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STORY23-2 『俺教師になりたいんだよ』

恭子が出かけた後深夜と柚子葉、それに秀太は深夜の部屋に向かった。

三人が部屋に入るとすでに勇一と忍がリビングでくつろいでいた。


「ただいま」

「おかえり~。どう?片付いた?」

「はい。明日で終わりそうです」

「じゃ、晩飯の支度するから秀太見てて」


秀太を勇一と忍に任せ深夜と柚子葉は夕飯の支度に取り掛かった。

夕飯の支度をしていると電話が鳴り響いた。

近くに立っていた忍が電話に出て少し話をしてから深夜に受話器を差し出した。


「深夜、電話」

「誰から?」

「お父さんから」

「親父?」


深夜は受話器を受け取り耳に当てた。


「もしもし?…あぁ。…は?明日?えらい急だな。…あぁ、いいけど…。俺一人?俺行っても荷物持ちしかできないんだけど。…あぁ、分かった。二時ごろの飛行機だな。…じゃあ、切るぞ」


深夜が受話器を置くと同時に忍が深夜に話しかけてきた。


「お父さん、なんだって?」

「明日お袋と二人で日本に帰るから空港に迎えに来てくれって。しかも、俺一人で」

「深夜一人で?」

「あぁ。勇兄とか姉貴なら車があるんだけど俺一人行ったって荷物持ちしかならねぇのに。というわけで俺明日空港に迎えに行ってくるわ」

「でも、えらい急だね」


深夜と忍が話してると柚子葉が手を拭きながら近づいてきた。

深夜も柚子葉のほうに顔を向けて答えた。


「だろ?マジで急すぎ…。柚子、悪いけど明日は掃除手伝えないけど大丈夫か?」

「あ、うん。後は細かいものだけだから大丈夫だよ」

「そっか。ところで夕飯の支度終わったのか?」

「ううん。もうちょい」

「じゃあ、続きしようか」


深夜と柚子葉は夕飯の支度の続きに取り掛かった。

そして、翌日。

深夜は浩史と敬子を迎えに空港にいた。

携帯を取り出すと飛行機の到着時間よりかなり早かった。

『早すぎたな…』と思いつつ深夜はジュースを片手に到着ロビーを歩いていた。

すると、後ろから声をかけられた。


「山上君?」

「あ?」


声が聞こえたほうに深夜が顔を向けると知った顔が立っていた。


「伊集院?ここで何してんの?」

「お父さんとお母さんが日本に帰ってくるから迎えに来たの。山上君は?」

「こっちも親父とお袋の迎え。…伊集院一人で来たのか?」

「ううん。お兄ちゃんと一緒」

「その兄貴は?」

「今飲み物買いに行ってるよ」

「そっか。じゃあ、車?」

「うん」

「だよなぁ…。普通そうだよなぁ」

「え?山上君は一人なの?」

「そう。俺が一人で来ても荷物持ちしか出来ないのに。…ん?」


深夜と雫が話してると一人の男性が深夜を睨みながら近づいてきた。

深夜も男性に向かって睨み返しながら伊集院に話しかけた。


「伊集院、あの人知り合い?」

「え?」


雫も男性に今気がついたようで男性のほうに顔を向けた。

そのときには男性はすぐ近くまで近づいていた。


「雫」

「あ、お兄ちゃん」

「お兄ちゃんじゃなくて名前で呼べって言ってるだろ?」

「まだ慣れないんだもん」


男性は持っていたジュースを一つ雫に渡した。

深夜は伊集院に声をかけた。


「伊集院、この人が?」

「…うん」


深夜と雫が話してると男性は雫を抱き寄せた。


「雫、こっちは?」


雫は恥ずかしいのか男性の腕を外した。


「もう!こんなところでやめてよ!」


雫に代わって深夜が先ほどの質問に答えた。


「同級生の山上です」

「ふぅ~ん。雫の彼氏の伊集院聖慈だ」

「…どっかで会ったことないっすか?見覚えがあるんだけど」

「俺は知らん」

「もう!どうしたの?今日おかしいよ?」


雫が聖慈に声をかけるが聖慈はまだ深夜を睨んでいる。

深夜は睨まれている理由が最初は分からなかったが少し考えたらある答えが浮かんだ。

深夜は口元に笑みを浮かべて雫に声をかけた。


「伊集院、いいって。俺理由が分かったから。ま、俺も柚子が同じようにされたらこの人と同じことすると思うけど」

「え?」

「いや、なんでもない。そういえば伊集院の両親って今どこにいるんだっけ?」

「アメリカ。二時すぎの飛行機で帰ってくるの」

「マジ?俺の両親もアメリカで二時すぎの飛行機。じゃあ、一緒の飛行機ってわけか。俺そろそろ出口のほうに行くけどそっちはどうする?」

「あ、じゃあ私達も行く?」


雫は聖慈に話しかけた。

聖慈はまだ顔をムスッとしているが頷いて先に歩き出した。

雫も聖慈の後を追っていった。

深夜は苦笑いを浮かべて二人の後を追った。

国際線の出口で三人は話をしながら両親達が出てくるのを待っていた。


「柚子葉ちゃん元気?」

「あぁ。今頃家の大掃除に追われてるんじゃないか。俺も昨日手伝ったし」

「へぇ~、そうなんだ」

「俺のほうの掃除は終わってたし受験勉強もめどが立ってるからな」

「山上君は大学行ったら何勉強するの?」

「俺教師になりたいんだよ」

「先生に?」

「あぁ。中学の時にすっげぇ迷惑かけた先生がいたんだ。それなのに俺のことを気に掛けてくれて。だから、俺もあんな先生になりたいって思うようになった」


そんな話をしていると出口から乗客がちらほら出てきた。


「あ、飛行機が着いたみたいだな」


深夜は出口のほうを見ながら呟いた。

そして、少し待つと浩史と敬子の姿が見えた。

だが、二人だけでなく浩史たちと同年代と思われるもう一組の夫婦と一緒に歩いている。

雫が聖慈に声をかけた。


「あ、お父さんたち来たよ」

「あぁ。でも、隣に一緒に立ってる人達は誰だ?雫、向こうで見たことある?」

「ううん。見たことないよ」

「…なぁ」


二人の会話を聞いていた深夜は二人に声をかけた。

聖慈と雫は深夜に顔を向けた。


「二人の親ってあの人たち?」


深夜がゆっくりと聞くと雫は頷いた。


「うん。そうだけどどうかしたの?」

「…その隣で歩いてるの俺の両親」

「え!?」

「マジ?」


三人で驚いていると浩史たち夫婦、そして雫の両親が近づいてきた。


「おぉ~、深夜。出迎えご苦労」

「ご苦労じゃねぇよ。ったく、前日に電話するってどういうことだよ」

「ギリギリまで仕事だったから仕方無いだろ」

「…それはいいけど何で伊集院の両親と一緒なんだよ」

「それはこっちも聞きたい。何でお前章吾達の子供と一緒にいたんだ?」

「しょうご?」

「それ、俺の名前」


深夜達が話していると雫達の父親と思われる男性が深夜に話しかけてきた。


「君が深夜君?」

「そうですけど」

「浩史の自慢の息子だろ?今聞いたんだけど雫と同じ高校なんだって?」

「自慢かどうかは知らないですけど…。伊集院とは同じ高校ですけど話したのは今年の…9月ぐらいですね」


話してると敬子、それに雫達の母親と思われる女性が声をかけた。


「ここだと落ち着かないからとりあえず帰らない?」

「聖慈、敬子ちゃん達も一緒に帰るから」

「…それでワゴンをレンタルして迎えに来いって言ったのか」

「そういうこと」


とりあえず車に全員で乗り込んだ。

運転席に聖慈、助手席には雫、後ろには章吾と雫達の母親の真美と敬子が乗り、後部座席に深夜と浩史が乗り込んだ。

車が動き出して数分してから深夜は浩史に話しかけた。


「親父。いい加減本当のことを聞かせてくれ」

「本当のこと?」

「俺を迎えに来させた理由だよ。それと、わざわざ俺達と伊集院達を合わせた理由も。何かあるんだろ?」

「まぁな。どっちかっていうと雫ちゃんよりも聖慈君と会わせたかったんだよ」

「何で?」

「お前と聖慈君にはある共通点があるから」

「共通点?俺とあの人に?」

「あぁ。それはお前が見つけるんだな」


浩史はそういうと前に座っている章吾と話しだした。

深夜は運転しながら助手席に座っている雫と話をしている聖慈を見て呟いた。


「共通点ねぇ…」


深夜が考えている中車は深夜の部屋があるマンションへと向かった。

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