20.こうかん
(´・ω・`)13日の金曜日投稿。
外人さん相手に広場で出店を開く謎の地衣類、新木です。
まさか異惑星で出店者に成るとは思いませんでした。
外人さんモールは盛況です。
みなさん、広場で風呂敷や天幕を広げ、謎の食料や工芸品を作って売っている様子です。
笛を演奏するとエイリアンさんは物珍しさに集まって来ます。
着火器はそこそこ売れました。
しかし、笛が思ったほど売れない。
いや、売れたけどもっと売れると思ってた。
作りすぎた…、何だかんだで30本も作ってしまったが、残り12本が売れない。
京都のお土産でも定番なのに、異惑星では売れない笛の音。
実演演奏でかなり喰い付きは良いのだが…。
時々、地面に敷いた風呂敷に”おひねり”が入るので香具師か道化師と間違えている外人さんも見受けられる。
うーむ、意思の伝達がこんなに難しいとは…。
興味を示すのは子供が多かった。
確かに日本でもお土産屋で小学生位しか買わない商品だが…。
懐の暖かい子供は異世界には少ないらしい。
耳長なお兄さんは買ってくれた。
言葉が通じるので使い方を教えた所、楽器を演奏した事が在る様子で直ぐに理解した。
一応気に入ってもらえた様子だ。
握手して別れる。
”とても良い取引ができました。また機会が有りましたら、よろしくお願いいたします。”
「いえいえ、良い音が出る笛ですね、音域が広いのが良い。」(意訳)
何故か耳長の人には会話が通じた。
うーん、何か在るのか?
耳長以外は個体差で、意思が通じる場合がある。(細いおっさんと鍛冶師)
他の買った幼生体達は音は出せるが曲が演奏できない様子だ。
どうやら、音楽という物、自体が外人さん達には普及していない様子だ。
ソレからは売れずに恒星だけが傾いてゆく…。(蛍の光~♪)
(何故か風呂敷に小銭が落ちる。)
広場の人出も疎らになり、皆、片付けをし始めると。
どうやら、売れ残りを持って帰りたくない出店者様はお互いの売れ残りを物々交換で交渉する様子だ。
うむ、流石、異惑星。
さながら河原で行われる二輪部品交換会の様相だ。
隣の出品者で同じく雑貨を売っていた母娘の幼生体が興味を示したので。
商品の木のお面と交換した。
無表情な狐目のお面の近い、笑い男ツラだ。
悪くない。
早速装備する。
うん、良いじゃないか。
顔が付くと意思疎通が上昇した様な気分に成る。
俺は|顔《マン エイリアン インターフェース》を手に入れた!!
(装備:おめん 中華なべ、風呂敷包み )
俺の商品は別に腐る物ではないので、帰りに道端で売ろう…。
そう考えて片付けていると…。
隣の出店者の太ったおっさんが着火器が欲しいらしい。
なお、おっさんが売っているのは芋と根野菜の様子だ。
”ダメだ、おっさんこの野菜は食べられないよ。”
身振り手振りで伝えるが…。
どうやら、このおっさんは自分で使う為に着火器が欲しいらしい。
根負けして着火器一個と、芋と蕪と交換した。
小太りおっさんは喜び感謝を表し、握手をして去っていった。
二つの植物の袋に入った大量の芋と蕪を残して…。
え?これ全部?
孤独な風が通り抜けると…。
歪な芋が転がった。
呆然とする。
畚は大きいので段ボール級では無く米俵一俵級だ。
しかも形が歪で小さい物が多い…。
完全に売れ残りを押し付けられた…。
落ちていた木の棒を貰い。
蕪と芋が満載された畚を天秤で担いで鍛冶屋へ向かった。
細いおっさんは居なかったが、髭のおっさんは居た。
芋と蕪を進呈しようとしたら断られた…。
どうやら鮮度の問題で食用に耐えられないらしい。
おのれ!小太りおっさん!
いきなり異惑星商人の厳しさを突きつけられた!!
俺は炭水化物もアミノ酸も必要ないのに不良在庫だ!
髭のおっさんへの材料費の支払いをコレで済まそうとしたが、目論見は外れた!!
まあ、全体的には損はしていないので、材料費を支払う。
くっ、この有機物質は、捨ててしまうのは勿体ないので何とかしよう…。
様はこの外人さんが消化できる様な物に加工すれば良いのだ…。
髭のおっさんに頼んで道具と火床を借りる交渉をする。
道具が要るのは判っているんだ。
火床を貸すのは渋ったが、燃料費込みで銀貨二枚出したら了承された。
先ずは道具を揃えて実験だ!!
装備:おめん 中華なべ 風呂敷包み 丸太 着火器:3 笛:11 大量の芋[劣化] 大量の蕪[劣化]




