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はじまり

『今日は斬るkillゾンビ、通称きるぞんの発売日です。この店では125人以上の客が押し寄せています。このゲームは……』

 テレビにはゲーム販売店に並ぶ長蛇の列が映し出されている。


「フッ……」


 不敵な笑みを浮かべてテレビの前で胡座をかいているのはゾンビゲームにしか興味がない男。その名は伏町刀士ふしまちとうじこれが俺だ。

 ニュースにあった「斬るkillゾンビ」はその名の通り、ゾンビゲームで最新鋭のCG技術が使われてるとかなんとかで、ゾンビゲームプレイヤーの中でも期待されている作品の1つだ。

 もちろん俺が買わないわけはない。

 だが、家から出るのはかなり面倒臭いし、並ぶのも面倒臭いので、俺はきるぞんを一ヶ月前にはネット予約している。

予約したのは、知らないサイトだったが、他のサイトよりも格段に安かった。

 そして発売日の今日が宅配日になっている。それにもうそろそろ家に届くはずだ。記念すべき今日の為にコーラ2Lペットボトルを8本、ポテチ13袋、チョコレート菓子などを大量に買い占め、準備は万端である。

 まるでニートみたいだが、俺はこれでも高校二年生。今日は金曜日。祝日ではない。だが学校は休んでいる。俺は趣味に生きると決めたから。俺は独り暮らしだし、特に何か言われる訳でもないし。

 俺はテレビの電源を切って、少し横になった。静かな室内に窓がカタカタと鳴る音だけが響く。どうやら、今日は風が強いみたいだ。

 俺が目を閉じてからしばらくすると


 ピンポーン!


 インターホンが鳴り、俺はガバッと起き上がり、全速力に近い速度で玄関へと走る。ドアをドッカーンと思い切り開け放つと宅配便のお兄さんがあまりの勢いに若干引いていた。


「あ……っと、宅配便です……」


「お疲れ様です。ありがとうございます」


 俺は作り笑いをして、適当に言葉を返すと荷物を受け取ってさっさと中へと入って行った。俺はゲームの電源を入れるとテレビの電源をつけながら、ディスクをセットする。チリチリと電子音を鳴らしながらゲームを読み込んでいく。

 どうせ長いし暇なオープニングの最中に俺は冷蔵庫からコーラを取り出し、ポテチを二袋ほどもってテレビの前に戻っていった。


 ……こんなにかわいらしかったっけ?


 オープニングは終了し、ユーザー名入力の画面に切り替わっているのだが、縁取りや文字が主にピンクで文字が丸い。

 まぁ、ゾンビゲームとのギャップを出してるのかなと納得しつつ、「フシマチ トウジ 」と名前を入力した。が、その瞬間、



 ギリギリギリッ!



 突如、今までチリチリと鳴っていた電子音がコンクリートに鉄パイプを擦り付ける様な音に変わり、火花も散らし始めた。それでもテレビに映し出された画像を見て俺は絶句する。


「・・・・・!」



 ギャリリリリリリッ! ガリッ、ジャギギギリッ!



 いよいよただ事ではなくなってきた様なので、俺がまずはテレビの電源を切ろうと電源に手を伸ばしかけたその時、


『ザーッ、よ、……こ……そ』


「?」


 ノイズに混じりながらもかすかに声が聞こええた様な気がして俺は首を傾げる。

 ……が、テレビの画面はいきなり白く発光し、その光は大きく、大きく、大きくなって……


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