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STORY22-2 『綺麗…』

遊園地までは電車を乗り継いだ。

遊園地に近づくに連れて人が多くなった。

案の定、深夜達が遊園地に着くと恋人・家族連れが多かった。


「うわぁ、結構人いるんだな」

「クリスマスだからかな?」

「だろうな。カップルとか家族連れとか多いし。まぁ、俺らも人の事言えないけどな」

「あ、そうだね」

「さてと、まずは何乗ろうか?とはいっても秀太も一緒だし乗れるものは限られるけど」


深夜はそういって秀太の手を引いて三人で乗れるものを探した。

柚子葉も二人の後ろを行くようにアトラクションを探してあるものを見つけたので深夜に声をかけた。


「深夜、あれは?」

「ん?コーヒーカップか。いいんじゃないか?秀太、最初はあれ乗ろうか?」

「うん!」


秀太が嬉しそうに頷いたので三人はコーヒーカップの乗り場に向かった。

列はできていたが次の組に乗れるのでその列に加わった。

秀太は落ち着かないようでそわそわしている。

深夜は秀太を見て笑みを浮かべ柚子葉にそっと声をかけた。


「秀太って遊園地初めて?」

「う〜ん、どうだったかなぁ…。言われれば初めてかも」

「柚子は?」

「私はまだお父さんが生きてたときとかあとは遠足とかであるよ」

「そうだよなぁ。俺は勇兄とかに連れて来てもらった事あるし」


そんなことを話してると前の組が終わり深夜達はコーヒーカップに乗った。

さすがに思いっきり回すわけにもいかないので深夜は秀太を自分の膝に乗せてハンドルを持たせた。


「秀太、これを回したらこれも回るから」

「そうなの?」

「あぁ。好きなように回していいぞ」

「うん!」


アトラクションが始まると秀太はハンドルを回そうとした。

が、秀太の力ではなかなか回せれなかったので深夜も少しだけ力を貸した。

コーヒーカップが止まると秀太は笑顔で深夜に顔を向けた。


「これおもしろいね!」

「そうか。良かったな」

「うん!」


ほかにも数箇所アトラクションを回ったところで深夜は時間を確認して柚子葉に声をかけた。


「もうそろそろ飯にするか?」


柚子葉も時間を確認したがまだ11:30を過ぎた頃だった。


「これ以上遅くなると人が多いだろ?かといって昼を過ぎてからだと晩が入らなくなるし」

「そうだね。じゃあ…あそこのレストランにする?」


柚子葉は周りを見渡して遊園地の中にあるレストランを指差した。

深夜も確認して頷いた。


「そうだな。よし、秀太飯にしようか?」

「うん!」


三人がレストランに着くと席は半分以上埋まっていた。

丁度いい時間帯に来たようだ。

すぐに店員が深夜達に近づいてきた。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

「三人」

「禁煙席と喫煙席がありますが?」

「禁煙でお願いします」

「それではご案内します。こちらへどうぞ」


店員に案内されて席に着いた三人はそれぞれ上に着ていたジャンパーを脱いで空いている席に置いた。

食事を終えた後すぐには出ずに昼の予定を立てることにした。


「う〜ん、晩のこと考えると遅くてもここを5時には出ないとなぁ」

「そうだね」

「後は、メリーゴーランドとか…お化け屋敷はどうだ?」

「せっかくだし行ってみる?もし秀太が泣くようだったら途中で出ればいいし」

「じゃあ、行くか」


深夜達は昼の予定をある程度決めてから店を出た。

まず向かったのがメリーゴーラウンド、その次にお化け屋敷に向かった。

お化け屋敷では秀太は最初は泣きそうになっていたが最後のほうでは楽しそうにしていた。

日も暮れてきて時間的に後一つアトラクションに乗れるだけになった。

最後のアトラクションは深夜が決めた。


「締めは観覧車な」

「決めてたの?」

「まぁな。最後はゆっくりしたいなぁと思って。嫌?」

「嫌じゃないよ。秀太、観覧車乗ろうか?」

「のりたい!」


秀太が笑顔で頷いたので三人は観覧車に向かった。

多少長い列が出ていたが回転が速いので並んですぐに観覧車に乗れた。

深夜の隣に秀太が、その前に柚子葉が座った。

秀太は嬉しそうに外を見ている。

柚子葉も夕日でオレンジ色に染まった外を見ている。


「綺麗…」


そういった柚子葉を夕日が照らした。

柚子葉の髪が薄くオレンジ色になり、少し反射しているようにも見える。

それを見た深夜は柚子葉に一言声をかけた。


「柚子」

「何?」


柚子葉は呼ばれたので深夜のほうを向いた。

するとすぐ傍に深夜の顔があった。

柚子葉が反応する前に深夜はそっと柚子葉に口付けて元の席に戻った。

柚子葉は自分の唇に手を持っていった。


「な、な…」

「どうした?」


そんな柚子葉とは反対に深夜は落ちついている。


「どうしたって…。秀太がいるのに」

「あ〜、まぁ観覧車だし?」

「答えになってないんだけど」

「嫌?」

「…嫌じゃないけど」

「おねえちゃん、どうかしたの?」


深夜と柚子葉が話してると秀太が二人に気づいたのか声をかけた。

深夜は笑顔で秀太の頭に手を置いた。


「なんでもない。どうだ、楽しいか?」

「うん!とおくまでよくみえるね」

「だろ?ほら、あっちが家のほうだ」


深夜が指差したほうに秀太が顔を向けた。


「いえみえるの?」

「それはさすがに見えない」


秀太の言葉に深夜は苦笑いを浮かべた。

柚子葉も落ち着いたのか秀太に近づいた。


「秀太、今日は楽しかった?」

「うん!またきたいな!」

「そう」

「まだ今日は終わってないだろ?」

「え?まだなにかあるの?」


深夜の声を聞いて秀太は首を傾げた。

秀太の頭を撫でながら深夜は口を開いた。


「帰ったらクリスマスパーティがあるだろ?忘れてた?」

「わすれてた」

「他にも料理とかあるからたくさん食べていいぞ」

「やった〜〜〜!」


話をしていたら観覧車は一周して下に着いた。

観覧車を降りた深夜達は遊園地の出口に向かった。

遊園地から駅までは深夜達と同じように帰路についている家族連れが多く見られた。

帰りの電車に乗ると秀太は遊びつかれたのかすぐに眠ってしまった。

深夜と柚子葉は起きて話をしていたが柚子葉の欠伸を見た深夜は柚子葉に声をかけた。


「眠たかったら寝てていいぞ?駅に着いたら起こすから」

「え?でも…」

「今日も夜遅くまで起きてないとプレゼントがあるだろ?だから今のうちに睡眠とってたほうがいいんじゃないか?」


柚子葉は少し迷ったが頷いた。


「じゃあ、少しだけ…」

「あぁ。おやすみ」


柚子葉はゆっくりと目を瞑って眠りについた。

深夜は寝ている秀太と柚子葉を見て笑みを浮かべた。

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