山下がそっちのほうに歩いて行くのを見て俺にメールをくれたんだ」

「そっか。山下も勇一さんのこと知ってるんだ?」

「あぁ」


三人は深夜たちが住んでるマンションの前に到着した。


「翔、寄ってくか?」

「いや、帰るわ。じゃあ、また明日」

「あぁ、じゃあな」

「また明日」


そういって翔は自分の家に歩き始めた。

深夜と柚子葉もその後姿を見送ってマンションの中に入った。

それから数日して、深夜と柚子葉が付き合ってるという噂は完全に消えた。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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