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STORY23-END 『あ~、疲れた…』

四人は話しながらマンションに戻った。

ドアを開けリビングに入るとまだ浩史達は酒を飲んでいた。

帰ってきた深夜達に気づいたのか顔をこちらに向けた。


「おぉ、おかえり」

「ただいま。まだ飲んでたのかよ」

「もうそろそろやめるよ」

「あれ?お母さんは?」


その場に恭子がいないことに気づいた柚子葉が浩史に聞いた。

浩史はソファのほうを指差した。


「あそこで寝てるよ。仕事で疲れてるんだろうね」

「すみません。起こしますね」

「あぁ、いいから寝かせてあげて。深夜、毛布とってきてくれ」

「了解」

「あ、私行くから。どこにあるの?」

「え?親父達の部屋にあるけど分かる?」

「うん、大丈夫」


柚子葉はそういって部屋に入っていった。

深夜はいい機会だと思って浩史に話しかけた。


「あのさ、親父。親父にお願い、っていうのはおかしいけど頼みたいことがあるんだ」

「俺に?」

「あぁ。…俺が大学に合格したらこの部屋で柚子と一緒に暮らしたいんだ」

「ほぉ…。恭子さんには?」

「もう言ってある。けど、まだ柚子には伝えてない。先に親父と勇兄に許可を取りたくて」

「俺にも?」


二人の会話を聞いていた勇一が口を挟む。

深夜は頷いて勇一に話しかけた。


「勇兄じゃなくて姉貴でもいいんだけど日本にいる俺の保護者って二人だろ?だから、二人の許可も欲しいんだ」

「俺は別に構わないけどおじさんは?」

「俺もいいぞ。一緒に住むって事はその後のことも考えてるんだろ?」

「…あぁ。できればそうなりたいってことで同棲したいんだ」

「いいじゃないか。柚子葉ちゃんにはいつ言うんだ?」

「大学に合格したら卒業式の日にでも言う。じゃあ、賛成なんだな?」

「賛成だよ」


浩史と勇一が頷いたのを見て深夜は安堵の息をついた。

深夜がソファを見ると寝ている恭子に毛布をかぶせた柚子葉がこちらに近づいてきていた。


「毛布ありがとう」

「いや。すぐに分かった?」

「うん。分かりやすいところにあったし」

「そっか」


それから全員でジュースとお菓子でまた話し出した。

浩史と章吾の学生時代の話や聖慈と雫の話など普段では聞かないような話で盛り上がった。

一人また一人と眠っていき最後まで起きていた聖慈と勇一も朝4時には眠りについた。

結局全員が深夜の部屋で眠ることになった。

女性陣はソファをベッド代わりに、男性陣は床で雑魚寝になった。

そして、朝。

一番早く起きた深夜と途中で起きた柚子葉が全員分の朝食を作った。

量が多く大変だったがそれでも全員がおいしいと言ってくれ一安心した。

朝食を取ると聖慈達が家に帰るということで深夜達は下まで見送りをした。


「それじゃあ、お邪魔したな」

「いや、こっちも楽しかったよ」

「それじゃあ、柚子葉ちゃん新学期でね」

「うん。またね」


浩史と章吾、柚子葉と雫が話す中で聖慈が深夜に話しかけた。


「深夜」

「ん?何ですか?」

「大変だろうけど頑張れ」

「ええ。聖慈さんも頑張ってくださいね」


深夜と聖慈は顔を見合わせニヤッと笑みを浮かべた。

隣で聞いていた柚子葉と雫も顔を見合わせた。

勇一が言っていたように二人にしか分からないことがあるのだろう。

今の言葉に含まれた意味は柚子葉達には分からない。

けど、隣で支えていきたいと二人は思った。


「それじゃあ」

「ええ。いつでも遊びに来てください」

「あぁ。お前達もいつか来いよ」

「是非」


そういって聖慈が運転する車はマンションを去っていった。

深夜達も部屋に戻って一息ついたところで深夜が浩史に話しかけた。


「そういえば親父達はいつ向こうに戻るんだ」

「ん?今日の午後の飛行機で向こうに戻るつもりだ」

「はぁ…。また急な話だな。章吾さん達は?」

「あいつらはもう少しこっちでゆっくりするらしい。さてと、敬子。そろそろ帰り支度をしようか」


浩史と敬子はそういって帰り支度を始めた。

深夜も二人の帰り支度を手伝った。

そして、帰り支度を終えた浩史達も空港に向かうことにした。

下に勇一が車を回し、それに忍と敬子が乗り込み浩史は外で深夜達と話している。


「それじゃあ今度はお前の卒業式に合わせて戻ってくるから」

「頼むから無理だけはするな。別に来なくていいから」

「そういうわけにもいかん。普段親らしいことをしてないんだから」

「んなことねぇよ。十分してもらってるから。ほら、飛行機の時間に遅れるぞ」

「あぁ。それじゃあ柚子葉ちゃんまたね」

「はい。行ってらっしゃい」

「行ってきます。恭子さん、うちの馬鹿息子をよろしくお願いします」

「私達のほうが迷惑をかけてると思うですけど…。でも、彼女の母親として深夜君に接してもらいますね」

「ええ。それじゃあ」


浩史はそういって車に乗り込んだ。

浩史が乗り込むと勇一は車を発進させた。

車を見送って深夜達はまた部屋に戻ることにした。

部屋に入ると深夜は疲れからかソファに寝転んだ。

それを見て柚子葉と恭子は顔を見合わせた。

恭子は寝転んでいる深夜に声をかけた。


「それじゃあ私は家に帰るから」

「あ、はい!すみません!」


深夜はすぐに起き上がった。

彼女の母親に失礼な態度をしてしまったと深夜は思った。

が、恭子は笑みを浮かべている。


「ううん。疲れてるんでしょ。秀太は連れて帰るから。柚子葉、ここで後片づけを手伝いなさい」

「うん。元々そのつもりだったし」


そういって恭子と秀太は家に戻っていった。

二人を見送った深夜はまたソファに横になった。


「あ~、疲れた…」

「お疲れ様。私後片付け始めるね」

「あ、俺もする」


そういって後片付けを始めた二人。

すぐに終わり深夜はまた寝転んだ。

柚子葉も近くに座り深夜に話しかけた。


「なんか昨日今日でいろいろあったね」

「あぁ…。なんか精神的に疲れた」

「でも、楽しかったよね」

「あぁ。あんな楽しい時間をこれからも作って行きたいな」


深夜はそういって起き上がり柚子葉を見つめた。

柚子葉は深夜の言葉に頷いた。

が、その頷きを見て深夜はため息をついた。

この言葉の奥を柚子葉は気づいていない。

『これからも』という言葉に含まれた意味に…

深夜は『まぁ、いいか』と思って柚子葉を抱きしめた。


「し、深夜?」

「ん?」

「どうしたの?急に」

「別に。さて、どこか買い物にでも行くか?初売りしてるだろうし」

「あ、私買いたい服があるの」

「よし、それじゃ行くぞ」


そういって深夜と柚子葉は二人で初売りに出かけた。

手を繋いで歩きながら柚子葉は先ほどの深夜の言葉を思い出していた。

『これからも』ということはこの先も深夜は柚子葉と一緒に過ごしたいと言ってくれている。

それがいつまでを示しているのかは柚子葉にはわからない。

けど、柚子葉も一つ願う。

それは、深夜には伝えてないが神社で願った思いでもある。


『これからも幸せな時間を過ごせますように』と。

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