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新木くんのねんきんせいかつ  作者: 王石 勉
第1章:新木くんのねんきんせいかつ(楽園の高原)
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3.ぜつぼう

やあ、みんなオハヨウ、今日もニコニコ這いずる地衣類、新木だよ。


昨晩の雨で濡れたお陰で、だいぶ長い間、不活性状態だったよ。

なんかやっぱり断熱が必要だね、地衣類に服は必要ないけどモフモフ成分は必須だね。

今日の目標は、空気層を表面に確保して断熱効果を高めるんだ!!

しかし、コレがまた難しい、とりあえず、ウニぐらいの棘はできたがモフモフとは言いがたい。


もっと!もっと!毛を!フサフサだ!増毛だ!!

一陣の強い風が吹き、一瞬にして体温を奪い、そのまま、まどろみの中へと落ちていった。

表面積が多すぎたwww。



今日は快晴、午後から男の新木だよ。

昨日の失敗を元に今日はつるつるすべすべの新木だよ。

やれやれ、”表面積が増える”と”放熱量が増える”と、いうことキレイさっぱり忘れていたよ。

しかし昨日の失敗は無駄では無かった。

そう、つるつるすべすべの頂点には毛が三本!!

この三本の毛は凄いんだ。風や空気の振動が解るんだ。

誇らしく風になびく三本の毛、フサフサ&モフモフ成分なんて地衣類には必要無いんだよ!!

くっ、悔しくない!悔しくないぞ!!


それと凄いものを発見した、蓄熱&食料扱いの残りカスを排出してたら。

きらきら光る粒を発見した!何と金だ!!砂金だ!!

おおう俺は岩喰ってウンウンとして金を排出するスーパー菌類なんだ!!

俄然やる気の出た俺は光る砂金をより集め体内に確保、圧縮して固めた。

よーし、ウンウン出して、砂金集めるぞ~




おひさしぶりです、朝は寝床でグーグーグーの新木です。

体積は金が着実に貯まって、石の吸収も順調なのですくすくと育っています。


しかし、相変わらず、一旦落ちると再起動に時間が掛かる状態です。

そんな生活とはもうオサラバです。


熱量を常時確保するためには圧縮率と圧縮サイクルを増やすしかありません。

そして、ついに完成しました。

圧縮を低圧、中圧、高圧に分け圧縮空気を気蓄室に溜め体内に伝導するサイクルを完成させました。

連続圧縮が出来る様になりました!!

俺って天才だ!!

しかも、金を選り分けた後のウンウンを熱量の無くなった圧縮空気と共に排出!!

ウンウン飛ばしでは負けません!!

俺は地衣類で動物園のハナコを超えた!!(ゴリラ雌3才、ウンを投げつけてくる)


圧縮して固めたウンウンを空気と共に飛ばすと、結構な勢いです。

当たった岩が木っ端微塵になります。

ウンウン最強伝説の始まりです。

木っ端微塵になった岩はそのまま食料へ…と、まさに無限機関。

きんも貯まります。

無敵の地衣類です。

まさに気蓄の所業です。

ウンウンをカウンターマスにして後方に噴射すればジャンプも出来ます。

菌類にとっては小さな一歩であるが、俺にとっては偉大なジャンプです。

その気になれば24時間356日戦えます。スーパーブラックです。

盆と正月ぐらいは休ませて~。


あれから調子に乗って朝昼夜、関係なく岩を破壊して吸収、金溜める。を生業にして活動しています。(雨が降ったらお休みです)

岩場だらけのゴラン高原に砂と小石の窪地が出来てしまいました。

岩場にポッカリ砂場。それがいくつも。

そしてついに、貯まった金は体内に保管できない大きさになりました。

良くぞココまで頑張った。俺をほめてほしい。

背中に甲羅の様に加工して背負っています。


そして、ある日の夜、岩場の影で雨をしのいでいたら、気がついてしまった。


俺のきんがこんなに温かいワケが無い。


熱伝導率の高いきんを背負い式で露出していたら放熱量でアッと言う間にクールダウンするはず。

俺はひょっとしてウンウンの中のキンを集めていたのではなく。ウン(モ)を集めていたのでは?

甲羅を外してまじまじと見ると金色ではなくそこはかとなく黒っぽい。

圧縮され黒っぽい継ぎ目の無い甲羅…

俺の体よりはるかに軽い…


冷たい夜風に吹かれて、呆然とした俺はそのまま、まどろみの中へと落ちていった。

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