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STORY21-END 『もし私が同じような状況になったら助けてくれる?』

放課後。

深夜と柚子葉が帰ろうと廊下を歩いていると前から大竹が歩いてきた。


「あ、丁度良かった。昼休みのことだけど二人とも了承した」

「助かる。いつもは藤堂が伊集院といるんだが二人とも女だからな」

「藤堂って誰?」

「あ、雫ちゃんと一緒にいる子ですか?」

「柚子知ってんの?」

「藤堂さんは一年のとき同じ委員会だったの」

「そうそう。その藤堂。あいつも伊集院のことを守ってるけど男には勝てないだろうしな」

「なるほどね」


深夜は呟いた後、何気なく視線を特別棟に向けた。

柚子葉と大竹が何か話してると深夜がゆっくりと大竹に聞いた。


「なぁ、先生」

「ん?」

「今日って委員会とかあったっけ?」

「いや、そんな話は聞いてないが」

「じゃあさ、伊集院って何か部活入ってる?」

「入ってないがどうかしたのか?」

「…柚子は松田を特別棟に連れて来てくれ。先生は俺と一緒に来て」


深夜はそういうと走り出した。

大竹は何がなんだか分からないが深夜の後を追う。

柚子葉も何か理由があるのだろうと思い職員室へ急いで向かった。

大竹は走りながら深夜に声をかける。


「山上、一体どうしたんだ」

「特別教室に伊集院が入っていくのを見た」

「それだけか?」

「その後に男子生徒が一人当たりを見渡しながら同じ教室に入っていった」

「何!?」

「ここだ!」


深夜は雫が入っていった教室の前に止まった。

大竹も止まりドアをあけようとするが鍵が閉まっている。


「鍵が閉まってる…。本当にここか?」

「あぁ。…先生、離れて」

「は?…おい、山上!」


深夜は大竹がドアから離れたのを確認してドアを蹴った。

その衝撃でドアが外れた。

深夜が中に入ると雫と男子生徒が机を挟んで向かい合っていた。

二人はドアが外れた音で入り口のほうに視線を向けた。


「伊集院、無事か?」

「あ、うん。大丈夫」


雫は深夜の姿を見て安心したような顔を浮かべた。

逆に男子生徒は怯えた表情を浮かべている。

深夜はゆっくりと二人に近づきながら男子生徒に忠告する。


「そこまでだ。それ以上問題を起こすようなら俺は容赦はしない」

「く…」


男子生徒は悔しそうに深夜の顔を見てから教室を後にした。

大竹は雫に近づき声をかけた。


「伊集院、まだ何もされてないな?」

「はい。すぐに来てくれましたから」

「これは何ですか!?」


そこに柚子葉と松田がやってきた。

ドアの惨状をみて松田が声を荒上げる。


「いや…」

「俺がムシャクシャしてやった」


大竹がどうやって説明しようか考えてると深夜が先に答えた。

大竹と雫が深夜に視線を向ける。


「何?」

「だから、俺がムシャクシャしてたからドアを蹴った。中にいた大竹先生と伊集院には悪かったけど。まさか誰かいるとは思わなかった」

「…大竹先生、本当ですか?」


大竹は何と答えるか迷った。

だが、深夜はちらっと視線を大竹に向けたので大竹は決断した。


「本当です」

「…そうですか。山上、今から職員室に来い」

「へ~い」


そういって深夜と松田は教室から出ていった。

残った雫と柚子葉が大竹に詰め寄る。


「どうして本当のことを言わないんですか?」

「本当のことを言ったら山上の行為が無駄になる。もし、本当のことを言ったら伊集院にも事情を聞かないといけなくなる。山上はそれを避けるためにああやって自分を悪役にしたんだろ」

「山上君…」

「まぁ、松田先生も分かってると思うけど」


大竹はそういって二人が出て行った入り口に目を向けた。

教室を出た深夜と松田は進路指導室で椅子に座っていた。


「もう一度聞く。さっき言ってたことは本当だな」

「だから、そうだって」

「…そうか。なら、今週までに反省文を原稿用紙5枚にまとめて俺に提出しろ」

「え?それだけ?」

「…お前があんなことを理由も無しにするとは今の俺には思えない。多分何か理由があるんだろ?かといって何もさせないわけにもいかない」

「どうも。5枚を今週までね」

「あぁ。じゃあ、行っていいぞ」


深夜は松田に頭を下げて進路指導室を出た。

指導室を出ると柚子葉と雫が立っていた。


「あ、深夜!どうだった?」

「あ?反省文で済んだ」

「そう…良かった」


柚子葉は安心したように呟いた。

停学・退学も有得るとおもっていたので反省文だけで済んでよかったとおもった。


「ごめんね。私のせいで」

「別にお前のせいじゃないって。俺が勝手にしたの。だから、お前は悪くない」


深夜はそういうが雫はまだ申し訳ないような顔をしている。

深夜はため息をついて雫に話しかけた。


「それに…多分あれは俺のせいでもあるだろうし」

「え?」

「屋上から出てきたのを見てたんじゃないか?だから、焦って行動に出たんだと俺は思う」

「え?そうなの?」

「あぁ。だから、俺が悪いの。分かった?」


深夜が雫に言うと雫はゆっくりと頷いた。

深夜と柚子葉は顔を見合わせて笑みを浮かべた。


「じゃあ、帰るか」

「うん」


三人は校門を出たところで別れた。

帰り道で柚子葉は深夜に話しかけた。


「ねぇ、深夜」

「ん?」

「さっきの嘘でしょ?」

「…分かった?」

「うん。あのままだと雫ちゃんが気にするから咄嗟についた嘘なんだろうと分かった。…ねぇ」

「あ?」

「もし私が同じような状況になったら助けてくれる?」

「当然のことを聞かない。もし、あれがお前なら相手を殴ってる」


深夜の言葉を聞いた柚子葉は最初は驚いたがそっと深夜の手を握った。

深夜も柚子葉の手を握り返した。

二人はそのまま手を握ってマンションに帰っていった。

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