STORY1-1 『げ!?』
「行ってきま〜す」
一人の女子高生があるマンションから飛び出してきた。
彼女の名前は山下柚子葉。
今日は4月8日。
一般的に今日は高校の始業式。
彼女が通う高校でも始業式だ。
柚子葉が学校に着くとすでに、クラス割が掲示板に張り出されていた。
その前にはたくさんの生徒がいて柚子葉は掲示板を見ることができなかった。
とうしようかと迷っていると柚子葉の友人二人が姿を見つけたのか近づいてきた。
「おっはよう〜柚子葉」
「おはよう柚子葉」
「おはよう真希、圭」
彼女達の名前は井上真希と田中圭。
彼女達は一年のときのクラスメイトで仲が良かった友人達だ。
「クラス割見た?」
「ううん、あれじゃあ見れないよ…」
「大丈夫だよ。私達また一緒だから」
「え?ホントに?」
「「うん」」
二年でもまた同じクラスらしい。
柚子葉達は春休みの思い出を話しながら彼女達のクラス2-Cの教室へ向かっていった。
柚子葉達が教室に入るとすでにほとんどの人が席に着いていた。
どうやらゆっくり来すぎたようでもうすぐ朝のHRが始まるようだ。
柚子葉が自分の席に着くと隣の男子が話しかけてきた。
「山下、おはよう」
「あ、前田君。おはよう。今年もよろしくね」
「おぉ、こっちこそ」
男子の名前は前田翔。
一年のときも同じクラスで同じ委員だったので仲が良くなったのだ。
翔と話してると先生が入ってきた。
先生の名前は植田勇一。
担当は英語だ。
「お、みんな元気そうだな。一年間よろしくな」
そういって植田は出席を取り始める。
「山上?山上はいないのか?」
柚子葉の一つ前は空席だ。
どうやら山上という生徒はいまいないようだ。
植田が柚子葉の名前を呼ぼうとしたときに教室の扉が開いた。
髪は茶髪、制服のボタンを開けたいかにも不良ですと言わんばかりの生徒が入ってきた。
「山上、遅いぞ」
「寝坊したんで…」
その生徒はこの学校では知らない奴はいないというほど有名な不良だ。
彼の名前は山上深夜。
彼が座ったのは柚子葉の前。
「明日から気をつけるように」
植田が言った言葉に山上は答えずに寝てしまった。
それを見て植田は何も言わずに点呼を続けた。
「山下」
「はい」
「よし、一人遅刻したが全員揃ったな」
植田は点呼をした後、今日の予定を言って朝のHRを終え教室を出た。
柚子葉が携帯をいじっていると前の席から会話が聞こえた。
前を向くと翔と山上が会話をしていた。
「おい、深夜。初日から遅刻はヤバイだろ」
「うっせぇぞ、翔。こんなの中学のころからだろ」
どうやら会話を聞く限り翔と山上は中学のころからの知り合いで仲がいいようだ。
柚子葉は真希たちに呼ばれ席をたった。
「柚子葉もかわいそうだね。山上の後ろで」
「何かあったら私達に相談してね」
「うん、ありがとう」
その日の予定がすべて終わりHRも終了した。
山上が席を立つと翔が話しかけた。
「深夜。今日もか?」
「あぁ。最近はあそこ行くのが楽しみなんだ」
「そっか、忍さんによろしく言っといてくれ」
「了解」
そういって山上は教室を出て行き、翔も違う友達と教室を出て行った。
柚子葉も真希達のところに行った。
「柚子葉。私達買い物行くけど一緒に行くでしょ?」
「あ〜、ごめん。今日保育園に弟迎えに行かないと行けないんだ」
「弟君?あ〜、確か秀太君だっけ?」
「うん。お母さんが仕事のローティションが変わったから私が迎えに行かないと行けないんだ」
「そっか。じゃあ今度行こうね」
「うん。また誘ってね」
柚子葉は真希達に手を振って教室を出た。
弟が預けられている保育園は住んでいるマンションから一番近い保育園で植田保育園という名前だ。
一回家で着替えて保育園に着いた柚子葉は近くにいた保育士、そして年が若いが園長先生である植田忍先生に迎えに来たことを告げた。
「あ、ちょっと待っててください。深夜!秀太くん連れてきて!」
「あいよ」
そして、秀太とともに若い男が一緒になってこっちに近づいてきた。
柚子葉はその男の顔を見て呆然としている。
その男のほうはまだ柚子葉に気づいてないようで秀太と笑いながら手をつないでこちらに歩み寄ってくる。
そして男は秀太から顔を上げ、柚子葉の顔を見て声を上げた。
「げ!?」
その若い男は山上深夜だった。
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