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STORY22-1 『…遊園地?』

今日は終業式。

深夜達の学校では午後から終業式が始まる。

すでに終業式の日程も終わり、成績表も配り終わり後は帰るだけになっている。

深夜は達志達に成績表を見せてくれと言われたので渡した。


「なんだよこれ!」

「なんで4しかないんだよ。逆にすげぇ」


そのリアクションに深夜と隣に立っていた翔は笑みを浮かべ当然の如く答えた。


「そりゃあ平常点がないからだろ」

「そうそう。どうせ学校の成績がよくたって意味ないって思ってるし」

「うっわぁ!すっげぇムカツク!」


深夜のコメントに成績表を見ていた生徒からの批判に深夜はまた笑みを浮かべて成績表を取り上げた。

そして、柚子葉達が話してるところに向かった。

柚子葉も深夜が近づいてくるのに気づいてカバンに手をかけた。


「俺帰るけどどうする?」

「私も帰るよ。じゃあ、また新学期ね」


柚子葉は真希達に声をかけて深夜と共に廊下に出た。

外に出ると二人を冬の寒い風が襲う。

とは言ってもすでに防寒着としてマフラーや手袋をつけているのでどうってことはない。

帰り道にある店ではどこも明日のクリスマスの飾りをつけている。

歩きながら深夜はふと柚子葉にたずねた。


「今年クリスマスどうする?」

「えっと、今年もお母さん仕事だから…」


柚子葉が『今年も』と言ったのは意味がある。

実は去年も恭子が仕事だったので深夜と柚子葉は家で秀太と一緒に過ごした。

申し訳なさそうに柚子葉は言ったが深夜は特に気にしていない。


「じゃあ、今年も家で秀太と過ごすか」

「ごめんね」

「は?別にいいよ。それにもし秀太をほっといて遊ぶとか言ったら俺お前に失望するし」

「さすがにそれは言わないよ」

「だからもしの話だって。別に家族と過ごすクリスマスもいいんじゃないか?…秀太のプレゼント買ってる?」

「大丈夫。お母さんが買ってるから」

「そっか」


保育園に着くと秀太がすでに帰る準備を終わらせていたようですぐに駆け寄ってきた。

その嬉しそうな顔を見て深夜は秀太の頭を撫でた。


「秀太、えらい嬉しそうだな」

「うん!きょうね、けーきがでたの!」

「クリスマスケーキか。明日は家でも食べような?」

「ほんと!?」

「あぁ」

「やった〜!」


秀太はまた嬉しそうに笑みを浮かべた。

深夜は秀太の頭を撫でるのを止めて秀太と手を握り家に向けて歩き出した。

もう片方の手を柚子葉も握る。

真ん中の秀太は明日のクリスマスで頭が一杯なのかクリスマスの歌を歌っている。

そんな秀太を見て深夜と柚子葉は顔を見合わせて微笑んだ。

家に着くといつも通り柚子葉と秀太は着替えてから深夜の家に向かった。

深夜の家に着くとリビングの上には問題集が置かれていた。


「もうすぐで試験だね」

「あぁ。お前はもう受かってるから気が楽だろ?」


深夜の言うとおり柚子葉はすでに大学の合格が決まっている。

推薦で受けた結果通ったのだ。

深夜は平常点が低いので推薦を受けれなかった。


「そんなことないよ。深夜が合格決まるまで安心できないよ」

「ま、合格できるように頑張るよ」


深夜は柚子葉の応援を受けてまた問題集に向かった。

柚子葉は台所に向かい冷蔵庫の中から夕飯の材料を出した。

柚子葉の合格が決まってからは柚子葉が深夜の家に来る日は柚子葉が夕飯の仕度をすることにした。

深夜に勉強に集中して欲しいからだ。

当の深夜は『それぐらいで落ちるなら元々受からなかっただけ』と言って最初は断っていたが柚子葉に説得されてその提案を受け入れた。

それでも時々は『息抜き』と称して料理をしている。

秀太も正確に理解してないだろうがそれでも家では深夜にあまり話しかけなくなった。

深夜が勉強の合間に秀太に話しかけるまで一人でTVや絵本を見ている。

本当は深夜の家にお邪魔しないほうがいいのだろうがそれは深夜が断固拒否をした。

なので柚子葉と秀太はなるべく深夜の勉強の邪魔をしないようにしている。

夕飯の仕度を終え柚子葉がリビングのほうに向かうと深夜は問題集を閉じて秀太と遊んでいた。

柚子葉は深夜に話しかけた。


「勉強どう?」

「ん?まぁ、今日のノルマはほぼ終了。後は夜やればいいだろ。そんなに勉強に集中しても俺は効率よくないから」

「深夜は短期集中型だもんね」

「まぁな。よっぽど追い込まれないと集中力が続かないんだよ」


深夜はそういいながら秀太と遊んでいる。

秀太も嬉しそうに遊んでいる。

忍が帰ってくるまで三人で遊び、忍が帰ってきたので夕飯にすることにした。

勇一は今日学校の打ち上げがあるので遅くなるとすでに連絡が入っている。

夕飯も終え秀太が眠ってから深夜は明日のことを柚子葉と忍二人と相談し始めた。


「姉貴明日はケーキ頼むな」

「ええ。…二人とも明日はどうするの?」

「は?家で秀太と過ごすけど?」

「それは夜でしょ?そうじゃなくて昼間。何か予定ある?」

「昼は特にないけど…。柚子は?」


深夜は柚子葉に顔を向けた。

柚子葉は少し思い出すような仕草をしてから忍に話しかけた。


「私も特にないですけどどうかしたんですか?」

「今日これもらったんだけど行ってくれば」


忍は封筒を深夜に差し出した。

深夜は封筒を受け取って中身を取り出した。


「…遊園地?」

「これどうしたんですか?」

「園の保育士にもらったの。どうせだったら三人で行ってくれば?」


深夜は忍の言葉に考え込んだ。

数秒考えて柚子葉に話しかけた。


「行くか?最近秀太も寂しそうだし」

「…うん。そうだね」


深夜は柚子葉の顔を見て笑みを浮かべた。

そして次の日。

深夜は家を出る前に忍の家に顔を出した。


「じゃあ、姉貴行ってくる。今日の夜の準備頼むな」

「任せて。あんたは楽しんでらっしゃい」

「あぁ。じゃ、行ってくる」


深夜はそういうとマンションのエレベータに乗った。

エントランスにはすでに柚子葉と秀太がいて深夜を待っていた。

深夜は二人に駆け寄った。


「悪い。少し遅れた」

「え?でも時間よりも早いよ」

「そっか。じゃ、秀太行くか?」

「うん!」


秀太を真ん中に三人は手を繋いで遊園地に向かって歩き出した。

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