18.いんさつ
外人さんと共に森を移動する謎の地衣類、新木です。
数日掛かって森を抜け草原に出た。
うむ、人の姿の無い荒野だが、流石に人の手が入っている様子だ。
道の端に焚き火の跡を見つけた。
>しらべる 焚き木の跡
新木は錆びたナイフと割れた火打石を拾った。
別に砂の山の中で無く普通に落ちてた。
恐らく誰かが、キャンプ撤収中に落としたか無くしたのだ。
取得物だがこの惑星に交番が在るか不明なので貰っておく。
うむ、キャンプに出ると大概なんか現地に忘れるよね~。
多分、誰かが拾って有効活用してると思うわ。
南に進むと、獣道が合わさり広くなって、恐らく車両が走る道になった。
道に轍が出来ている。
恐らく馬車を使っているのだろう。
轍の形からタイヤではない。
大八車かも。
未だ見て無いので不明です。
車輪の形状を見れば作り方と道具が推察できるので楽しみです。
ほら、木製でもスポーク式なら回転旋盤が無いと作れないから…。
工作精度と文明進歩を計る大事な所です。
髪と耳の長い女性から明日には町に入るそうです。
但し、原住民しか入れないと言う話。
なるほど、確かに粘菌に人権は無い。
俺も喋る事が出来れば…。
”ぷるぷる。僕は悪いねんきんじゃないよ!”で仲間になれるのだ。
未だ発声器官が無いので外人さんの発音はできません。
文字は解るのだが…。
なお、外人さんの文字は理解出来たので木の板にローマ字変換表を作る事が出来た。
発音記号も付けてある。
実は、静圧空気層を表面に作って気泡の薄い振動板に接触点を付けて、空気振動を解析して声を聞いている。
何を喋っているのかは理解できた。
振動解析に時間が掛かるので聞く姿勢を作っていないと聞き逃す。
聞き取るのに精神力が掛かる。
うむ、異世界会話は疲れるのだ。
難点は濁音、半濁音の聞き分けが難しい所だろうか?
その内、振動版は何かで作ろう、市販品を改造しても良いかも。
スピーカーが売ってれば…。
スピーカーが在ればPCMで発声できるので…。
なお、この世界の通貨を見せてもらった。
お札は無かったが。硬貨で材質は金、銀、銅だった。
何故か全て12進数だった。
銅12枚で銀1枚だ。
銀なら12枚で金1枚
やはり金のメダルは価値が高い。
金なら一枚、銀なら五枚。
数は変わるが他の惑星でも同じ。
物価や相場は解んないので、町で外人さんを見て観察しよう。
一晩、色々考えたが、人型では到底人間と言い張れない。
次の朝、変身してみました。
人型で不気味の壁を越えるのは難しいので、思い切って鎧を着た人に変身してみました。
でも、人間で在ったとき見たのは映像なので細かいところが解らない。
仕方が無いので、子供の頃プラモデルで散々作った1日ザコの姿になりました。
多分1/10ぐらいのヤツ。
コレで光っていても大丈夫。
1日を選んだ理由は…。
ほら、最近のヤツはトゲトゲしすぎだから。
造作が難しいので…。
かっこいいけどね。ツノ。
道を進むと農地が見え始め、町が見えた。
うむ…。掘りに、木と石で組んだ城壁。その奥に尖塔が見える。
欧州の町に似ているが…。
随分と薄汚れた印象だ。
町の入口で警備員が入門章を確認している様子だ。
大きな男と耳の長い女性が何かを話している…。
特に緊張感の無いので顔見知りらしい。
挨拶が必要か?
俺の方を示し、紹介されている様子なので挨拶を行う。
両手の先を両肩に自分の胸の前で交差して(わたしは。)
大男の方に身体を向け、右に身体を傾け両手を相手に広げる(彼と)
再度、自分の前で腕を交差する動作をする。(お友達!)
今度は警備員に向き直り同じ動作をする。(わたしは、貴方は、お友達!!)
警備員が笑顔だっ!成功だっ!!
細いおっさんが苦い顔だが何とか成った様子だ。
警備員が道を空けたので手を振って分かれる。
うむ、手を振って挨拶も通じるのだな…。
町の中に入ると生活感がある…。
二階建て、若しくは三階建ての建物で石と土で組んだ家によろい戸は羽上げ式の窓。
二階の窓からは、恐らく着衣と推定される洗濯物が干してある。
住居としてはアパートメント方式なのか不明だが、一階部は開口部の少ない家が多いので。
構造上の問題かもしれない。
おおっ!馬車が居た!!
馬か鹿か判断の付かない生き物が馬車を引いて…。ちっ!車輪が唯の板だ。
一枚板でなく、数個の部品を組み合わせて出来ている。
果たして設置面は鉄輪か銅輪か…。
通り過ぎる馬車の観察をしながら、余所見をしていると…。
細いおっさんが何かを言っている。
しまった…。つい気になって体が伸びてしまった…。
おっさんに謝罪して卜゛アン専用ザコから1日ザコに戻る。
何故か全員、静かになる…。
うむ、外人さんの町の中は情報が多すぎるのだ。
付いて来いとの動作だ。
何処に行くんだろ?
付いた先は二階建ての建物で…。中に入ると石畳で薄暗い。
受光感度を上げる。
うむ…。
飲食店の様子だ…。
25個の長方形のテーブルに6個の椅子。
数組の外人さんが飲食をしている。
セルフサービスらしく丸テーブルの一つに座った。
座ると直ぐに、大男と耳長女性が席を立って付いて来いとの動作だ。
大人しく付いていく。
向かった先はカウンターだった。
カウンターの向こうは耳が長くない女性がいて何かを話している。
うむ、聞いた事ない単語が多い。
長耳女性の話では身分証明書を作らないと町に入れない。
お金が掛かる。
名前と種族、産まれた所を書いて。
お金は蛇の皮で払うから心配ない。
耳長女性と大男が身分証明書を出した…。
なるほど…。
用紙とカラス口の様なペンとインク壷を渡された。
ココとココに書けば良いのか…。
これ、大丈夫なのか?外泊証明書的な…。
苗字だけにしとくか…。出身地はゴラン高原。
種族は粘菌。
指をインク壷に刺してインクを補充する。
用紙の位置を確認して1日ザコの目の中にセット。
インクジェット方式で用紙に転写だっ!
目指せ!100bpⅰ。唸れ八゛ブノルジェッ卜プリンター!!
お腹から出した用紙を確認する。
少しドットずれしたけど…。
記入欄の中には入っているので…まあ良いか?
カウンタの女性に渡すと全員微妙な顔だ…。
おかしいな…。漢字だけでは伝わらないので。ローマ字をエイリアン文字変換してフリガナしたのに…。
耳の長く無い女性が読み上げる。
『ARAGI』
うむ、本当はアラキだけど…。
概ね同じなので頷く。
人間時代でも良く間違われた、気にしない気にしない。
『ARAGI?』
耳長女性も確認してきたので握手して頷く。
うん、もうこの世界ではアラギで行こう。
外人さん達が何か話をしていてカウンターの女性が用紙に記入している。
しばらく待つと、金属板に打刻された板が出てきた。
おお~、俺の身分証だ。
コレで勝つる。
コレが有れば、メンテナンスや修理でビルや工場に入る時に、守衛と攻防する必要も無い。
修理の為に呼ばれたのに、連絡ミスの上、守衛が手強くて訪問出来ないコトは良くある話だ。
もう少し社内の風通し良くしろよ。
まあ、地球あるある話なのでこの惑星では無いだろう。
…。
ないよね?
身分証の大きさは名刺より大きい程度、材質は多分銅版。
ヒモを通す穴が開いている。
名前欄は、漢字は無視されてエイリアン文字で「ARAGI」と書いてある。
種族不明で(NENGIN)
なるほど…エイリアン文字の元は楔形文字だったのか…。
大男と耳長女性に身分証を見せ、感謝を伝える…。
後で解析したら、裏書きに人物外観が書いてあって”よくわかんないけど、銀色の不定形”なるほど、カウンターの女性が書き加えた様子だ。
うーん、外人さんは粘菌が何なのか知らないらしい。




