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STORY21-1 『なんで深夜が知ってるの?』

学校祭から数週間が過ぎた。

深夜がいつも通り朝食の仕度をしていると勇一と忍がやってきた。


「おはよう」

「おはよう。もうすぐ出来るから座ってて」

「お~」


深夜がそういうと勇一はリビングに座りTVをつけた。

朝のニュースをしている。

今は芸能ニュースの時間のようでアイドルの熱愛報道をしている。

深夜は特に興味がないので手を止めずに朝食をテーブルに運んでいる。

そして、アナウンサーが次のニュースを読み始めた。


『伊集院雫さんに恋人発覚!』


深夜は聞いたことのある名前に手を止めてニュースを聞いた。


『記者によると雫さんは8歳年上の社会人の人と何度かデートをしている様子で、公園で仲良く子供と遊んでいる姿を目撃された方が多くいたようです』


忍が手を止めている深夜に気づき声をかけた。


「あら、深夜。どうしたの?あんたアイドルとかに興味ないじゃない」

「いや、聞いたことのある名前だったから」

「え?」

「うちの学校にも『伊集院雫』っていう同姓同名の奴がいるんだよ」

「へぇ~」


深夜と忍の会話を聞いていた勇一が立ち上がって二人に近づいた。

深夜は近づいてきた勇一に声をかけた。


「あ、飯できたよ」

「あぁ。深夜、さっき言ってた子って多分あの報道されたアイドルだ」

「は?」

「三年間一緒の学年なのにお前知らなかったのか?一時期噂になっただろう?」

「全然知らないんだけど。へぇ~、そうだったのか」


深夜はそう言いながら自分で用意したトーストを口にした。

忍も朝食を取りながら深夜に話しかけた。


「あんた、いつ知ったの?その子のこと」

「ついこの間。先生に頼まれて勉強を教えたことがあるんだ」

「どんな子?」

「確かにかわいかった。で、家庭的な子。晩飯の話で共感できたから」

「へぇ~、その子も料理してるんだ」

「あぁ。っていうか多分あの報道って伊集院の兄貴だと思うけど」

「え?」

「今両親がいないらしくて伊集院は兄貴と暮らしてるんだって。本人から聞いたから間違いはないと思うけど」

「ほぉ~。うちと同じようなもんだな」


朝食を取りおえると勇一と忍は仕事に出かけた。

深夜は後片付けを終えるとカバンを持って家を出た。

エレベータに乗って下降していると8階で止まった。

エレベータのドアが開くと柚子葉が立っていた。


「あ、おはよう」

「おはよ。朝会うのは珍しいな」

「うん。二人とも家事で時間の約束ができないから待ち合わせできないもんね」


そういって柚子葉もエレベータに乗り込みエントランスまで下降して行った。

学校のほうに歩いていると深夜が思い出したように柚子葉に声をかけた。


「そういえば朝ニュース見た?」

「ニュース?」

「伊集院の報道」

「あ、うん。見たよ」

「俺勇兄に聞くまでうちの学校にいること知らなかったんだけど」

「え!?本当に?でも、この前話したって言ってなかった?」

「あぁ。けど、あいつが芸能人っていうのは知らなかった。勇兄が一時期噂になったって言ってたけどいつのこと?」

「えっと…一年の初めのころだったかな」

「じゃあ、俺荒れてるときか。なら知らなくても仕方無いな」


深夜と柚子葉が話をしながら学校に着くと校門の前には報道陣が集まっていた。


「…なんだよ、あれ」

「すごい数だね」

「裏門に行くにしても多分あっちも変わらないだろうなぁ。しゃあない、行くか」


深夜と柚子葉は報道陣が集まっている校門のほうに向かった。

生中継をしているのかアナウンサーがなにやら言葉を発している。

深夜と柚子葉はその後ろを通って校内に入った。

教室に行くと朝から騒がしかった。

深夜と柚子葉は自分の机に向かい近くにいる翔に話しかけた。


「うっす。なんで騒がしいんだ?」

「おはよ。朝のニュース見た?」

「あ~、伊集院の?」

「あれ?深夜、知ってたのか?」

「あぁ。一回勉強教えたことあるから。っていうかあの報道多分デマと思うけど」

「は?どういうことだ?」


深夜と翔の話を聞いていた柚子葉も気になるので深夜に話しかけた。


「なんで深夜が知ってるの?」

「勉強したときに料理の話になったんだよ。で、あいつ兄貴と暮らしてるらしいんだ。兄貴とだったら買い物に行ったりもするだろ?まぁ、本当に恋人かもしれないけどあんなに騒ぐほどのことか?」

「芸能人だから仕方無いんじゃないか?」

「こういうときは本当に面倒くさいよなぁ」


三人で話していると勇一が教室に入ってきた。

その日は、昼過ぎまで校門から報道陣がいなくなることはなかった。

次の日。

いつも通り深夜達が朝食を取っていると芸能ニュースが流れた。


『伊集院雫さん、新恋人は嘘だった?』


深夜がテレビに顔を向けているとテロップが流れていた。


『事務所によると社会人は雫さんのお兄さんだそうで、家の事情で今一緒に暮らしてるそうです』


それを聞いて勇一は深夜に話しかけた。


「深夜の言うとおりだったな」

「これで学校のほうも落ち着くんじゃないか?」

「あ~、昨日は酷かったからなぁ」


朝食を終え深夜が学校に行くと校門のところには昨日と違い報道陣がいなかった。

深夜が教室に入り机に向かうとすでに来ていた翔が話しかけてきた。


「うっす」

「うっす」

「深夜の言うとおりだったな」

「あ?あぁ、伊集院のこと?とりあえずは静かになってよかった」

「昨日は昼までいたからなぁ」


深夜と翔が話してると柚子葉が教室に入ってきた。


「おはよう」

「「うっす」」

「そういえば深夜と山下ってあんまり朝一緒に来ないよな?」

「あぁ、だって俺ら二人とも朝は時間の約束が出来ないんだよ」

「何で?」

「飯を食い終えてから後片付けすると時間がまちまちなんだよ。俺が遅刻する原因はだいたいが後片付けが長引くんだよ。姉貴が仕事行くのが遅いからっていって食うのが遅かったりな」

「へぇ~。やっぱり朝は大変?」

「もう慣れた。けど、姉貴も後片付けぐらいしてくれればいいのに…」


深夜が呟くと柚子葉と翔は顔を見合わせて笑みを浮かべた。

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